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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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森の迷い家

一面が琥珀色の森の中を少女が走っている。

黒いローブに三角帽子の魔法使いの姿で、落ち葉を吹き飛ばしながら疾走する。

その走る速度は年端もいかない少女とは思えない。

何らかの強化を行っているのは明らかだ。


それを追うように、枯れ葉が盛り上がり、いくつもの小さな影が少女に迫る。


「もう!しつこい!」

何度目の遭遇か、少女の声にいらだちが混じる。


風の刃(ウィンドゥ・カッター)!」

複数の風のやいばが、迫る影に襲い掛かる。


少女を襲った影が切り落とされ、動きを止めた。

それは小さなネズミのようだった。

隠れネズミという。体長は10cmから20cmの茶色のネズミで、枯葉に身を隠す保護色になっているようだ。

数匹撃退しても、また、数匹現れてきりがない。


このように、攻撃が間断なく行われ休む暇もない。


走る速度を上げて振り切ろうとすると、今度は別の魔物にねらわれる。

血吸い鳥というクチバシが細い管のような獲物の血を好む鳥が飛んでくる。


かと言って足を止めて迎え撃とうとすると、大量の枯れ葉に似た蝶に取り囲まれる。

枯れ葉蝶と呼ばれるその虫は、獲物に幻覚と麻痺を起こさせる鱗粉を撒く。


まるで、この森が一つの生き物のように魔物が連携している。


一匹一匹は脅威ではないが、集団で襲われてはたまったものではない。


こんな状況が3日も続き少女の体力は限界だった。


「もう一度あれをやるしかないか」

少女は呪文を詠唱し、走りを止めた。


風圧爆縮エアロボム!」


ぱぁん!

破裂したような音が周囲に響き、その後に「ぅわん!」という衝撃が周囲に走る。


本来は空気を圧縮し熱爆発を起こす魔法だが、今のは圧縮が足りず大きな音だけが発生した。

少女はこの音による衝撃をねらった。


集まってきた獣や虫は、その音の衝撃でぽとぽとと地面に落ちた。

風の帳を纏った少女は無事だ。


これも時間稼ぎにしかならないのは経験済みだ。


「早くこの場を離れないと。。。」


次の攻撃が再開する前にすぐに移動しないと。


そうして、顔を上げると一軒の家があった。

集落ではなく、ぽつんと建っている。

その家の前には柳のような木があり、白い花が滝のように咲き乱れていた。


「きれい。。。」

少女は、その木の美しさに見惚れ、動きを止めて見入っていた。

そこに、再び隠れネズミが襲い掛かる。


「あ、しまっ。。。」

少女が攻撃を受けるその時に、声がした。


『おやめなさい』


魔獣の動きが止まる。

また声がする。


『お戻りなさい』


声に従うように魔獣の群れが去っていった。


『お眠りなさい』


少女は急な眠気に誘われ、その場で崩れるように倒れた。


。。。



「ん、んぅ。。。」

少女が目覚めると、そこは清潔なシーツが敷かれたベットの上だった。

「ここは。。。?」


「あら、目が覚めたのね」

優しげな女性の声が聞こえる。


まだ、ぼぉっとしていると女性が現れた。

「大丈夫?」

「あ、はい、大丈夫です」


少女は頭を切り替えて女性を見る。


黒く長い髪を後ろでまとめた美しい女性だ。

スラっとした上半身に、蛇を思わせる下半身。

少女はそれが自然なことだと感じて驚きもしなかった。

ん?そうだっけ?と心の片隅に浮かんだがすぐになんとも思わなくなった。


「あの、ここはどこですか?」

「あら、おかしなことを言うのね、あなたの家じゃない」

「? そうですよね。あれ?」

「もう、悪い癖よ家族なんだから敬語はおやめなさい」

「え?あ、うん。そうだね。。。ごめんね、『母さん』」

少女は、自分の口調が自然と丁寧になっていたことを不思議に思った。


「早く顔を洗いなさい。父さんが食卓で待ってるわ」

「うん、すぐいく」


ベッドから降りて姿見で自分の姿を映すと、髪を短めに切った赤毛の少女がいる。

そばかすを残した愛嬌のある顔は、年相応の幼さが可愛らしい。

少女は自分の顔を鏡で見て、こんな顔だったかなと思ったが、すぐに忘れていつものように着替え始めた。



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