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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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追憶

遠い過去の記憶。


あの日、寂れた山村にナージャは訪れていた。

そこは自給自足で細々と暮らす貧しい集落で、外界から見捨てられたような所だった。

こういう場所には、子供を育てる余裕がなく、余分な子供が居ることが多い。

その多くは不要とされ酷い扱いを受けていた。

そういう子供の中から、魔術の才能を見出し引き取ると、村からは厄介払いができて歓迎された。


そんな経験から、候補者を探すときは、このような寒村に出向く様になっていた。


「お婆ちゃん、魔法使いなの?」

後ろから声を掛けられ振り向くと、まだ幼い少女が居た。

にへらっと笑う顔が大人に媚を売るようで不快だった。

このような笑い方をする子供は、普段から親から虐待を受けていることが多い。

大人を怒らせないようにする、子供の処世術なんだろう。


「何じゃ、あっちにいけ」

ナージャはその笑顔が痛々しくて見てられず邪険にする。


何度も付いてくるなと釘を刺すが、いつの間にか傍に居る。

一度、魔法でも見せれば気が済むかと披露した。


それがいけなかった。


少女は目をキラキラさせて、魔法に夢中になった。

よりしつこく付きまとわれるようになり、辟易としてナージャが聞いた。

「なあ、お嬢ちゃん。生活魔法くらいなら、お前の歳でも使えるじゃろ?なぜそんなに魔法に興味を持つ?」


「あたし、それ使えない」

少女が不思議そうに言う。


親から教育を受けていれば、生活魔法は初めに教わるはずだ。

魔法の習得は、始める年齢が若ければ若いほど上達する。

この歳で基礎すら出来ないとなれば、魔術の才能は期待できない。


早々に候補から外したナージャは、その少女から興味を失った。

それでも付きまとってくる少女が煩わしく、仕方なく情報源として使うことにした。


村には子供が何人いるのか、その中で魔法を使えるものがいるのかなど。

少女は村人から距離を置かれているらしく、情報は少なかったが、どうやらこの村には見るべき才能のある子供がいないことが分かった。


早々に立ち去ろうと考えていたら、いつもなら、付きまとってきていたあの少女の姿が見えない。


村人に聞くと、森の奥に歩いて行く姿を見たという。

その時は、お使いでも頼まれたのだろうと関心を持たなかった。


その夜、少女の変わり果てた姿を見るまでは。。。


体中が毒で溶けており、一部には骨まで見えている。

鼻はそげ落ち、かわいらしかった顔は見る影もない。

瞼を失ったその瞳から大粒の涙を流していた。


もう、手の施しようが無いのはすぐに分かった。

ナージャはせめて痛みを感じずに済むように魔法を使った。


少女は、にへらっと笑い、「ありがとう」と言った。


向こうから建物が押しつぶされる音と、村人の悲鳴が聞こえる。

少女を横たえて様子を見にいくと、巨大なカエルのような魔物が暴れていた。


「ヴェノム・トード か。こりゃ厄介な」

その魔物はただ巨大なだけでなく、体から毒液を噴き出した。

このまま放置すれば、この村は毒によって壊滅するだろう。


ヴェノム・トードは一軒の家を目指していた。

巨体で押しつぶされた家の中には女がいた。


少女と同じ、黒髪の美しい女だ。

家の瓦礫に押しつぶされて、もう、動いていない。

その手には一凛の花が握られていた。


「あれは、延命花?なるほど、あれが狙いか」


ナージャが力ある言葉を唱える。


「石化(ペトリフィケーション )!」


この魔物を倒すと死体から毒が溢れ村が壊滅するだろう。

これなら毒による汚染を防げる。


ナージャは女の死体に近づき、延命花を手に入れた。


治癒霊薬(エリクサー)を錬成して少女に与え、様子を見るために村に逗留した。

少女の体の回復は早く、数日後には元の体に戻る。

だが、少女の壊れた心は治せなかった。


ナージャは候補者を攫う時のために、精神の宝珠を持っていた。


「すべてを忘れて、わしと一緒に来るか?」

口もきけないほど心を失った少女に問う。

その答えは、少女が流した一筋の涙だった。


。。。


少女にミリーという名を与え、数年の間、一緒に旅をした。


相変わらず魔術の才能は見るべきものはないが、少女との生活は悪いものではなかった。

その生活を続ける中で、ナージャはもうこんな役目は終わらせようと考えていた。


この子を育てるのを最後にしよう。

あんな運命をこの子には与えずに、魔術などよりもっと大切なことを教えよう。

もう取り返しはつかないかもしれないが、最後の弟子に儂の心を託そう。


そうした旅の中で、二人の冒険者を雇い、学舎への帰還途中であの子に出会った。


金色の髪を持つ少年に。。。



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