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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
三章 神祇創生

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謎の少年

大陸南西部には広大な樹海が広がっている。

そこは、人類圏と魔族領が重なる土地で、唯一両陣営の人々が行き来することが出来る場所だった。

しかし、魔物の巣窟でもあり、よほどの事情が無ければ近付く者のいない魔の領域とされていた。


鬱蒼と茂る木々を縫うように歩く、十数人の人影。

中には年端もいかぬ子供の姿もあった。


ギャーギャーギャーギャー


魔物の鳴き声が響く暗い森を怯えながら進む一行。

皆一様に暗い顔をしている。


その人々には、魔物化(モンストル・フォーム)の初期症状が現れていた。

普通人(ネイティ)から迫害され逃げ出して来たのだろう。


難民を率いて先頭を歩くのは、フード付きの灰色のローブを被り目元を隠した男だった。


「なぁ、あんた。本当に俺たちを助けてくれるんだよな?」

難民の中から一人の男がローブの男に尋ねる。


「もちろんです。もうすぐ我らの『家』に着きます。そこでは、皆が平等に救いを得られるでしょう」


「こんな魔物だらけの森の中を無事に辿り着けるのかよ?」

男は疲労と空腹のせいで不平が止まらない。


「安心してください。魔物除けのランタンがあればこの辺の小型の魔物なら寄ってきません」

男が掲げ持つ緑玉色(エメラルドグリーン)の光を放つ魔道具を男に見せて言う。


「。。。」


その光を見ると文句を言っていた男は静かになった。

ローブの男の言葉に安心したわけではないが、他に行く当てがない。

一行は黙って男の跡をついていった。


その一団を木の上から観察する者がいた。

小柄な体格から、10歳くらいの少年のようだ。


気配を殺し、彼らに見つからないように枝から枝へ器用に移動して追跡している。


森の中を進む難民の一団は、やがて一軒の家へ辿り着く。

白い滝のように咲いた花を咲かせる木がある。


柔らかな日差しを受け佇むその家は郷愁を誘った。


皆が中に入ると、男女二人が出迎えてくれた。

その男女は夫婦なのだろう、長い黒髪をした美しい女性と、体の大きな優し気な男性だ。


「みなさん、お疲れでしょう?いまスープが出来上がった所なの、良ければ食べていってくださいな」

「さあ、遠慮せずに」


二人の招きに応じて、恐る恐る入ると中は意外に広く、全員が座れる大きなテーブルにスープが人数分用意されていた。


スープの良い香りが空腹の腹に響く。

なんの肉か分からないが、ごろりと大きな肉は見るからに美味しそうだ。


たまらずに一人が口にする。

「美味い!美味いぞこれ」

それを見て他の者も一斉に手を出し始める。

「おいしい。こんなにおいしいスープは初めて」


それを見て黒髪の女が微笑んで「まだ、たくさんあるから、好きなだけお代わりしてくださいね」と言う。


久しぶりの食事に皆が夢中になっている時、ローブの男が話し出す。


「言ったでしょう?教会はあなたたちを守ると。このまま私たちの教えを受け入れるなら、もっと美味しいものが食べられ、快楽を得られることでしょう。もちろんその後で離れることも皆さんの自由です」


苦しい思いをした者にとって、その誘いは魅力的に感じた。

疑い深いものでも、後から抜けられるという逃げ道がきっかけとなった。


「だまされるな!」


ガシャーーーン


天窓を破って人影が飛び込んできた。

木の上から一行を監視していた少年だ。


少年が飛び込んで来た瞬間に周りの景色が変わった。


清潔で温かみのある家は、朽ちて数年経ったあばら家に。

スープはただの水に。

床には魔物除けと言っていたランタンが砕けて転がっている。


皆がまるで狐につままれたような顔で呆然としている。


「なんだこれ」

「さっきのスープは?」


少年が言う。

「そのランタンで幻覚を見せられてたんだよ」


ローブの男が少年に怒鳴る。

「なんだ、お前は!なぜ邪魔をする!」


少年はその言葉を聞き、かぶっていたフードを上げた。

黄金に輝く髪が現れる。


「お前は?! アイン、王か?!」


そこに、たくましく成長したアインの姿があった。



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