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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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藪をつつくと。。。

午後の日差しが影を深く刻む夕刻。

普通の民家にしか見えない家の一角で、僧衣を纏った男が女から報告を受けていた。

その女も、女性用の僧衣を着用していることから、この組織では上位に位置する事が分かる。


「宣教者がまた一人消されました。しかも、御使い二体も一緒に。。。」

「。。。」

女の報告を聞くと、その男は忌々し気に口元を歪めた。

「奴らに潰された家(ホーム)は優に20を超えています。このまま放置していては、いずれここにたどり着くのも時間の問題と考えます」


「。。。王の力は絶大だ。翻って我らのなんとも弱き事よ」

「。。。」

女は黙って男の言葉を待った。


男が目を細めて語る。

「教化を急げ。強大な力には数で対抗する。家(ホーム)については教順者の家を清めれば事足りよう。人々の欲望が刺激されるようにささやき続けよ。人は愚かなほど快楽に抗えない存在だ。たとえそれが悪しきと知っても、目の前の欲望を抑えることが出来ないのが人間だ。我らが王に対抗し得るのは、その人の愛しき愚かさよ」


女はうなずき、部屋を出ていった。


「王よ、我らの恨み晴らさせてもらうぞ」

夕暮れに染まる部屋の片隅で、暗い影に表情を隠した男はつぶやいた。


。。。


切り立った山の洞窟に祠があった。

注意深く見なければ、自然の岩に紛れて見落としてしまいそうな小さな洞窟。

そこに黒梟:疾爪のメンバーがいた。


「これが、その大昔の大魔術師が作った祠だって?」

ザジは疑いの目を向ける。

それは、ただの岩を組み合わせただけに見えた。


「間違いないだろう。不可視の古代(ルーン)文字が刻まれている」

ジンライがそう断言する。


魔術師としてのレベルが高ければ魔力の流れを目で捉えられる。

それを巧く利用して、普通では見ることの出来ないように文字を隠している、


「それで、ここで何をするつもり?」

サーニャがここまで来た目的を聞く。


「かつて、魔術師評議会を出奔し存在を抹消された大魔術師ダネフ。なぜ、評議会がかつての英雄にそこまでしたか、その理由がここに在る」

ジンライが懐から布に包まれた小さな何かを取り出す。

「それは?」

「評議会が処分してきた子供のミイラの指だ」

ザジは「うげぇ」声を漏らし、サーニャは目を逸らす。


「どうやって、そんなものを手に入れた?」

アルフレッドが聞く。

質問よりも、彼が会話に参加する事の方を3人が驚く。


「伝手を使ってな。評議会でも禁忌とされる種類の話だが、知的欲求に抗えない者は多い。そういうやつの話は耳に入るのでな」

特務部隊と言っても、その中身は懲罰を兼ねたものが主な任務だ。

その班長ともなれば、一般には出回らない話を知る機会も多い。


ジンライが祠に、乾燥して節くれだった子供の指を置く。

すると、祠が輝きだした。


球形の複雑な文様の刻まれた魔法陣が現れる。

その光に包まれた4人の頭にイメージが流れてきた。


ダネフと王との会話。

人魔戦争の一部始終。

魔術の解法の一部について。

アインが見れば、それは情報を補完する有益な手がかりになっただろう。


初めて目にする者にとってそれは衝撃に他ならない。

一通りの情報伝達が終わり、魔法の輝きはいつの間にか収まっていた。


呆然と立ちすくむ四人。


ザジがまだ頭が働かない表情で問いかける。

「えぇーと。つまり、この世界がもうすぐ滅ぶということか?」

「。。。そうだな」

顔の汗を両手で拭い、ジンライが答える。


「奴らはこれを止めようとしてると。。。正気かよ。。。」

「救世主様らしいからね。本人が望む望まないは関係なしに道を進んでるように見えるけど」

「。。。」


「ねぇ、班長。ここに来た理由を教えて。私たちは所詮は使い走りに過ぎないのよ。評議会の命令には絶対のはず。だから、過酷で非道な任務でも意味など知らずにやってこれた」

サーニャが言いたいことは分かる。

どんな任務であれ、自分たちが責任を負わずに済むことは心の負担を減らす。

そう思わなければ、やりきれない思いを皆が抱えていた。


「これまで、彼らを追い続けて、この任務が特別なものだと感じた。それは皆もそうだと思う。評議会の考えが分からずに、行動を強いられるのは危険だと判断した。ここに来たのは、少しでも評議会の思惑を知る手がかりを得るためだったが。。。核心に出くわすとまでは思っていなかった」

皆を巻き込んですまないと、ジンライは頭を下げた。


魔術師評議会はこの事実を掴んでいる。

そして、未だ解決への糸口は見出せていない。

彼らを泳がせ、時に王の力を成長させるように小競り合いを起こす。

今はそれしか出来ないのだろう。


人魔戦争当時の王の力に目覚めるまで。


「結局、王様の力にすがるしかないのかよ。。。評議会もたしたことねぇな」

ザジの素直すぎる感想にだれも異を唱えることは出来なかった。


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