↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/212

潜入

数人の人を乗せた馬車が街道を往く。

乗客は初老の男と中年の男、若い男女。母親と男の子。

全員が、体の一部に魔物化の初期症状が現れている。


車内の空気が重い。

乗客の顔はこれから死地に向かう囚人のように暗かった。


そこにカーラもいた。

数週間、人類圏に渡り情報を集め、この馬車の存在にたどり着いた。

魔物化に罹患した普通人(ネイティ)を魔族領の境界に送るための乗合馬車。

というよりも、労働力にならなくなった罹患者を捨てるための回収車というのが本当のところだ。


じー


視線を感じて横を向くと、子供と目が合った。

子供はすぐに目をそらす。


「。。。」

カーラがまた前を向くと子供が視線を向ける。


「なんだ?」

カーラが何か用かと尋ねると、母親が謝りだした。


「ごめんなさい、ごめんなさい。お許しください」

その大げさな反応に口調が強かったかと反省し柔らかく話す。


「いや、気にしないでください。坊やが私に興味があるようなので。ぼく、何かな?」

子供がじっと目を見る。

「目が真っ赤」

「これ!」

母親が子供を叱る。


カーラがそれを止めて話しかける。

「気になるかい?私は昔からこれのせいで目が悪くてね。仕事もろくにこなせないのさ。坊やにもどこか特別な部分があるんじゃないかい?」


カーラは、自分の赤眼を魔物化による精霊痕である事を説明する。

「うん、これ」

そういって少年は腕をまくった。

そこには魚の鱗のように肌の一部が変化していた。


「およしなさい!人に見せるものじゃないわ」

母親が少年の袖を元に戻し抱き寄せる。

「ごめんなさい、ごめんなさい。。。」

何度も謝る母親は、その体の変化により、余程ひどい扱いを受けたのだろう。

「いや、お母さん。そんなに責めないであげて下さい。そのようになったのはその子のせいではない」

「ごめんなさい、ごめんなさい。。。」

なおも謝る母親に落ち着くように言う。


「貴方がこれまで酷い仕打ちを受けてきた事はわかります。でも子供にとってその痕は自分の一部でもあるんです。それは受け入れていくしかない。。。この目を見てください。私はこれを精霊の祝福として受け入れて生きてきました。どうか、自分たちの不幸を嘆くだけにはならないでください」


そうカーラが母親に語ると、前に座る中年の男が絡んできた。

「けっ!なにが精霊の祝福だ。俺の足を見てみろ。片方の足が木みたいになって満足に動かねぇ。ネェチャンよぉ。あんたこそ現実を見たほうがいいんじゃねぇか?」


(ああ、これが魔物化で心がすさんでいった普通人(ネイティ)なんだな)

火守として何十と難民の保護をしてきたが、本当に彼らに寄り添っていたわけではなかった。所詮は普通人(ネイティ)と見て彼らの本当の心を見ようとしてこなかった自分を恥じた。


「それでも。。。」


ガタッ


カーラが言葉を続けようとしたとき、急に馬車が止まった。

乗客が不安な目を馬車の外に向ける。


人の声が聞こえる。


御者の男が誰かと話している。

「おい、お前ら!向こうの馬車に乗れ」


見ると灰色のローブ姿の男が御者に何かを渡していた。

乗客が全員馬車から降りると、灰色のローブを着た数人が寄ってきた。


「さあ、貴方たちを保護しに来ました。これからは苦しいことも嫌なこともありません。私たちと共に参りましょう」


そう言った男の手には緑玉色(エメラルドグリーン)の宝珠が握られていた。

カーラはそっと袋から同じ精神の宝珠を取り出し精神支配に対抗する。


(やっと接触できた。隙を見てアイン様に連絡しなければ。。)

こうしてカーラは教団にもぐりこむことに成功した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。