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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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王への恨み

「おまえぇえええ!」

目の前に現れた男を目にし、アインは我を忘れて斬りかかった。


男はそれを避けようともせずに、にやにやと笑っている。


ざっ!


魔法剣特有の見えない刃に、男の体が両断され崩れ落ちる。


俺は、手応えのなさに違和感を感じつつ、坊主の様子が気になった


「はぁ、はぁ」


初めて怒りに任せて人を斬った少年の手は震えていた。


「それで、終わりかね?」

倒れていた男の体が形を崩し、不定形のスライムの様な形状に変化する。


「なに!」

徐々に人の形に戻り始める男を驚きの目で見つめる。


「私の体が奇異に見えるかね?これも王の罪の一つだと言うのに」

元の姿に戻った男の目が怒りに染まる。


「はぁ、はぁ。お前がジルを。。。お前のせいでぇえええ!!!!」

アインは相手の言葉が届かない程怒り狂っていた。


俺は少年の冷静さを取り戻すために、剣に移って男に話しかけた。


「罪とはなんだ」

「白さん?」


「ほぉ。伝説の剣と聞いていたが喋るのか。興味深い」

男が俺(剣)に興味を抱くが無視して話を進める。


「もう一度聞く、王の罪とは何だ?」

「知れたこと、世界の救済を標榜し、民をだまして戦争を起こし、自らはどこぞへ逃げ出したことよ」


違う。こいつは間違った歴史に生きている。


男が言葉を続ける。

「。。。というのは表向きの理由だが、それが真実ではないことは理解している。だが、我らの一族はそれによって滅んだのだ。過程はどうあれ、そこに何の違いがあろう」


「。。。」

アインも冷静さを取り戻し、男の話を聞いている。


男の一族は、水辺に住む小型の両生生物で、その姿は上半身が人間で両足に鱗とヒレを持っていた。


水の精霊の加護を色濃く残すその古代種は、水辺に住むもの(リパリア )と呼ばれ、その温厚な性格は戦いを好まなかった。


彼らの元に王の指令が来たとき、族長は一族を巻き込むことをためらった。

しかし、彼らの水辺での特殊な能力が必要だった王は、直々に説得を行い戦線に引き出した。


紅い川(レッド・リバー)の攻防において、水を自在に操る彼らの力は魔族軍に必要とされていた。

彼らは王が姿を隠しても、最後まで魔族軍の撤退を支援し前線に残る。

その結果、一族全員が生きて帰ることはなかった。


「私は、その一族の最後の生き残りだ。卵生である我らは、卵の状態で冷たい川底にいると、孵化せずに長い時を越えるという言い伝えがあったそうだ。母は私をそうして生き残らせようとしたのだろう。しかし。。。」

男は自らの体を見て自嘲しながら手を変化させた。


「見ろ、この醜い姿を。長い年月を繰り返す間に、無防備な卵だった私は精霊に侵されていった。水と土の精霊を取り込んでいった結果がこの体だ」

泥のような体に生まれ堕ちた者の行く末は推して知るべしだ。


「生まれたばかりの私は、この泥のような体しかなかった。だが、先生に出会い人の体を与えられた」

「先生?それはだれだ」

「彼女は、自らを魔女と言っていた。亜麻色の髪の美しい人だった」

男は恍惚な表情になる。


アリーシャだ。ではダネフの祠の記憶に残っている、あの少年はこいつか。。。。


「先生は僕に生きる意味を与えてくれた。この世界の人々を救済するのは王ではなくあなただと」


「。。。」

アインは黙って男の言葉を聞いている。


「私は、先生の言葉通り、先生の願いに近づくためにこの教団を創った!たとえ王であろうとも邪魔する者は排除する!」

男の言葉が終わるその時、周りの触手がアインをからめとろうと動き出す。


触手が鎧にはじかれると同時に守護者の鎧が霧散した。


時間切れだ。


襲い掛かる触手を、アインの手にした剣が縦横無尽に動き切り裂く


少年が低い声で言う。

「お前の事情など、どうでもいいよ」


激情に駆られた先ほどとは違い、静かな怒りが少年の体を満たしてゆく。


「ジルを。。。この地の人々を苦しめた。僕が裁く理由はそれだけだ」


男が叫ぶ。

「やってみるがいい!その力、私に通じぬがな!」


アインは、切っ先を男から壁につながれた少女に向け、一気に駆け出した。

(ごめん。ジル)

(。。。)

心の中で謝罪するアイン。

俺は複雑な心境で坊主の行動を見ていた。


不意を突かれた男は、その突進を止めることができず悲鳴を上げる。

「やめろぉおおおお!」


剣先が少女の体に触れる寸前、突如突風が吹き荒れる。


「ぐぁ!」

アインは、壁に激突し体勢を崩す。

「これって。。。まさか、ロッシ、ロッシなの?!」

風の精霊となって消えた、ジルの弟の名を思い出す。


風はさらに強く渦巻き、立って居ることも難しくなる。

「ロッシ!やめて!もう、ジルは。。。」

アインの声は届かない。


俺は風の精霊の声を聞いた。

(お姉ちゃんを傷つけることは許さない)


「がぁ!」

「うわぁあ!」


そして、洞の一部に穴が開き、男もろともはじき出された。

ロッシの起こした旋風は、巨大な花人の体を貫き、二人を体の外まで追い出した。


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