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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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思いと共に

「ロッシ!」


避難していたジルが戦いの終わりに気づき戻ってきた。

倒れている弟を抱き起こす。


「お。ねぇちゃ。。ん」


ロッシが意識を取り戻し、姉を見て微笑む。


「お姉ちゃん。。。ただいま。。。ぼくね、夢を見てたんだ。みんなが居なくなって一人ぼっちになって。誰にも声が届かなくて。。。寂しかった」


徐々に存在が薄くなっていく。


「ロッシ、あなた。。。」

「ああ、次に生まれるなら風の精霊になりたいなぁ。そうしたら、おねぇちゃんの近くでずっと見守っていてあげるのに。。。」


その思いが届いたのか、ロッシの体が翠の光に包まれ、そして、羽の生えた妖精のように変わった。

「ああ、これで、ずっと一緒だね。。。おねぇ。。。ちゃん」


すうっとロッシの体が透明になり消えてゆく。


「やだ!行かないで!せっかく会えたのに。。。また一人にしないで!」


穏やかな表情で消えゆこうとする弟の声は優かった。

「大丈夫。。姿が消えても。。。ずっと一緒にいるよ。だから、泣かないで。。。」


ロッシの姿が完全に消えて周りに溶け込む。


「ロッシーーーー!!!」

ジルは涙を流して弟の名前を呼んだ。


ふわっと優しい風がジルの頬を撫でるように凪いだ。


アインは、泣き崩れるジルに掛ける言葉が無く、その様子を見守ることしか出来なかった。


どのくらい経っただろう、ジルが振り返って礼を言う。

「アイン。。。ありがとう。あの子を解放してくれて。。。」

そう言うジルは目を真っ赤にして吹っ切れたような顔で微笑む。


「行きましょう。出口はこの先よ」

アインはこれまで見ることのなかった彼女の強さを見て、頼もしく思うのだった。


洞窟を進むと登り坂になり、勾配もきつくなってきた。

岩に手をつきながら登り続けると、外の匂いを感じる。


「もう少し」

ジルが先を進み出口に到達する。

洞窟を抜けたその先は、月明かりに照らされた高原だった。


「ここから先、天空城を目指せば街道に出れるはず。これを持って行って」

ジルは、アインと最初に会った時に拾った精霊核の欠片を渡す。


「ごめんね、最初に返すつもりだったのに遅れてしまって」

「そんな」

アインは受け取るつもりは無かったが、ジルが無理やり手に持たせた。


「街道を進めば、街があるわ。街に行ったら旅に必要なものをこれで揃えるの。これなら十日以上の食料も揃えられるはず。決して騙されて取られないようにね」


「ジル。本当のお姉ちゃんみたいだ」

アインは。泣きそうになっていた。


思い切って言ってみた。

「ジルもぼくと一緒に行こう」


ジルは首を振って答える。

「いいえ。私は村に残る。こんな村だけど、私の故郷だもの」


「。。。そっか」

故郷を焼かれ戻る所のない少年と、苦しい生活が待つ場所に戻る少女。

どちらが幸せなのかは本人次第なのだろう。


「アイン、立派な王様になってね。私たちのようなちっぽけな存在が、この世界にいるって知っていてくれる。。。あなたなら、きっと救い上げてくれるって信じられる」


「うん、忘れない。ジルの事。。。ずっと」


少年は歩き出す、その足取りはこれまでのように何かに流されるのではなく、自ら道を切り開く決意に満ちていた。


少女はその後ろ姿が見えなくなるまで、その場でたたずんでいた。


ひゅぅぅ、さぁぁぁぁ


秋の風が、冬の到来を告げるような冷たさを運び、少女の髪がなびく。

もうすぐ氷の季節がやってくる。


消えてしまった弟と去っていった少年を思い、少女は寂しさを感じた。


ふわぁ


秋風とは違った柔らかな風が少女の頬を凪いで行った。


「ああ、あなたは。。姿は見えなくても一緒にいてくれるのね。。。」


冬が来てやがて春になる。

季節と共に変わっても風はいつもそこにいる。

その存在を感じることで、少女は明日を生きていけると思った。



お気づきの方もいるかと思いますが、某超有名漫画のある章のオマージュです。

映像化しないかなぁ。

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