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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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出陣

執務室の扉が開きアインが姿を見せた。

部屋の中にいた、十数人の目が一斉にアインへ視線を向ける。


「ごめん、みんな」

「大丈夫なのか?」

謝る少年にカイルが気遣うように声をかける。


「うん、大丈夫。。。僕にも話を聞かせて」

言葉ほどは回復していない様子に心配顔で見るカイル。


「さあ、いくわよ」

そんな少年の手を引いて部屋に入るアイシャ。


「お、おい」

アイシャは、途惑いながら道を開けるカイルに大丈夫だからとうなずく。


「王の御前よ。報告をお願い」

アイシャがその場を取り仕切る。


エラランは少女の真意を受けて報告を続けた。


「アイン様がお戻りになられたので初めから報告します。地下都市に残っていた者は救助された住人以外は居ませんでした。おそらく、あの混成人(アマルガム)、零落の花姫《フローラ・デプロラタ 》に飲み込まれたと考えられます」


その名が出たときにアインの肩が震えた。


「それから、今日までの7日間において、各地で教団による被害が多数報告されています。町や村に潜んでいた混成人(アマルガム)達が一斉に暴れだし鎮圧に時間がかかっています。」

あの日を境に教団は行動を開始したらしい。


「そして、ここからが本題ですが、一部の街と村が壊滅しました」


「!?」

アインはその報告に驚く。

「壊滅?それはどういう。。。」

「文字通りの意味です。復旧困難な状態まで破壊と殺戮が行われました。その。。。零落の花姫《フローラ・デプロラタ 》によって。。。」

エラランがその名を言うのをためらいながらも報告する。


「。。。続けて」

「はい。。。生き延びて避難して来た住民によると、初めに潜伏していた混成人(アマルガム)達が暴れだし、人々を喰い散らしたそうです」

うっと吐きそうな声を出すアイシャを横目に報告を続けるエララン。


「そして、ほとんどの住民が居なくなってから、巨大な花の化けも。。。いや、零落の花姫が現れたそうです」

エラランはアインの心情を慮(おもんばか)って言い直す。

「零落の花姫は、住民を捕食して力をつけた混成人(アマルガム)をその身に取り込んでいったということです」


「。。。」


「カイル殿の報告にあった姿よりも、はるかに巨大に成長していると考えられます。。。アイン様!」

ふらつく少年を心配して声をかける。


「大丈夫。。。だいじょうぶだから。。。」


「。。。今はどの辺に居るか分かってるの?」

アイシャが代わりに状況報告を促す。


「はい。。。現在はその身を隠すことなく、南西の峡谷にある廃村に陣取っています。我々を敵とみなしていないのでしょう」


「谷底の村。。。ジルの故郷だ。。。」

アインは共に過ごした村のことを思い出す。


そこで、少女と出会い、助けられた。

つらい別れを目にし王となることを誓った。


「行かなきゃ。。。ジルが僕を呼んでる」

きっと自分を待っているんだと感じるアイン。

「カーラの報告ではあの混成人(アマルガム)は人に寄生し操る能力もあるようです。どれだけの敵がいるか分かりませんぞ。それでも行かれるのですか?」


「うん」

「仰せのままに。我々は王に最後まで付き従います」

エラランは、「今いる兵をかき集めるんだ!」と部下に指示する。


城の兵力を全て注ぎ込むつもりだ。

「アイン様の為さりたいことをしてください。我々は、そのための道を開きます」

うなずく執政官の皆に、ありがとうと言って仲間を見る。


「みんな、付き合わせてごめん。。。」

「おぉい、アイン、ここで言う言葉はそうじゃないだろ」

カイルがアインの額を小突く。


「僕らでみんなを助けに行こう」

アインが言い直し、皆が気合を入れる。


「あたしも行くからね。止めないわよね」

アイシャがそう言ってウインクすると少年は笑って「助かるよ」と言った。

「感謝しなさいよねっ」

頬を赤くしてそっぽを向く少女を見て、皆の緊張した空気がゆるむ。


「ここから、現地までは急いでも3週間はかかります。移動方法についてですが。。。」

そう話を始めるエラランに待ったをかけるファラ。

「ちょっと待って。それに関しては私にいい考えがある」

以前、有翼族(シルフ)の村で行ったレースの事を思い出す。

有翼族(シルフ)に協力してもらい、定位置に配置した数人でリレーして運ぶ事が可能だそうだ。

これなら移動速度は何倍にもなる。


ファラがアインにこっそり耳打ちする。

「この前のレースが評判でね。またやりたいって声が多いんだよ」

どんな時でも遊興を忘れない性格に呆れつつも、笑って「助かります」と答える。


「兵と物資の運搬、補給は有翼族(シルフ)に任せる。アイン様は先行して現地に向かわれますよね?」

どうせ、と言いたそうな表情でエラランが聞くと、アインは「もちろん」と答えた。


執政官たちは、すぐに準備を始めると、部下に指示を出しながらあわただしく動き出した。


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