↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/212

三賢者

どどどどどどどぉぉぉぉ


流れ落ちる滝を前に、剃髪の男が座禅を組み、静かにたたずんでいる。

20mの高さから落ちる水は毎秒数トンもの水量を誇り、近くにいるだけで自然の雄大さに圧倒される。

自然の威容を前にすると己の矮小さを自覚する。


剃髪の男ゴウライは先の戦いで負った怪我を治すため、そして、己を見つめ直すために故郷である東国へ戻っていた。


「傷のほうはどうかの?」

白髪の老人が声をかける。

何の気配も感じさせずに姿を現したこの老人こそ、崩山拳の開祖だった。


「八割ほどといったところです」

ゴウライは自らの肉体に刻まれた傷の様子を確かめて言う。


「その傷、剣によるものじゃな。お主に斬撃で傷をつける相手とはな。。。」

老人は感心したように言う。


「はい、尋常ならざる強さでした。しかし、この傷は自らの慢心が招いたもの。相手の強さのみの敗北ではありません。自身の心の弱さを思い知らされました」

アインとの戦いで、どこかで相手の強さを認めたくない自分がいた。その傲慢さが警戒を怠ったのだろうと分析していた。


「その者、覚醒者やもしれぬ」

「覚醒者。。。ですか」

ゴウライも耳にしたことのある特異能力者。

ある者は魔術に長け、ある者は知略に、またある者は力に、人の到達できるはるか先の能力を身に宿すと言われる。


最後に歴史に現れたのが魔王であり、それから千年の間一人として出現していない。


「世が動く時、いずれもその者が関わるとされる異能のもの。再び現れるとはな」

老人は世界の変革を予感する。

覚醒者のすべてが善ではなく、その力を使い世界に混乱を招いた事もあった。

見極めが必要である。


そう思う心とは別に、男の心には暗く燃え盛る野心が沸いていた。

強者に対するあこがれと、打ち倒したい強い衝動。


「ならば、我が立ちはだかりましょうぞ」


一気に膨れ上がる覇気に、老人は薄く目を細め、弟子の発した愚かしくも否定できぬ真理を認める。


「はぁあ!」

ゴウライは立ち上がり、目の前の滝に向かって気合とともに拳を叩きつける。

その勢いは、一瞬滝の流れを止める。

飛散した水は周辺に時ならぬ雨となって降り注いだ。


。。。


黒梟:疾爪はダネフの祠で事実を知った後、学舎への帰還の途についていた。

任務放棄ともとられる行動だが、共有思念体(ハイヴ)経由で報告済みだ。


「なあ、班長。こんなことして大丈夫なのか?」

ザジが、この行動に対する是非を問う。


「なんだ、おまえ戻りたがってたんじゃなかったか?まあ冗談はともかく、評議会の真意が見えなければ、俺たちは捨て駒になる。このまま当て馬のような役回りはまっぴらだからな」

ジンライはメンバーの利益優先で今回の行動をとった。

特務部隊の性質上、理由を知らされない任務はこれまでにもあったが、今回は規模が違う。


世界の破滅という人知を超えた破局に、何の知識もなく関わるわけにはいかない。


「それで?このまま戻って誰に聞くって言うの?」

サーニャも懐疑的だ。


「三賢者のじい様達に聞く。評議会のトップだ何も知らんことは無いだろ」

それを聞いたザジとサーニャは、鼻白んでひそひそと会話する。


「そんなのと接触出来るなんて、うちの班長は何者なんだ?」

「知らないわよ。まあ、得体の知れなさでは部隊でも飛びぬけてるんでしょうけど。。。」


「。。。」

アルはそれを聞きながらも黙して語らず、馬車の外を流れる風景を眺めていた。


。。。


三賢者。


魔術師評議会を取り仕切る大魔術師からなる執行役の中で、最も影響力を持つ三人の魔導士のことをそう呼んでいた。そこに、二人の大魔術師が加わり五賢人と称された。


頭(かしら)のホークウッド

右のルイドルド

左のヤファイエ


3人の大賢者の前に、大魔術師クラークが跪き首を垂れる。

「三賢者の皆様にはご健勝であらせられますこと、心よりお慶び申し上げます」


この男が五賢人の末席におり、もう一人が空席なため、ここにいる四人が魔術師評議会の意思決定を行っていた。


「世辞はよい、それで、今日は何の話だ?」

頭のホークウッドが胡散臭げな眼差しを向ける。


「梟に知られました」

その意味するところを理解し、三賢者は憮然とする。

「そんなことを言いに来たのではなかろう?いずれは気付く事は分かっておった。それより、本題に入ったらどうだ?」

右のルイドルドが気怠そうに尋ねる。


「子狐が穴に入りました」

クラークが報告すると三賢者はほぉっと息を吐く。


「ようやくか。ずいぶん時間がかかったものだ」

「寄り道が過ぎるのではないか?」

「必要とは言え、扱いづらい”もの”を遺してくれたものよ」


「ここで、彼の者を腐(くさ)しても仕方ないでしょう。自らの意思で選択した事実が重要なのですから」

クラークは話を戻して続ける。

「何れにしても、導きに従い我々も動き出さねばなりません。梟についてはお任せします」


「ああ、そうだな。そちらは任せてもらおう。約束の時が近付いているのかもしれん。決して手綱を緩めぬようにな」

左のヤファイエが念を押すようにクラークに言う。


「新たな世界のために」


クラークは恭しく頭を下げ退室していった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。