仲間たち
アイン達は、巨大鎧の正面に向かっていた。
エクサが着地した場所から、数キロ歩いてきたが、まだ、たどり着けていない。
鎧の周囲には風が渦巻き、砂塵が舞い上がっている。
砂埃で視界が遮られていても、敵の姿は巨大なシルエットとして、その威容を示していた。
ぎぎぎぃぃごんごんごぉん、どぉぉおおん
時折、鎧の方角から、何かが地面に落下する音が聞こえる。
その音は不気味に響き、3人の耳には、これから死を迎える者への、手向けの鐘声のように聞こえた。
「なんなんだ?この音は」
カイルが耳障りな音にいらいらすると、リタがそれに答えた。
「あいつらの頭目っぽい奴が言ってたじゃない。大きくなる度に使えなくなった部品を廃棄してるって」
「それにしても、俺たち本当に近付いてるんだよな?」
鎧の大きさが巨大すぎて、距離感が混乱している。
どれだけ歩いても、近付いているように感じなかった。
「?」
リタがアインの耳に光るものを見つける。
「アイン、あんたそれ。。。」
少年の耳には黒水晶の耳飾りがあった。
「ミリ姉ぇも、一緒に来たいだろうと思って。後、これ。。。」
懐から取り出した、それはナージャの煙管だった。
「そうかい。。。皆一緒なら心強いね」
リタは、泣き笑いのような表情をフードで隠した。
「そうだな。最初はこの5人。。。6人だけだったんだよな」
カイルが、俺も人数に含めるように言い直した。
「なあ、アイン。あいつと話させてくれないか?」
神妙な顔で言う。
「?。。。剣よ在れ」
アインの言葉で剣が現れる。
俺は剣に宿り言葉を掛けた。
「なんだ?珍しいな」
「あんたとも、いろいろあったが、こうして話すこともなかったと思ってな。最期くらいは礼を言っておきたい」
カイルはこれまでの感謝を示した。
「よせよ、がらでもない」
「そう言うな。初めはアインに害だと思ってたんだけどな。あんたのおかげで、何度も命を救われた。ありがとうな」
俺は照れくさくて黙り込んだ。
「そうだよ。本当にありがとうね。最初は本気で疑ってたこと、謝るよ。ごめんな」
リタが最初のころの態度を謝罪した。
「ミリーなんか、本気で折伏の方法調べてたもんね」
笑いながら笑えない話をさらっと言う。
俺、危ないところだったんだ。。。
「皆どうした?もしかして怖気ついてるのか?」
カイルとリタが顔を見合わせ苦笑いする。
「正直に言うと、そうだ。今でも手が震える」
かつてない敵に対する恐怖で萎縮しているのか。
ここは、冗談でも言って緊張をほぐすか。
「。。。ゆうべはお楽しみでしたね 」
「はぁぁあああ!?」
「なな、なんで、知って。。。」
カイルとリタが慌てまくる。
「何のこと?」
アインがキョトンとする。
「知らなくていいの!」
リタがアインの耳をふさいだ。
「おま、覗。いて。。。」
「ああ、やっぱりか。俺は坊主から離れられないからな。二人して遅くに帰って来たのでそうかと。。。くっ」
自分でからかっておいて、なにか悔しい。
ぺしっ
カイルが、アインから剣をもぎ取って地面に叩きつけた。
「てめぇ!覚えてろよ!この戦いが終わったらとっちめてくれる!」
額に青筋を立てて、ビッと俺を指さすカイル。
「へっ!楽しみにしてるぜ!へっぽこ戦士が!」
俺も負けじと言い返す。
ぐぬぬと睨みあう。
俺は声を引き締めて言う。
「。。。生き残るぞ」
二人が意図を察し応じる。
「おう」「必ず」
いつの間にか、二人の震えは止まっていた。




