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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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母の手帳

エラランは異を唱えることなく、アイン達の意思を尊重し、そのうえで提案する。

「アイン様の御心はよくわかりました。しかし、すぐに旅立たなくてもよいでしょう。準備を整える間くらい、きっと世界は待ってくれますとも」


「そうじゃな、それにアイン様の左目に宿った魔眼を使いこなすまでは、城に居てもらった方がこちらも安心じゃしな」

ゴージがちらっとファラを見て言う。


ファラが頭を掻いてつぶやく。

「うちの一族の秘密なんだけどねぇ。まったく。。。」

どこから漏れたんだかと愚痴を言う。


天を仰いでからファラがアイシャ達を見る。

「姫さんのドール。イグナ・ヴァルカと言ったっけ?」

「ああ、なんだい」

「アイン様の魔眼の練習につきあっちゃくれないか?」


「どういうこと?」

アイシャはファラに何を言い出すのかと問う。


「魔眼を使いこなすことは、使役人形(スレイブ・ドール)を使うことに似ているんだ。姫さんとあんたならその辺は熟知してるだろ」

ファラが言うにはアインの持つ灼煌眼は、火の精霊が宿っている。

ヴァルカとは相性がいいらしい。


「高くつくわよ」

アイシャがニッと笑う。


しばらくの間、魔眼の習得に時間をかけることになりそうだ。


エラランがまとめに入る。

「では、アイン様が魔眼を使いこなすまではこの城に逗留していただいて、それまでに集められるだけ情報を集めましょう。魔術師評議会にも城から使いを出します。それと、正式に王の後継者としてアイン様のお披露目も行います」


アイシャがびくっとする。

「姫、よろしいですね?」

「わかってるわよ。。。」

「どういうこと?」

アインは、そのやり取りの意味が分からず聞いた。


「あたしは王候補じゃなくなるってこと。役目を終えてただの小娘になるだけ。王が決まったらそうなるのは当然でしょ。元々孤児だったし元に戻るだけよ」

アイシャが自棄(やけ)になって答える。

孤児だった少女の行く末がどうなるか想像は容易い。


「。。。」

アインは、しばらく考えて、エラランに聞いた。


「僕が王になるなら、アイシャを代理としてこの城に居てもらうことは出来ない?」

「御命令とあらば」

エラランは頬を引きつかせて応える。


アイシャが驚いて聞く。

「?。。。あんた、何言ってるの?」

「僕はこれから城にはいられないから、誰かに代わりになってほしいんだ」

「それって、同情?」

少女が睨む。


「違うよ。他に代わりになれる力を持つ人材がいないだけ。君なら強いから」

(本当は、野に放ったら、何をしでかすか分からないからだがな)

俺は坊主の考えを読む。


「ま、まあ、そこまで言うなら居てあげてもいいわよ」

アイシャはまんざらでもないような顔で承諾した。


「じゃあ、魔眼の練習も併せてお願いするね」

「任せておきなさい」

(ちょろい)


。。。


数日前に冒険者の振りをして、アイン達を監視していた黒梟:疾爪は迷宮の最奥で開かれる竜餐の祭り(ドラゴン・カーニバル)には参加せず、地上に引き上げていた。

そして、光が天に昇ったあの日、世界が震撼するところを目の当たりにした。


活火山の一部から炎が上がり、空は一斉に雲が薙ぎ払われ青一色に染まった。

南の海から津波が押し寄せ、山岳地帯では地鳴りにより山崩れが起きた。

世界の終焉たるやという天変地異は、不思議なことにすぐに収まり何事もなかったかのように静まった。


「なあ、これって。。。」

「だろうね。。。」

「。。。」

「いずれにしても仕事の時間だ。さあ動くぞ」

ジンライが号令を発して皆がそれぞれに行動を開始した。


数日後、アイン達一行が帰還するところを発見する。

そして、少年が掲げ持つ黄金の剣の存在を知る。


。。。


魔術師評議会の総本山、学舎。

その一室に全身に黒いローブを纏った男がいた。


大魔術師クラークは部下からの報告に満足したようにうなずいた。

「王に接触したか。予想通りだ」


「引き続き監視を怠るな」

それを聞いた部下が闇に溶けるように去る。


クラークは鍵を取り出し、豪奢な作りをした机の引き出しの鍵を開けた。

そこにしまってある古びた手帳を手にしてページを開く。


「真に恐ろしきはその知力故の洞察よ。ここまで正確に言い当てるとは。。。お前はこの日が来ることを知っていたのか。。。アリーシャ。。。。」


その手帳のページには「人造魔王における世界への干渉」と、書かれていた。



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