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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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後悔の後

「また、奴が現れたそうだ、クソっ」

忌々しそうにカイルが吐き捨てる。


「零落の花姫《フローラ・デプロラタ 》か。。。」

エラランが眉間にしわを寄せる。


アイン達は城に戻り、アインを除く仲間が執務室で対策を話し合っていた。

教主と思われる男が去ったあと、聖堂やその他の教団施設を探索したが、主要な人物は逃げ出した後だった。

調査の途中で教主の部屋に女性の像を発見した。

酷く汚れたその像はどこか母に似ているとアインは思った。


ナージャがその像に魔法陣が仕掛けてあることに気付く。

過去の記憶を見せるダネフの祠と同じものだった。

アインが手をかざすと、球形の魔法陣が展開し記憶の継承が始まった。

それは、どこかの森の中にある祠の中に女性ともう一人、少年がいた。

女性はアリーシャだ。

その記憶では、アリーシャは魔術を駆使して祠を破壊していた。


あの男の言っていたことが事実であることが分かり、一同が落胆する。

ナージャが考えながらつぶやく。

「。。。この記憶を残したのは、あのバカ弟子じゃろうが、なぜわざわざこんなことをする?それと、こんな記憶を残す理由は何じゃ?」


祠を破壊する意味やそれを知らせる理由が分からない。


懐かしい母の姿を見ても、アインは沈み込んでいた。

ジルがあんな姿になっていたことが相当なショックだったようだ。


声をかけても覇気がなく目の光を失っている。

休息が必要だということで城に戻った。


アインはそれから自室から出てきていない。

俺は、そんな坊主にかける言葉がなく、近くに寄り添っていた。


こんな坊主を見るのは2度目だ。

村を盗賊に襲われ、両親が死んだあの日もこんな目をしていた。


今の自分に坊主を立ち直らせる力はない。

己の無力さに腹が立つ。

結局、俺はただの浮遊霊でしかなく見守ることしかできない。


ばぁあん!


そんな風に落ち込んでいると、突然大きな音を立てて扉が開いた。


「あんた何やってんのよ!」

アイシャが仁王立ちしてにらんでいる。


こちらを見ようともしないアインに、苛立ちを露わにずかずかと近づく。


ばしっ!


少年の胸ぐらをつかんで頬をひっぱたく。


「しっかりしなさいよ!あなた王様でしょ!」


それでも、アインの目に光は戻らない。


がっ!


アイシャが今度は拳で殴りつけた。

アインがよろよろと倒れる。


「いいかげんにしなさいよ!今、ぐす、自分が何を。。ぐす。しなきゃ。。いけないか。分からないの?」

少女の泣き声が言葉を詰まらせていることに気付く。

そんなアイシャの声を初めて聞いたアインは、視線を少女に向ける


アイシャが泣いていた。

少年を殴った拳を押さえながら、大粒の涙を流していた。


彼女の泣く姿を初めて見た。


「。。。でも、僕のせいで。。ジルは。。。」

アインの小さな言葉がこぼれる。


アイシャは再び少年の胸ぐらを掴む。

「後悔したって仕方ないじゃない!今までだってやれることを精一杯してきたんでしょ」

ぐっと顔を寄せて目を見つめる。


「あの人があなたにとって大切なのは分かってる。それでも私たちは、あなたの言葉が必要なの!あたしが好きになったのは、人のために真っすぐに王様になろうとしていたあなたなんだから、早く元に戻ってよぉ。。ぅぅううう」

少女の目からとめどなく涙があふれ床に落ちた。


下を向き、崩れ落ちて泣き続ける少女にアインは声をかけた。


「アイシャ、ごめん。僕がこんな姿を見せてはいけないよね。王様なんだから。ジルもきっと望んでない。。。」


はっと顔を上げて少年の目を見るアイシャ。

そこにかすかな光を見つける。


アインは手を貸して少女を立ち上がらせる。


「行こう。みんなを助けるんだ」


少年の言葉にこれまでの勇気を感じて少女は力強く返事をする。

「はい!」


連れだって歩き出す少年少女の背中を見ながら、俺は安心していた。

あの頃とは違う。

坊主は一人じゃないんだ。


間違いを正す友がいて、支えてくれる仲間がいる。

俺は見ていることしか出来ないけど、少年の世界が広がっていくことの喜びと、ほんの少しの寂しさを感じていた。



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