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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章

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201/205

伏兵

岩盤を投げつけられるという経験をしたアイン達は、その場から避難もせずに留まっていた。

天変地異もかくやというほどの岩の襲撃を受けて尚、目の前の男の脅威は揺るがない。

隙を見せればやられることを、アイン達三人はこれまでの経験から察していた。


戦場が破壊され岩だらけになったその場所で、いまだに戦闘が続いていた。


平地だった砂漠に岩陰が多くなったことで、アインの戦い方が有利となる。


「翠脚鞭(すいきゃくべん)!」

「憤!!」


影からの強襲を繰り出すが、ゴウライも自身の特殊能力を使いこなし相殺する。

必殺の技が封じられたと知り、アインは狙いを変えた。


一撃を防がれると、くるくると旋回しながら後方へと下がる。

ゴウライが向かって来ると、再び翠脚鞭の体制を取り蹴りを放つ。


「無駄よ!!」

同じことを繰り返す少年に、軽く失望しながら身体属性を変化させる。

しかし、アインの狙いはゴウライではなく、そのすぐそばにあった岩だ。

翠脚鞭を受けた岩が、粉々に砕けゴウライに襲い掛かる。


ぶわっ!!!

「!」


不意を突かれた男はそれを避けきれず、一瞬視界を奪われた。

アインはその一瞬を見逃さず、技を繰り出す。

「翠狼牙(すいろうが)!!」


両足で放つ翠脚鞭。

下から蹴り上げ、ほぼ同時に上から踵落としを喰らわした。

狼の咢を思わせるその攻撃は、上下から襲う衝撃波で、たちまち相手の体は粉砕される。


「つくづく度し難いな、慢心というものは。。。」

しかし、その相手は砂煙の中に立っていた。

ゴウライは、未だに驕る心を持つ自分に呆れていた。


アインは、信じられないものを見る目で男を見上げた。


この技は、以前の戦いから対ゴウライ用に編み出したものだ。

身体属性が変化して、技の威力が素通りするなら、体の中から逃げられないようにすればいいとドザンから助言され、死に物狂いで会得した。

二つの衝撃波は、男の体内でぶつかり爆発するはずだった。

アインは、落胆のあまり、体が一瞬止まった。


ゴウライが、その隙を見逃さずに襲い掛かる。


ぱっ!!!


二人の目の前で光が爆発し視力を奪う。

その間にカイルがアインを救出した。


「大丈夫か?アイン」


眩んで見ることが出来ないアインが、目をこすりながら礼を言う。

「ありがとう、カイル兄ぃ。。。でも、だめだったよ」

「そうでも無いぞ」

カイルの見立てでは、ゴウライの動きが明らかに鈍っていたと言う。

「あれは、とんでもない、やせ我慢だな」

武人は相手にそれと悟らせないために、表面上は平気なふりをする。

戦いにおいて、自身がダメージを負ったことを相手に悟らせることが、その後の展開で不利に働く事を知っているからだ。


劇的な効果を期待した技だが、相手を苦しめる程度だったのは事実だろう。

だが、それを積み重ねることで、活路を見出すことは正しいと思えた。


しかし、アインは暗い表情をしたままだ。

「次も、同じ奇襲が通用するとは考えにくいよな。だから、次は俺たちを使うんだ」

カイルがアインの考えていることを読んで、自分たちが囮になることを提案する。


ゴウライと真正面での立ち合いが、歴戦の戦士であるカイルをもってしても難しい。

だが、勝つためではなく凌ぎ、隙を作るのであれば持たせることは可能だろう。

そう計算してのカイルの提案に、アインは一瞬嫌な予感がしたものの、仲間への信頼が勝った。


簡単な打ち合わせを行ってから、分散する二人。


「よう、大将。次は俺の相手をしてもらおうか」

フラっと岩陰からカイルが姿を見せる。


「。。。貴様に用は無い」

「つれない事言うなよ。アイン共々長い付き合いじゃねぇか」

眼中にないことを隠しもしない男に、プライドを傷つけられた思いをしつつ、軽口を叩きながらも、油断なく相手を見据えるカイル。


「俺が剣使いだからって、侮るのは早いと思うぜ」

カイルが、ずらっと鞘から抜いた剣は魔法の光を纏っていた。


「っ?!」


魔術師はいない。

付与魔術(エンチャント)を使える者もこの場にいないはずだ。


白磁の門(ホワイトゲート)で村長に譲り受けたドワーフ製の剣は、その後リタが得た知識によりミスリルで作られたものと判明する。

そして、同じミスリルで作られた武器をリタも所持している。

そのことが、二人に新たな力を目覚めさせることになる。


「じゃあ、始めるぜ」

純粋な魔力の光を帯びた剣がゴウライに迫る。


斬撃無効は物理的な特性であるため、魔法剣には別の対策が必要だ。

ゴウライは、全ての魔力属性を均等に体に巡らせ、魔力による斬撃を相殺する。


カイルは、相手の微妙な感情の揺らぎを感じ取り、煽る様に揺さぶりをかける。

「どうした?何時もの余裕が無くなってるぞ。やはり、魔力を帯びた剣には少しは警戒するかい?」


「。。。」

挑発に乗らずに無言で捌くゴウライ。


ゴウライにとっては対処法を知る戦法であっても、何か隠し玉を持っている可能性がある。

それに、姿を見せないアインの存在が、より警戒心を強めていた。

この状態では、瞬時に身体属性を合わせることが困難なためだ。


ここであの一撃を喰らうわけにはいかない。

その心が、今、立ち会っている男への注意をほんの少し揺らがせた。


カイルがその微妙な心の揺らぎの隙をつく。

スッとバックステップで退き、後方から向かってくる一本の杭を、手に持つ剣で弾くと、純粋な魔力を帯びていた剣が炎に包まれた。


バックステップからの強襲。

瞬時に行われたその挙動に隙は無く、流れるような動きで炎に包まれた剣をゴウライに叩き込む。


「ぐ!!」


魔力属性を均等に配分したために、特質した属性への防御が疎かになった。

腕に炎で傷を受けたゴウライが初めて後退する。


カイルは、リタが投擲した螺旋の尖針(ヘリックス・ニードル)を弾くことで、付与魔術と同じ効果が得られることを知った。

その時発動した魔術で、その効果はどのようにも変化することも。


だが、こんな神業とも言える芸当を、この二人以外がやろうとする者はいないだろう。

下手をすればカイルの体に穴が開く。


二人の息が完璧に合うことでこの技は完成した。


ゴウライは、目の前の戦士への警戒レベルを上げつつ、この後の戦闘に備えた。


「土竜洪(アース・クェイク)!」

力ある言葉が唱えられる。

すると、今度は直接魔法による攻撃が彼を捕らえた。

かつてナージャが使ったほどの規模ではないものの、土石流が男に襲い掛かる。

リタが投擲した、螺旋の尖針(ヘリックス・ニードル)から発動した土魔法だ。


ゴウライが足場を求めて、突き立った岩へ飛び移った、その時!


「翠狼牙(すいろうが)!!」


息をひそめて身を隠していた、アインの一撃が放たれた!



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