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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章

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200/205

天地を揺るがす

空に亀裂が走り、黄金に輝く壁が現れる。

空を覆う黄金の輝きは、人々に、この世の終焉を思わせた。


。。。


「敵、接近中!ぶつかるぞ!耐衝撃体制御!」

ホークの指示でヤフーが主機の出力を最大にする。

「缶圧三百二十! 安全弁ブロー開放角最大!!」


「前面装甲の魔鋼グリッドからの魔力供給を、ER流体にバイパス。装甲廃棄と再装填の

準備!」

ルイが、魔鋼グリッドの供給パネルをチェックしながらスイッチに指を走らせる。


魔鋼で作られた装甲は、自らをが自壊することで衝撃を吸収する。

内包した魔力を無駄にしないため使い切る必要があり、胸部装甲の魔力を流体筋肉へと繋ぐ。


操縦席では、ホークが、ER流体に魔力注入を行うためのトリガーを操作している。

「ER流体魔力粘性、対衝撃粘度まで魔力注入!衝撃に備えろ!」

魔力により粘度を変化させるER流体に、魔力注入を行い衝撃時に本体のフレームを保護するための適正粘度へ変化させる。


「接触まで、3,2、1・・・・!!!」


後半の声は、衝撃と轟音にかき消された。

同時に、ハンドルを時計回りに回し逆転機を前方に押し出す。


圧縮された蒸気が一気に吹き出し、押さえつけていた凶暴な力が魔導シリンダーに流れ込む。

さらにその力は、全身に張り巡らされたER流体に伝わる。

圧縮され、魔力が混入された蒸気の力が、鎧全身に行き渡り爆発的な力を生む。


強烈な反動がかかり、鎧が獣を押し返す。


巨大な2体の衝突を外から見た者がいれば、衝突の際に発生した強烈な光に、目が眩んでいただろう。

戦獣の突進を受け止めた鎧の表面装甲は、その膨大なエネルギーを、フォノン–ポラリトン共鳴によって白銀の閃光(光子)へと相転移させた。


光子化の許容量を越えると、「ピキピキピキ……ッ!」と幾何学模様にクラックを起こし、数千〜数万個の巨大な魔鋼の破片となって外側へ爆発的に弾け飛ぶ。


役目を終え、破砕された鎧の瓦礫が、光りながらシャラシャラと落ちていく。


最初の衝撃はそれだけに留まらず、散逸した光の奔流によって周囲の大気が電離し、二体の巨人の間には紫電や青碧の稲妻が蜘蛛の巣のように張り巡らされる。


連日の戦闘でも健気に形を成していた雲は、二体の衝突で、厚さ数百メートルの巨大なドーナツ状の白い衝撃波の輪となって水平360度へ爆散。高度3,000m〜5,000mの雲海が円形に丸ごと消滅した。


ついに、二体の暴力行為を支えてきた大地が悲鳴を上げる。

数メートルも地面がバウンドし、地平が隆起し始める。


アイン達の元にもそれは伝わり、全員が避難したかと思われた。

しかし、驚くことに4人の戦闘は継続していた。


アインとゴウライは大地の変化をものともせず、むしろ利用すらしていた。


岩陰に隠れ、死角から迫る意表を突く戦いをするアイン。

岩をも砕き、砕いた瓦礫を浴びせかける豪胆な戦いをするゴウライ。


そのような芸当を持たないカイルとリタは、比較的安定した場所を選んで移動し、隙を見て援護する戦法を取っている。

常に状況の変化するこの地で、彼らの戦いはさらに熱を帯びて激化していった。


。。。


人々が黄金に覆われた空の変化に気付く。

亀裂同士が繋がり、壁全体に幾何学的な模様が浮かび上がっている。

模様が複雑さを増していくうちに、一部の壁が落ちてくる。

空が落ちる恐怖にかられた人々は恐慌状態になったが、黄金のブロックと化した壁の一部は、落下する途中で空に溶けるように消えた。

人々は、壁の抜け落ちた一部から、暗闇に輝く星の光を見た気がした。


。。。


初撃は凌がれた。

俺が放ったぶちかましは、鎧の表面をわずかに削ったに過ぎなかった。

それでも、周囲における影響はすさまじいものだった。

アインのことも心配だが、今は、思った通りに頑丈なこの鎧に向き合うことでせい一杯だ。

ここからはお互いの消耗を加速することを覚悟していたが、イレギュラー(ゴウライ)の登場で急がなければならなくなった。


『白さん、聞こえる?』

坊主の声が聞こえた。

『僕らは大丈夫だから、そっちに集中して。そいつを倒して世界を救って!」

「王命、承った!」

俺は鎧との戦いに集中することを、主人に誓う。


組み付いた鎧を跳ねのけると、自らの巨体にそぐわない、目にもとまらぬ速さで距離を取り、再度、拳による打撃を試みる。


一点を貫かんとしたその一撃は、鎧の思わぬ動きで空を切った。

初めに見せた超音速駆動で拳を避けた鎧が、反撃の姿勢を見せる。


しゅこぉぉおおおおお!!!


周囲の精霊を喰らい、その力を光りの剣の形に変化させた。

光の剣を持ち上げ振り下ろすと、衝撃波と共に大地がえぐれ、はるか遠くに見えた山脈の一部が裂かれた。


かろうじて避けたが、その威力に度肝を抜かれたのは俺だけではあるまい。

世界中の人々が注視する中行われた破壊。その驚異的な力は人々を恐怖させた。


そして、アイン達同様、俺たちの戦いも熱を帯びて加速していった。



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