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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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新王の誕生

王城はお披露目の日に向けて、上を下への大騒ぎだった。

焼け崩れた大広間は、土穴族(ドワーフ)や創成魔術に長けた者が突貫工事で修復し、何とかお披露目に間に合わせた。


来賓として、各一族の代表やその関係者を迎え入れる準備も着々と進んでいる。


アインも魔眼の訓練の傍ら、アイシャに王としての立ち居振る舞いやマナーなどを叩き込まれていた。


「もう、何度間違えば覚えるのよ!歩き方はこうよこう!」

アイシャが手本を見せて、覚えの悪い少年に罵声を浴びせる。


田舎暮らしの少年は、少女の見せる優雅な仕草に感心し、真似てみるもどうもうまくいかない。

アイシャのお手本は、指先から頭のてっぺんに至るまで、すべてが計算されていた。

その動きは王候補として長年しつけられてきた成果だろう。

普段の行動からは想像が出来ないほど、その所作の一つ一つが洗練されていた。


「とにかく、他は間に合わないとしても、歩く事だけは避けられないからね。これだけはしっかり覚えるのよ」

アイシャの言葉に真剣な顔でうなずくアイン。

その後も、少女の罵声は鳴りやまなかった。


そうして、お披露目の日を迎える。


。。。


白磁の門(ホワイト・ゲート)には大勢の古代種一族の代表が集まっていた。

そこには、これまでアイン達と交流のある見知った顔もいた。


「ねえ、とうちゃん。これからアインに会えるの?」

獣族の長の息子サムが父親の袖を引きながら聞く。


「ああ、これからはアイン様って呼ぶんだぞ。あの子は王様になったんだからな」

「。。。ふぅん」

幼い少年には身分の違いなど理解できなかった。

そんなことよりも、久しぶりに友達に会えることが嬉しかった。


草人の長とゴンザの顔もあった。

「魔族領へこんな形で訪れる日が来るとはなぁ。こんな日が来るとは思ってなかったわい」

「弟子の晴れ姿を見るのは嬉しいかな?」

「ああ、どんなに成長したか今から楽しみだ。それに、王城には師匠もいる。会うのは久しぶりだ」


森人(エルフ)の長もいた。

ウェレランとその一行は、普段は森の奥から出てこないため、周りから奇異の目で見られている。

しかし、長命種としての威厳はしっかりしたもので、堂々とした態度で挨拶を交わしていた。


「アイン様。。。よくぞ決意されましたな」

ウェレランは、初めて会った時の幼い少年の姿を思い出し、つぶやいた。


時間になり白磁の門が輝きだす。


魔族領の村々にも使いが出て、投影魔法の術師が配置された。

谷底の村ではジルが、街道の街ではあの姉妹が、何が始まるのかと固唾を飲んで見守っている。


「おーい、ガルフ。もうそろそろ始まるってよ。早う広場に行こうや」

「もう時間か。ここで切り上げるとするか」

鉄を打つ手を止めて、鍛冶師のガルフが広場に向かう。


すでに多くの村人が集まって、投影魔法で作られた巨大な雲を眺めていた。

「お、映り出したぞ」

村人の一人が気付き声を上げる。


「今度の王候補は候補じゃなくて本当の王様なんだろ?どんな御人なんだろうな」

「さあなぁ。何しろ初めての事だからな。なんにしてもわし等には関係ない事だろ」

雲に映像が映し出され、そこで見知った顔を見る。


「ん?!あれは、リタじゃねーか?」

「おぉ、本当だ。軍司様もおる」


映った映像には、王と思われる少年の脇に愛弟子の姿があった。


。。。


アインを、王と認めさせるためのお披露目が始まった。

中央の玉座に座る少年と左側には執政官とカーラ。右側には仲間たちとアイシャの姿があった。

ナージャの姿は無く、直前で体調を崩したとのことだ。


エラランが宣言する。

「長きにわたり、御隠れになっていた王が身罷(みまか)られ、新たな王が誕生した」

その場にいる全員が、どよめく。


「アイン様こちらへ」

玉座から立ち上がり、前へ歩き出す。

堂々としたその振る舞いは特訓の成果か、アイシャがどや顔で見守る。


眼帯はしておらず、ブルーサファイアのように青かった瞳の片方は赤くなり、神秘的な光を宿していた。

黄金の髪は整えられ、そこに王冠は無くとも、その荘厳さに引けを取ることはない。


立ち止まり、王の唯一の証である剣を召喚する。


「剣よ!我が手に!」


紫焔の宝玉が現れ、金色をした直方体の粒が集まり形を成す。

かつての王が手にしていた伝説の剣が目の前に現れた。

それを見たウェレランが涙する。


一同は目を見張り、その剣を見て言葉をなくす。


「我らが新たな王、アイン様に忠誠を誓おう」

エラランの呼びかけに応えて、はっとしたように皆が拍手をする。


アインが口を開く。

「僕は、ここに来る旅の中で、この世界の苦しみを見てきた。手を差し伸べられることなく苦しむもの。これから起こる避けることのできない災厄の事。そのすべてを、皆と解決していきたい。だから、力を貸してほしい。僕は今、王としてここに在る事を宣言する!」


剣を頭の上に掲げ命令する。

「王命(オーダー)!皆に祝福を!」

「了承。威を示せ。裁定者(アービターズ)の黄金律(・ゴールデンオーダー)」


その声を皮切りに、世界中で黄金に輝く木が現れた。

世界に祝福を与えるその木の近くにいたものは、精霊化の進行が弱まり、変異した体を少しだけ元に戻した。


その奇蹟を目の当たりにした人々は、新たな王の誕生を喜び感謝した。


その後、村の代表との挨拶を交わしながら歩く幼き王。

獣族の村の代表の前で懐かしい友の顔を見つけ、遠慮がちに覗き見るその少年に向けて、軽くこぶしを握って前に出す。

少年もそれに応えて拳を当てる仕草をして笑いかける。


それだけのやり取りで、友情が続いている事を確かめた二人は、言葉を交わすことなく離れていった。


後日、父が王に会った感想を聞いた時に少年はこう答えた。

「あいつは会った時のままのアインだったよ。俺にとってはいつまでも友達さ」


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