大いなる者との出会い
5人が壁を抜けると、そこは溶けた岩と熱が支配する大空洞。。。いやそのような規模どころではない、別の世界とも言い表せられるほど広大な空間が広がっていた。
そこに、それが居た。
初めは地形の一部としか認識していなかった。
だが、何かがおかしいと感じた。
パレイドリア効果というものがある。
雲や山の陰影を別の動物に誤認してしまう心理現象だが、目の前にある物は確かな存在感を持ってそこにいた。
初めに気付いたのはアイシャだった。
「ひぅっ」
急にひきつけを起こしたような声を出し、突然ドールを呼び出した。
「ど、どうしたの?!」
「まずい、止めろ!」
「彼のものに安らかな眠りを。。。眠れ」
ナージャが咄嗟に魔法を使い眠らせた。
「どうしたってんだ。。。?。。。!」
カイルがそれに気づいた。
そして認識してしまった。
バタッ
「カイル!」
急に倒れたカイルに驚き、皆が駆け寄る。
気絶している。
「なにが、起こったの。。。」
そして残った仲間がカイルの見たであろう先に視線を移した。
3人が見たもの、それは巨大な。。。いや、巨大すぎる目だった。
その目の大きさは直径30mはあり、アイン達は初め、それが生物の体の一部だと認識することを拒んだ。
しかし、一度それを目だと認識すると他の姿も浮かび上がってきた。
巨大な、という言葉だけでは言い表せないほどの大きさ。
表現の限界を超えるその大きな顔を目にしたとき、リタとミリーの意識が飛んだ。
「こ。。。これ。。。は」
ナージャは恐怖と興味の狭間でかろうじて意識を保ち声を出した。
「。。。」
アインはずっと口を開けたままボーっとしている。
「大聖竜の一柱、星炎竜。。。実在したのか。。。」
それは、確かに竜の顔に見えた。
山と見紛う程の大きさ、竜種の特徴とも言える赤く巨大な鱗に覆われた顔と、クチバシにも見える巨大な顎。
アインのいる場所からは全身を見ることは出来ず、頭部だけが確認できた。
それでも、その存在が生物の域を超えていることが分かる。
そして、その巨大な目を覆う瞼が開く。
少年に向けて視線を送る。
全身に冷たい汗が流れた。
矮小な生き物でしかない存在では、その威圧に耐えられない。
「小僧、すまん。。。わしも。。ここまでじゃ。この恐怖に抗うことができ。。。。ん」
そう言って、老婆は気を失った。
(坊主、大丈夫か?)
「。。。うん、何故かわからないけど、左目がうずくんだ」
それが、不思議と心を落ち着かせると言う。
『人の子よ』
!
少年の意識に呼びかける声が聞こえる。言葉が浮かぶ。
『人の子よ、何故我の眠りを妨げる』
「ご、ごめんなさい。あなたの眠りを邪魔するつもりはなかったんです。僕たちは王に会いたくて、ここまで来ただけなんです」
『王。。。そうか。あの者か』
一瞬、懐かしむような不思議な感覚が流れてくる。
『そなたは、あの者に連なるものだな』
「。。。」
『答えずとも良い、黄金律を持つ者よ。あの者なら、そこにいる』
星炎竜の意識が教えてくれた。
今いるところから数km先に、この世界と外界を繋ぐ道がある。
その先の部屋に王がいる。
「あんなところに。。。」
『どれ、手伝って進ぜよう』
アインと仲間が赤く丸い球体に包まれる。
瞬時に景色が変わる。
先ほど示された場所に移動していた。
(すごい。。。)
「あ、ありがとうございます!」
『人の子よ、約束の時は近い。其方が鍵になるやもしれんな』
?
そして星炎竜は、その言葉を残して再び瞼を閉じた。




