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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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接近

大陸北部にそびえる山々。

そこは、人類が未だ踏み入れたことのない未踏の地とされていた。

険しい岩肌に、永久に溶けることのない雪や氷が人の進行を阻む。


そんな過酷な場所にも、人とは違う種族の生き物が暮らしていた。


ウサギの頭をした人型の種族。

雪族(ウーマー)は人類との交流は無く、独自の進化を続けてきた。

全身を覆う白い毛が寒さから身を守り、その地に巣食う数少ない食物をかぎ分ける鼻や獲物の音を捉える長い耳。

特別な進化を遂げてその地に暮らす中、独自の文化を持つようになる。


まだ小さい子供の雪族(ウーマー)が巣穴で泣いていた。


コンコン


穴を塞いだ壁につけられた扉を誰かがノックする。


「まだ、機嫌を直してくれないの?」

若い女性の雪族(ウーマー)が困ったように声をかける。


「。。。行っちゃヤダ」

小さな子がぐずりながら言う。


「ごめんね。ずっと一緒にいてあげられなくて。。。でも、いつでも会いにこれるから。機嫌を直して。あなたにも一緒にお祝いしてほしいわ」

そう言って扉を開けて中に入る。


「お姉ちゃん、お嫁になんて行かないで。。。」

ぐずついている子供がいやいやと首を振る。


小さく丸まっていた、その子供をそっと抱きしめて。

「あなたにも、きっとわかる日が来るわ。大切な人がいつか現れる。ね。笑って。貴方が笑ってくれないと、ね?」

その子の瞳からこぼれた涙をそっとぬぐい、なだめながらやさしく言う。


「今日はお祝いなんだから。みんなのところに戻りましょ。あなたの好きなものもたくさん用意してるのよ。さあ」

その子の手をとり、姉が優しく外へ促す。


外に出ると様子がおかしい。

さっきまでお祝いの雰囲気で陽気だったのに。。。

皆がざわついて空を見上げている。

空に視線を向けると色がいつもと違う。


「何?どうしたのこれ?」

「お姉ちゃん。。。」

妹が足にしがみついて震える。

「大丈夫よ。。。大丈夫」

妹をなだめながら自分に言い聞かせる。


それは一瞬の事だった。


視界が紅く染まると同時に、全てが炎に包まれていた。

焼ける体で妹の姿を探す。

真っ赤な炎に包まれ、黒く焼けただれていく小さな姿が見えた。

それも一瞬で自分も同じだと気づいた瞬間、意識が無くなった。


。。。


大いなる者の粛清が始まった。


星炎竜が地上に姿を現した。

その威容を霊山の上空に晒す。

全長は優に3000mを越える巨大な姿。

見たものは、それが一つの生物であることを拒絶する。


星炎竜が地上に出ると、霊山の氷が一瞬で溶けだす。

そこにいた小さな生き物たちは、炎の熱ですぐに炭化して果てた。


彼は何もしない。

ただそこに在る、それだけで破壊と恐怖をまき散らす存在だった。

六枚の翼をほんの少し羽ばたかせるだけで、山は燃え、空は赤く染まる。


その目にはかつて理性を宿した光はなく、衝動に駆られ紅く染まっていた。


。。。


「もうおしまいだ。。。」

全てに等しく訪れる絶望を前に、普通人も、古代種も、魔族も、全ての人が諦めたその時、西の空から一筋の光が現れる。


その赤い光は、真っすぐに絶望の根源へと向かっていた。


紅い鎧へと姿を変えた少女とその肩に乗る少年が飛ぶ。

「アイシャ!このまま飛んで!」

「分かってる!」


俺たちは、抗えぬ死に向かって突き進む。

たった一つの希望を胸に。


そして、その姿が見えてきた。


「まだ相当の距離があるはずなんだがな」

俺はその想像以上の大きさにおののく。

「本当。とんでもないわね」

アイシャも現実を目の前にして弱気になった。

「。。。見て」

アインが指さした先には、黒焦げになり破壊された街や村が見える。


唇をかむ少年。

「止めなきゃ。ここで」

俺たちもうなずく。


こんなとこで、びびってる場合じゃない。

そう覚悟して速度を上げる。


近付くにつれて熱風が体を焼く。

「アイン!あたしの背中に回って。一気に接近するから我慢してね!」

「分かった!」


俺も力を纏いに集中して防御に回る。

「わが身を守りたまえ、守護者の黄金律!」


黄金の鎧を身に纏うと外気の熱が遮断された。

そして俺たちは、その巨大な竜と対峙した。


「巨大(でか)すぎる!」

俺は驚愕の声を上げる。


巨大な都市と同じ大きさの竜に対して、俺たちは小さなコバエ程度の大きさだ。

近付いても認識されず声など届くはずもない。


さらに、熱風に加え、俺たちが近付くと同時に眷属である炎の竜が現れた。

星炎竜の炎の体から、湧き出すように数十匹の竜が現れ迎撃体制をとる。


「まずいわね、これ。。。あ、そうだ」

アイシャが何かを思いつく。


「あいつらはあたしたちが引き付けるから、あんた達は目的を果たすのよ」

「そうはいっても近づけないんじゃ。。。」

なんか嫌な予感がする。。。


「こうするのよ!」

紅い鎧がアインをむんずとつかんで、星炎竜に向かって投げつける。


「どひぃぃぃいいいいいい」


ものすごい勢いで投げられたアインは、体を丸くして風圧に耐えた。


それを追おうとする眷属にアイシャの剣が突き刺さる。


「あんたたちの相手は、あたしよ!よそ見してんじゃないわよ!ヴァルカ!本気出すわよ!」

「応ともさ。ご主人!」


俺たちは、眷属との戦いをアイシャに任せて星炎竜の説得へ向かった。



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