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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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少女の願い

俺の言葉にアインは驚き、信じられないという目をした。

「白さん。。。何で。。。」

「おまえが、望んだ答えがこれか?」


仲間達もそんな事が起こるとは思っていなかったのだろう、驚いたようだ。

「お前、何言ってんだよ。アインの覚悟を無駄にするつもりか?」

カイルが怒りを抑えて俺に言う。


「覚悟?何の覚悟だよ。あの子を犠牲にする覚悟か?」

坊主がびくっとする。


「くっ。。。」

皆が言葉もなく押し黙る。


「でも、こうしないと皆が。。。」

坊主が絞り出すように言う。


「誰かのために、誰かを犠牲にする。お前の目指した王はそうじゃないはずだ」

「。。。」

「あいつだって、できれば犠牲なんて出したくなかったはずだ。水辺の民が滅んだのだって、あいつが命令したわけじゃない。そこには彼らの意思があったはずだよ」

呉井はこの世界のすべてを救う事を目指していた。


「でも。。。じゃあどうすればいいんだよ!」

「俺にもわかんねーよ!だから、考えるんだ!最善ってのは考えた先にあるもんだろ。あきらめた先には後悔しか残らないぞ!」

アインが感情的になり、俺も言い返してしまう。


「。。。」

「。。。」


俺たち二人が押し黙っていると、リタが何かに気付いた。

「。。。ねえ、あのデカ物小さくなってない?」


見ると、崖上まであった身長が、今はその半分まで縮まっていた。

暴風は今も吹き荒れて、眷属を巻き込んで殺戮に及んでいる。


ナージャが声を上げる。

「そうか!もしかすると。。。あの体は、周りの眷属から力の供給を受けてもいるのかもしれん。体を維持するために混成人(アマルガム)の力が必要なんじゃ。ならば、精霊の力を引き剥がすことができれば。。。」


ミリーが言葉をつなげる。

「あの巨体を維持できなくなるってことですね!」


「?!」

「なら、まだやれることはあるな」

俺と坊主は同時に気付く。

黄金律の力が、魔物化を抑えることが出来ることを思い出した。

精霊に直接干渉することはできなくとも、この剣なら精霊を引き剝がすことができるかもしれない。


「白さん。ごめん」

「。。。」


アインは一人、内なる心に向き合い独白を始めた。

「僕は選択したつもりで諦めていたのかもしれない。皆を救うことを言い訳にして、考えることを放棄してた。辛い現実を前に終わりにしたいと。。。それで楽になろうとした。王が最初に諦めてしまってはだめだよね」

少年は最後に自嘲するように笑った。


「救える可能性が少しでもあるなら、それを行おう」


「王命(オーダー)!この地の同胞(はらから)を解放せよ!」

「了承 分断せよ!裁定者(アービターズ)の黄金律(・ゴールデンオーダー)!」


黄金の剣が塵となって上空へ登っていく。


国王軍の殿を務めていたアイシャが異変に気付く。

「雪?」


空から雪のように金色の光の粒が降ってきた。

チラチラ、ゆらゆらと降るその光に触れた混成人(アマルガム)が動きを止める。

すると、混成人(アマルガム)の体に変化が起こった。


植え付けられた花の苗が徐々に枯れていく。

変異した体が元の姿に戻る。


黄金色の雪が降り積もる。

それは、零落の花姫にも変化をもたらした。


花は萎れ、蔓は動くのをやめ、茎が徐々に枯れていく。

その巨体を維持する事ができなくなったのか、上半身からばさばさと枯れた茎が剥がれ落ちてくる。


ゆっくりとその形を崩していき、最後に大きな蔓の瘤が残った。

それも、枯れて中にいる少女が露わになる。


いつの間にか吹き荒れていた暴風は止んでいた。


。。。


。。。ジル。。。ジル、起きて!。。。

誰かの声が聞こえる。

懐かしい。ああ、この声は知ってる。


あ、いん

アインだ。あの子の声だ。


「ジル!」

今度は声がはっきり聞こえた。


目を開けようとする。

瞼が重い。

光を感じる。

そっと開くと、懐かしい顔と金色の髪が見えた。


「。。。あ、い。。。ん」

「ジル!目を覚まして!」


「ああ、アインだ。。。来てくれたのね」

少女は願いが届いたことが嬉しくて涙を流す。


「ごめんね、遅くなって。。。」

少年も涙を流している。


「あたしね、きっと来てくれるって信じてた。立派な王様になった貴方が助けてくれるって。。。本当に願いが叶ったのね。。。」

「うん、僕はここにいるよ。だから元気を出して。。。」

少年は、四肢を失った少女を抱きかかえ、涙を流しながら励ました。


「うん、ありがとう。アイン。。。」

そう言う少女の目が閉じる。

穏やかに優しい顔で。


「うそだ、だめだよ。目を開けてジル!こんなの。。。」

そして、少女の体は光の粒になって消え、その光は、薄暗い谷間から覗く小さな空へと消えていった。


「。。。ジルぅ。。うううううぅぅぅ。。うわぁああああああ!」

少年の泣き声が峡谷に響き渡り、その場にいた全ての人々が黙礼を捧げた。


俺は、その時はっきり見ていた。

空に昇る少女の姿と、それを迎える少年の姿を。


あの姉弟は、風になって、その谷を見守っていくのだろう。

苦しみから解放された自由な姿で、いつまでも、いつまでも。。。


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