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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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羊飼いの少女

二章 魔族領編の最初のエピソードです。

ここから、新たな冒険が始まります。


「?」

(東の空が光ってる)


少女はシーツ一枚を羽織っただけの姿で、二階の窓からその光をみつめた。

その光はすぐに収まり、暗い夜空に戻った。


(なんだったんだろう。。。)

不思議な光のことが頭から剥がれず、気になりながらもベットで眠りにつく。


3日後の朝


その少女は、1匹の羊らしき動物をつれて谷底の小道を歩いていた。

この世界の羊とされる動物は、羊の体とヤギの角を持ち、毛は衣服に肉は食用に乳は飲用にと大変優秀な経済動物だった。

貧しい家でも一家に数頭いれば食い繋ぐことができた。


「とぅーーる、とぅーーる。こっちだよぉ」

羊を先導し細い道を歩く。


少女の背格好は10歳くらい。

細身で栄養があまり取れていないのか、少し頬骨が浮いている。

髪は植物の蔓のように太く緑色をしている。

顔の半分を白と赤の花弁の花が覆っており、草花に侵食されていた。

それ以外に身体的に普通の子供と変わるところはない。


今から向かう場所は、大人たちから魔物が出て危険だからと止められていた。

(でも、いつもの場所だとこの子に食べさせてあげる草が無いしなぁ)


谷底の村は、日が当たらず放牧に十分な草地は少ない。

大抵は早い者勝ちで、少女の羊は他の村人のおこぼれに預かる程度だった。


その場所は谷から少し離れた日当たりのよい場所で、餌になる草がたくさんあった。

何度か来たことがあり、その時は魔物に出くわすことは無かったので少女は警戒を緩めていた。


(魔物が出たら、逃げれば大丈夫だよね)

その日はいつもより楽観視していた。油断していたといってもいい。


谷を登り、日の当たる草地に到着すると羊を放した。

羊はご馳走を目の前にして、いそいそと食事を始めた。


少女が日の当たる草原でうとうとし始める。

すると、その場を覆いつくす黒い大きな影が差した。


羊の匂いにつられたのか大型の魔獣が現れた。

大きな丘のように丸い体の上部に、羊など一口で丸のみできそうな巨大な口がある。

陸クジラと呼ばれる魔物で、普段はジッとして鳥が近づいたらその口で捕食する。

「に、逃げなきゃ。。。」

少女は自分の考えが甘かったことにようやく気付く。

目にした巨大な魔物に腰を抜かして一歩も動けない。

「だ、だれか、たすけ、たすけてぇぇぇ」

恐怖で声がかすれ叫ぶことができない。


その時、小さな影が草陰から飛び出した。


「翠脚鞭!」


魔物に小さな影が飛び掛かる。


ぱぁん!


という音がして、二つの影が重なると魔物の甲殻が砕け体液が周囲に飛び散った。

小さいほうの影はそのまま反対方向に、くるくると回りながら着地してそのまま倒れた。


衝撃が風となり、周囲の草を巻き上げて少女の体を浮かせる。

必死に近くの草にしがみついて転倒を免れる。


風が収まると、そこには陸クジラの死体と小さな少年の体が横たわっていた。


少女は、恐る恐る少年に近づく。

そっと声をかける。

「あなた。。。大丈夫?」


少年は気を失っていた。

(金髪の男の子、5歳くらいかしら。)

こんな小さな子供が魔物を撃退したことが、この目で見ても信じられない。


陸クジラの死体のそばに、大きな黄色の精霊核が砕けたものが落ちていた。

「こんな、大きなもの初めて見た。。。」

急いで精霊核をしまい、怯えている羊を落ち着かせる。

少年を見て、どうしようか思案していると、羊が少年に近づき背に乗せようとしている。

「助けたいのね。。」

少女も手伝って少年の体を羊に乗せる。


彼の脚に触れた時に、少女はその異常な熱さに気が付いた。

「これって。。。」


少年の脚を見ると赤いまだら模様でかなりの熱を帯びていた。


「少しは良くなればいいんだけど」

少女は、自らの手を少年の脚にかざし魔力で癒しを施した。

徐々に熱が引いていく。


「よかった、これで動かしてもよさそう」

羊を促して家路につく。


「それにしても、不思議な子」

金色の髪など初めて見た。それにこの子は精霊に侵されていない。

少女は、本来の人の姿を保っている人を見るのは初めてだった。


村に着き自宅へ向かう。

少女の家は谷の東端にある。


「お父さん、ただいま」

「。。。」


家に着くと、奥の部屋へ帰宅を告げる。

その後、少年の体を羊から降ろし、空き部屋のベッドに横たえた。

羊を家畜小屋へ入れてから、少年の眠る部屋へ向かう。


少年を見ると苦しそうに汗をかいている。

また熱が上がってきた脚を、少女は手をかざして癒し続ける。

こうしていると、行方知れずになった弟を思い出す。

あの子も体が弱くて、良く熱を出してたっけ。


少女は、少年の熱が引き穏やかな寝息が聞こえるまで癒し続けた。



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