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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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死地への飛翔

ラァァァァアアアアーーーーーーー


「おい、何か聞こえないか?」

鍬を振り下ろしていた手を休め、若い農夫が不思議な音を聞く。


美しくも不安を誘うその音は、はるか上空から一瞬で世界中に広がった。

その音を耳にした全ての生物が空を見上げる。


音が発生した方向から、空の色が変わっていく。

青から紫へと変わる空を見た人々は、本能的に世界の終わりを感じた。


「あれは、なんだ?」

旅商人の男が気付く。


北の空が紅い。

そこに新たな太陽が現れたかのように空が紅く染まっている。

何か良くないことが起こる、紅く染まった空を見て男はそう思った。


高い塔に登っていた、視力自慢の少女がそれを見て悲鳴を上げた。


「きゃぁぁぁああああああ!」


何を見たのか尋ねる前に、その少女は気を失ってしまった。


。。。


「!」


谷底の村にいるアイン達もその音を聞いていた。

アインは、大切な人の消滅にうなだれていた。

そんな少年の気持ちなど、お構いなしに状況が変わっていく。


空の色が変わると、国王軍に動揺が走った。


「始まってしまったのか。。。」

ナージャは顔色を悪くして狼狽している。


(坊主。。。立てるか?)

「うん。。。何が起こったの?」

涙が乾く暇もなく少年は動き出す。

俺とアインは何が起こったか知るために崖上に登ることにした。


途中でアイシャと合流し、そのまま崖上に向かう。

視界が広がり、目に飛び込んできたのは、一面が紫色に変化した空と紅く染まった北の空。


「ぐぅっ!」

アインが左目を押さえる。

灼煌の魔眼が反応し、はるか遠方の映像が目に映る。

俺と坊主は信じられない思いでそれを見た。


六枚の羽を持ち、体中に炎を纏った巨大な竜を。


。。。


詰問の間で三賢者と二人の魔術師がその音を聞き、世界の変化に気付いた。

ジンライは、それが世界の終わりを告げる鐘の音であることを知る。


遠見の水鏡で外の様子を見ていたクラークは動揺している。


「早い?!こんなはずでは。。。」


どうやら、想定外の事が起こったようだ。

そこに映ったのは、紅き炎の竜。

世界の終焉をもたらすと伝えられる星炎竜だった。


三賢者は、それを聞き慌てる様子もなく、何処か憮然としている。


「クラークよ。これも計画のうちか?」

ジンライは兄弟子の慌てる様子に、珍しい物を見た気持ちになった。


「くっ!」

クラークが忌々し気ににらみ返す。


「ここに至っては仕方がなかろう」

ホークウッドが睨みあう二人を諫める。


「わしらの奸計(かんけい)など、大いなる者は意も解さぬか。世界の未来は、あの少年に託されたということじゃ」

ルイドルドは他人事の様だ。


「左様。この難関を乗り切れば良し。そうでなければ、共に滅びる運命だったということだ」

ヤファエルはどのような結果も受け入れるようだ。


その三賢者の態度は世界の趨勢に興味が無いように見えた。

違和感を感じつつ、ジンライもあの少年に運命を任せることを受け入れるしかなかった。


。。。


「星炎竜が。。。なんで。。。」

王との約束はどうなったのか、何が起こったのか、アインは混乱した。

そして、あの男の言葉を思い出す。


「。。。すでに勝敗は見えているのだよ。。。。」


彼女を救うのが遅かったのか。

零落の花姫の死が終焉を早めたのか。


「ジル。。。」

彼女の名前をつぶやくアイン。

目にした紅い空を見つめ絶望して膝をつく。


「もう。。。だめなのかも。。。」

少年の心が折れかける。

誰も何をすればいいのか思いつかない。


「まだよ!!!」

皆があきらめかけたその時、アイシャが声を上げる。


少女に視線が集まる。


アインの胸ぐらを掴んで立ち上がらせると言った。

「あんたが、膝をつくことは私は許さない!このまま、あんたの大切な人のせいで世界が無くなってもいいの?!」


少年は、はっとして少女の顔を見る。

優しい彼女が、そんなことを望むはずがない。


「でも、どうすればいいかわからないんだ。。。」

「もう一度、あそこに行って昔の王がしたように貴方が話すのよ!」


無茶苦茶なことを言い出す。

そもそも、ここから北の霊山まで数か月もかかる。

「しかし、どうやってあそこまで行くんだ?」

俺はアイシャに尋ねた。


「まっかせなさーい!」

少女が、ふふんと胸を張り、どや顔でそう言った。


「ヴァルカ!いいわね?!」

周囲を下がらせて自らの使役人形(スレイブ・ドール)を呼び出す。

「いいぜ。ご主人」

ドールの返事を待って、アイシャはそれを呼び出した。


「お出でなさい!エクサ!」


ふぉん!


少女の頭上に魔法陣が描かれ、黒い鎧が現れた。

地下迷宮で戦った、異邦なる機械(エクス・ゼノ・マキナ)がそこに出現した。

皆が驚いているところに、ヴァルカが鎧に飛び込むと黒かった鎧が紅くなる。


『いいぜ!ご主人!』

ヴァルカの声に頷き、少女が叫ぶ。

「操者合一!」

アイシャの体が鎧に吸い込まれて合体した。


『さあ、乗って!私が連れて行ってあげる!』

アイシャの声が促す。

「これって。。。」

アインと俺は度肝を抜かれて呆然とした。

『説明してる暇はないわ!』


アインが手に掴まり肩に乗ると鎧が動き出した。


『落っこちないでよぉ!』

そう言って、飛び上がった紅い鎧は、北へ向かって一直線に飛び去った。



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