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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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追記:重なる影

新王の誕生と、祝福の黄金樹が現れたその日。

新たな王としてのセレモニーが終わり、俺はやっと剣から解放された。


「ぷーぷぷぷ。何その恰好」

アイシャが俺を見て盛大に笑い出した。


他の者には見えていないが、いつもの姿が保てないほど消耗しているのが分かる。

「あんた、子供の描いた落書きみたいになってるわよ」

少女が指を差して笑う。


「え、そうなの?」

見ることは出来ないアインが心配そうに聞く。


(ああ、黄金律の力を行使すると、こうなるみたいだ。前の時はそこまでじゃなかったんだがなぁ。それでも存在が薄くなるって言うか、力が吸い取られる感じはしたんだ)


今回は、その効果範囲が大規模だったせいもあって、姿の維持に影響が出たのだろう。

それにしても、落書きって。。。


鏡で見れないために想像することしか出来ない事がもどかしい。

まあ、このクソガキにしか見えないんだが。


「なっさけないわねぇ。これがあの剣の中身なんて知られたら恥じよ恥」

言いたい放題言われて、おもしろくない。


王の言葉を思い出す。あのおっさんは転生者二人で使うものって言ってたな。これがその訳か。。。二人分の魂じゃないと負担が大きいんだ。

これじゃあ、王命を聞き入れるのは1日に一度くらいだな。


しかも、その後は坊主の支援が出来なくなる。

使いどころを間違えると、酷い目に合いそうだ。


魔眼の事も合せて、この剣を使いこなすことも今後の課題となった。


。。。


新王の誕生を祝う宴は夜も続いていた。


自室として割り当てられた客室のバルコニーから、宴の灯を眺めるカイルが居た。

盃を片手に物思いにふけるような横顔に、男性を感じてドキリとする。


「何見てるの?」

リタは今感じた印象をごまかすように明るく声をかける。


普段の冒険者の恰好ではない正装のせいか、何故か緊張して言葉を待つ。

「ああ、俺たちこんな所まで来たんだなって思ってな」


思えば村を飛び出して何年も経っている。

初めは村に訪れた冒険者に憧れて、考え無しでここまでやってきた。

冒険者は決してきらびやかな職業でなく、初めの頃は何でもやった。

その中には、騙されて悪党の使いのようなこともあった。


やっと冒険者らしい依頼が熟せるようになると、あこがれは消えて日々の生活を支える事でいっぱいだった。


あの頃、そんな生活に嫌気がさし、ナージャの護衛を最後に村に帰るつもりだった。


そして出会った。


真っすぐな目をして、自分の運命に立ち向かう金髪の少年に。


初めは最後の人助けと思っていたが、この子が辿る道の先を見たくなった。

その選択が、今ここに自分たちを置いている。


「あいつと会って、あいつと居る事で、俺たちは一端の冒険者じゃ経験出来ないようなことをしてきた」

「うん」

リタがそっと寄り添う。


「俺はあいつと居ることで、昔憧れた冒険者に近付けてるって、そう感じるんだ」

目を輝かせて語るカイルを見て、リタは自分の気持ちに気付いた。


ああ、あたしはこんな目をしたこの人を放っておけなかったんだ。

そして、真っ直ぐなこの目が好きだったんだって。


「ねえ、カイル」

袖を引いて振り向かせるリタ。


「ん?」

振りむくとリタの顔が近づき、そっと口づけをする。

それと同時に花火が上がり、二人の影が重なる。


「っ。。。リタ」

「あたしは、いつまでも一緒だよ」

初めて見るその表情に相棒としてではない感情が沸き起こる。


再び花火が打ちあがり、その夜、二人の影は何時までも重なり合っていた。


。。。


朝になって、ミリーが戻ってこないリタを心配して、方々に聞いて回ったが、大人たちはにやにやした表情で応えるのみだったと、朝食の席で不平を漏らした。

カイルとリタが居心地悪く下を向いていたのは言うまでもない。



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