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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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生きている証

アインが自室に引きこもってから、1週間が経った。


「ごめん、一人にして」

少年が最後に口にしたのは、その一言だけだった。


以前、ジルが犠牲になった時と同じだ。

だが、今回は俺も近くに居ることを拒絶された。


それはそうだろう。

最後にミリーを救う機会を奪ったのは俺自身だ。

坊主が許せなく思うのは仕方ない。


俺は、あの時に他の選択肢が無かったのか、あれからずっと自問自答している。

アインの自室の扉の前で体育座りをしていると、アイシャが現れた。


「ちょっと、どいて」

(なあ、今はそっとしておいてやれないか?)

俺は、また強引に連れ出すつもりかと警戒した。


少女はそっと目を閉じ静かに話す。

「分かってる。でも、アインには立ち直ってもらうしかないの。たとえどんな手を使ってでも。。。」


再び開いた少女の真剣な目に気圧されて、扉の前から退く 。

俺は、静かに扉を開け入っていく少女を、見送るしかなかった。


。。。


アインは、自室でミリーとナージャと過ごした日々を思い出していた。

それは、少年の人生の殆どの時間を占めている。

両親との記憶は薄れ、その代わりに彼女等との思い出が鮮明に残った。


机に置かれた黒水晶の耳飾りと、煙管を見る。


なぜ、止められなかったのか。

ああなる前に、やれることは無かったのか。

この一週間、そればかり考えていた。

答えは見つかっていない。


白の選択が間違っていたとは思わない。

でも、それは理屈の上でだ。

感情に逆らえない自分がいる。


大人になれない自分に腹が立つ。


そこに、自分と同じ金色の髪をした少女が現れる。


「。。。アイシャ。また来たの」

「。。。」


少女は少年の憔悴した姿を見ても、驚かずに静かに佇む。


「ごめん。今回はね、ダメみたい。人々を救わなきゃいけないのに。。。そんな余裕が無いんだ」

「。。。」


ふぁさ


布が落ちる音がして、少女の方を見る。


「。。。なにをしているの?」

白い素肌の上に、キャミソールのような薄い布地のみの少女を見て、少年がどぎまぎして立ち上がる。


「私が出来ることで、あなたの悲しみを一時でも忘れさせてあげる方法が、これだけって聞いたから」

顔を真っ赤にさせているアイシャが、スッとアインに近付く。

そのまま顔を寄せる。


少年が驚いてよろけ、二人でベッドに倒れこんだ。

思わず抱きしめた少女の体は、華奢で柔らかく、少し力を入れると、脆く崩れそうな儚いもの思えた。


「。。。」

アイシャが震えている。


普段、勝気な彼女の意外な姿に困惑する少年。


「う、うぅぅ」

「アイシャ?」

自分の胸に顔を埋めて嗚咽を漏らす少女に、声をかける。


「あんただけじゃない。あたしだって悲しいの。ミリーさんは私を私として見てくれた初めての人だった。私もお姉さんって呼びたかった。。。」


少年は、涙を流し続けるアイシャを見て、悲しいのは自分だけじゃないと気付く。

自分だけが特別に彼女等と過ごしたわけじゃない。

カイルもリタも、白さんも城の皆だって悲しいのは同じだ。

自分だけが苦しいと思っていた事に、少年は恥ずかしくなった。


「アイシャ。。。」

少女の目を見る。

二人はそっと目を閉じて、唇を重ねた。


。。。


「あんた、そこで何してんのさ?」

ヴァルカが俺に声をかけてきた。


(。。。扉番)

「。。。ふーん」

ドールが横に腰かける。


(しょうがないだろ。俺は坊主の傍から離れられないんだから。お前こそ何しに来たんだよ?)

「べつにぃ。ご主人が、なんか面白いことになってる気がして、覗いてやろうと思ってさ」

(悪趣味だからやめてやれ)

デリカシーの無い発言に釘をさす。


「冗談だよ。まあ、面白いものは見れたけどね」

落ち込んでいる俺を見てカラカラ笑う。


(ふんっ。。。あぁーあ。ついに先を越されたかぁ)

「何のことさ?」


俺はふてくされた。


。。。


唇がそっと触れるような口づけを交わした、アインとアイシャ。

顔が離れると照れたように頬を染める。


少年が、困ったような顔になる。

「。。。この後どうするんだっけ?」

「。。。わかんない」

二人が、この先の知識がないことに気付く。


「「ぷっ」」

二人で吹き出してしまった。


お互いに顔を見合わせ笑いだす。

ひと仕切り笑いが収まると、お互いの体を抱きしめた。

体を預けお互いの体温と重さを知る。


「初めて知った。こうしてると安心するね」

「うん。あたしも」

二人一緒にいることが、この上なく愛しい。


「僕たちはまだ子供で、何も知らない。知らない事の方が多いんだ。生きていれば、これから、いろんなことを見て聞いて知ることができる。これってすごいことなんだよね」


生きていること、それがどれだけ尊く喜びに満ちているか、少年は気付いた。

一人の少女の重さと暖かさが、この世界に、一人ひとり生きているという事を少年に教えた。


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