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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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脱出

洞窟の奥で男の声がする。


「あの少年はご指示通り幽閉しました」

「。。。」

「え?次の贄はあの少年ですと? いや、しかし。。。これで最後。。。」

複数の動揺が伝わる。

声はしないが、そこには相当数の村人がいた。


「それで、村が救われるなら。。。」


暗闇に、静寂が訪れた。


。。。


ジルは自宅でアインの帰りを待っていた。

「アイン、どこいったのよ。。。」

父親の様子を見に一人で家に戻ったその間に、少年は姿を消した。


そこにいた村人に行方を聞いたが誰も知らないという。

そのうちの一人は、もう関わらない方がいいといった。

どういう意味か問い詰めるも、ジルのためだからとしか答えてくれない。

明らかに、何人かは事情を知っている。そう感じた。


一体、この村に何が起きているのか。

ジルの知らない村の姿に、言いようのない不安に駆られる。


「じぃーるぅー」

今日も、またあの男が来た。

この男なら村の事情を知っているだろうか。


「ねぇ。あなたアインがどこにいるか知らない?」

いつもの弱気な表情が消えた少女に男は強い口調で言う。


「な、なんだ、し、知らねぇよ」

明らかに動揺を隠せていない男に詰め寄る。


「知ってるなら教えなさい」

「くっ。生意気だぞ!この売女が!」


少女はひるまず、その男の手を取る。

男は勘違いして、肩に手を回そうとする。

急にがくんと男がひざまずいた。


少女は生命の力を持つ精霊を宿していた。

それは人を癒すことができる力と知られていたが、逆に命を奪う性質もあった。

少女はそんな力を人に向けて使うことは一生ないと思っていた。

でも、今この力を使う時だと、アインのためにそう決心した。


男は徐々に生命力を失い、やせ細っていく。

「や、やめて、やめてくだ。。さい」

「アインがどこにいるか話しなさい」

「は、話すから、もうやめてくぇ」


男の生命が失われる前に手を放す。


男は床に這いつくばり、命乞いを続ける。

「た、たすけ、てくださぃ」

ジルは奪った生命力を話ができるようになるまで還す。


「あの子供は、今地下牢に捕まってる、ます」

怯えながら答える男にその場所を聞く。


「あなたは家に帰って、もう顔を見せないで」

恐怖でジルの顔を見ることもできず、男は逃げ出した。


「アイン、無事でいて」

夜の深い闇に向かって少女は駆けだした。


。。。


「?」

叫びすぎてぐったりしていたアインが外の喧騒に気づく。

だれかが、こちらに向かっている。


「アイン!」

「ジル?!」


「待ってて、すぐ開けるから」

「ジル、どうして」


ジルは泣きながら牢屋を開け、許しを請う。

「ごめん、ごめんねアイン。村の人たちが酷いことして」


「おおい!こっちだ、だれか倒れてるぞ!」

人が集まってきて外が騒がしい。


「こっち!」

ジルはアインを手招きして、牢の奥へ向かう。

「ここは、本当は牢なんかじゃなく物置なの。小さいときにかくれんぼでよく隠れるとき使った。。。あった」

ジルは奥の石を見て印を見つけた。

石を向こう側に押すと子供が通れるくらいの穴が現れた。

「ここから抜け出せる。先に出て」

アインを先に通らせ、ジルは懐から油を取り出した。

それを振りまき火をつける。

「火よ」

精霊に侵されていても、簡単な生活魔法であれば使える。

燃え上がった地下牢を後に、ジルも抜け穴から脱出した。


牢から煙が上がっていることに気づいた村人が殺到した。

「ここか!」

村人が扉を急に開けると、炎が噴き出し地下牢が吹き飛んだ。

急に扉を開けたことで、低酸素状態の密室に空気が流れ、一気に爆発的に燃焼する現象(

バックドラフト)が発生したためだ。

近くに居た村人は爆風に巻き込まれて倒れている。


ジルとアインは夜の闇に紛れて村を逃げ出した。


「何処に行くの?」

土地勘のないアインがジルに聞く。


「川の向こう側にある洞窟の先は、谷の上まで抜けているって聞いたことがある。あそこから出て村を出ましょう」


村の方を見ると、赤く燃え上がる建物が見える。

しばらくは追ってこられそうにない。


少年たちが向かうその洞窟は村人が集まって話していた場所だ。

そこに向かうということは、そこに巣くう何者かと対峙することになる。

二人はそんな危険に向かって進んでいるとは知らず、ぽっかりと空いた闇の咢へと入り込んでいくのだった。



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