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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章

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199/206

危険地帯

「しっ!」

初撃はリタの放ったナイフだった。


カイルが会話で気を逸らしている間に、疾風加速陣(ゲイル・アクセラレータ)の配置を完了した。

螺旋の尖針(ヘリックス・ニードル)で出番を失った感もあるが、予備としてディンプルを刻んだナイフは常備している。

使い捨ての武器として、人間相手なら十分な殺傷力を持つそれを、魔法の加速器に向けて投擲した。


だが、その相手はただの人間と比べて頑丈過ぎた。


ガッ! パン


ゴウライは瞬時に肉体を土へ形質変化させ、身体を岩の硬度へと変化させた。

ライフル弾と同じ射速で衝突したナイフは、衝撃に耐えられずに砕け弾ける。


リタの初撃を目くらましに使い、アイン達が散開。

男の目的がアインなら、狙いを定めないうちに動き回り攪乱する。

リタとカイルが陽動と攪乱を行い、アインがトドメを刺す。


リタが配置した疾風加速陣(ゲイル・アクセラレータ)が戦場の到る所にあり、研ぎ澄まされたナイフが、四方から敵に襲い掛かる。


カイルは、ゴウライが投擲に気を取られた隙に切り込む。

斬撃無効の特異体質を相手に、剣でのダメージは期待せず、打撃で集中を乱すのが目的だ。


そして、アインは王式格闘術の死角に入る動きで姿を隠す。


これまで培ってきた3人の戦術は、その練度による有機的に繋がり、見事な連携を見せた。


「ちっ!」


数年前ならあしらえていた、その攻撃は、ゴウライをもってしても捌ききれず苛立ちを覚える。


だが、この男には戦況を有利にする技があった。


極技:砕踏崩地(グランド・バスター)


すり鉢状に地面をえぐり、敵に体制を整える暇を与えないこの技は、特に高機動を得意とする相手に効果的だ。


ゴウライが、まさに、その技を繰り出そうとしたその時、突如として轟音が鳴り響いた。

見上げると、上空にいくつもの巨大な岩盤が浮かび、空の一部を切り取っている。

それが、こちらに向かって落下する。

その場にいた全員が、戦闘行為を放り出して逃げ出す羽目になった。


四人はそれによって思い出す。

ここが、安心して闘いに没頭できる、穏やかな戦場ではなく。

世界の命運を決めるために用意された、人がその場に身を置くことすら、死と隣り合わせの煉獄だということに。


。。。


「なんじゃ?足元で何やら始まったようだぞ」

周囲を観測していたヤフーが、生体反応に気付いて注目する。

足元と言っても、距離にして50キロメートルはある。

それでも、この巨大鎧にとっては目と鼻の先だ。


「危ないから、一般人は離れとくように言うたのにな」と、ルイ。

「いや、あれは少年王の一行だな。片方は。。。おぉ。思い出した、あの無頼漢じゃ。ゴウライとか言ったか?ジンライの血を分けた兄弟だったな。前(アンテ)め、仕込みが過ぎたんじゃないか?」


ゴウライを唆し、少年にけしかける様仕向けたのはクラークだが、動きが読めないため計画からは除外したはずだった。


それが、この場にいるということは、彼自身の執着によるものと、だれもが予想ができた。


「呑気に決闘などされては迷惑じゃ。どれ、気付かせてやろう」

「何をするつもりじゃ?」

ホークの言葉に嫌な予感がして、冷や汗が一粒垂れるルイ。


ふいに、巨大鎧を屈ませ、地面にゴリっと指を突き入れる。

地面の表層から、300メートルほどの岩盤を引き上げ、戦闘を行っている辺りに放り投げた。


「まあ、あの程度じゃ死なんじゃろ」

「おい!」


人のスケールをはるかに超えた嫌がらせを行っておいて、無責任な発言をするホークにルイが頭を抱える。


かろうじて、戦獣の動きが間に合って、数十メートル規模まで砕かれた。

生き残る可能性はあるが、それでも天変地異レベルであることに変わりはない。


「おぉ。しぶといな、あ奴ら。大したもんじゃ」

ヤフーが全員の無事を確かめて感心する。


「おっと、今度はこっちが危ないかもしれんぞ」

先ほどのやり方に、ご立腹の戦獣がこちらに向かって突進してきた。


。。。

突然しゃがみこんだ鎧にあっけにとられている間に、地面をひっくり返したかと思うと、それをアイン達に投げつけやがった。


「なにしやがる!!!」


怒りよりも焦りが先に立ち、体が勝手に動いた。

上空に放り投げられた岩盤を、某昇竜なんとかみたいなポーズで砕く。

なんとか、生存率は上がったがそれだけだ。

俺は、そこにいる四人の人影を見て安心し、その内の一人の顔を見て戦慄する。


なぜ、奴がここに?!


坊主の力は、ほとんどが俺に譲られ無防備なままだ。

早く決着をつけて戻らなければ。


焦りと怒りが俺の中を駆け巡り、足早に巨大鎧の元へ急いだ。

この時俺は、これから始まる巨人同士の闘いが、さらなる混乱を引き起こすことに気付いていなかった。




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