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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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黒き鎧

戦いが始まった。

それはかつて無いほどに不恰好な戦いになった。


剣術の心得の無いアイシャは、ただ剣を振り回すだけで戦闘と呼べるものではなかった。

しかし、鎧の性能が高すぎるため、そんな素人剣術でも侮れない。

剣を振れば突風が巻き起こり、こちらの攻撃は鎧の表面で跳ね返される。


しかも、アイン達は、獄炎竜との戦いでほとんどの力を使い果たしているせいで、強力な攻撃を繰り出す余力もない。


小競り合い程度の攻防が続く。


「まずいな。。。」

長期戦となる様相からこちらが不利だと悟ったカイルが呟く。


見た目としては小競り合いに見えるが、こちらは満身創痍、一方の相手は素人だが元気いっぱいだ。

しかも乗っている鎧が桁違いの攻撃力を持つ伝説の兵器ときた。


「一度後退しよう。リタとアインはまだ動けそうなら婆さんとミリーを後方まで援護。できるだけ回復させてやってくれ。俺はあいつの相手をする」

「あんた、大丈夫なの?」

「あしらう程度なら問題ないさ。相手は素人だからな」


だが、重戦車に乗った素人だ。攻撃が掠めただけでも命はない。


リタとアインは頷き合い、魔術師の二人を後方に下がらせる。

「すまんな」

老婆は流石に辛そうだ。

「すぐ復帰するから」

ミリーも気丈に振る舞うも、顔色を見れば無理をしていることが分かる。


「あ、逃げるのね。待ちなさいよ」

アイシャが目ざとく気づき、後方に下がろうとする一団に狙いを定める。


「こっちだ、こっち。俺が相手してやるよ」

カイルがいかにも煽るポーズをとる。


「。。。ハァ、何その態度むかついたわ!」

わかりやすく挑発に乗るアイシャ。


アイシャが剣を薙ぎ払う。

突風に逆らわず、身体をふわっと後方へと浮かせ距離を取る。

アイン達との距離が空き、戦闘のための空間が十分にとれた。


「一丁、相手しますかね」

軽口を叩いて迎え撃つ。


「こんのぉ!」

黒い鎧が突っ込んできた。

防御も何もなくカイルを踏み潰すかのように突進する。


圧倒的な質量差だからこその戦術だ。

アイシャも戦闘経験は少ないが、戦いにおけるセンスには見るものがある。

剣を使っても当たらなければ意味はないと悟ったようだ。


「そうくるか」

カイルはそれも想定していたようで、闘牛士のように華麗に避けた。


ずさぁああ。ごろごろ


伝説の機械がすっころんで転げまくる。


「なんなのよ!この体デカいだけでうまく動けないじゃない!」


アイシャのイライラが最高潮に達した。


「そもそも、あたしを戦わせてんじゃないわよ!来なさい!ヴァルカ!」


アイシャは使役人形スレイブ・ドールを呼び出した。

火の精霊が黒い鎧の姿に重なる様に現れる。


アイシャがいつものようにドールを動かすと、異邦なる機械(エクス・ゼノ・マキナ)も自在に動いた。


「なんだ、初めからこうすれば良かったんじゃない」

得心するアイシャ。


カイルは気が気ではない思いで事の流れを見ていた。

「おいおい、まじかよ」


「さあ、やっておしまい!」

アイシャの指示で火の精霊=異邦なる機械(エクス・ゼノ・マキナ)が炎の魔法を発動する。


火の玉(ファイア・ボール)を片手で持ち上げる。

その大きさは普段とは比較にならず数十倍の大きさとなり、まるでこの場に太陽が出現したようだ。


「あー、終わった」

その巨大な玉の攻撃範囲を思い、カイルは逃げる事をあきらめた。


火の玉が手から離れカイルに向かう。

その時、アインの叫び声がした。

「カイル兄ぃ!下がって」


カイルと火の玉の間に巨大な黄金の盾が現れる。


獄炎竜インフェルノ・ドラコとの戦いで見せたあの黄金の盾が、巨大な太陽と化した火の玉を押し返す。

アインが戦闘に戻り、盾を出現させた。


しかし、獄炎竜のブレスすらものともしなかった黄金の盾が、今度は押されている。

アイン自身の力が落ちていることも理由だが、その魔法の威力は想像を越える。


盾の防御によりわずかな時間を得たカイルは、すぐさま行動に移し攻撃範囲から逃れた。

アインは盾の角度をうまく変えて火の玉を斜め後ろに逸らした。

誰もいない空間に火の玉が着弾し、その場を瞬時に溶かす。


大きさだけでなく熱量も数倍上がっているようだ。


アインとカイル、そして、少し後から来たリタが合流する。

「どこまで通用するか分からないけど、ナージャから策を授かってきたわ」

リタが簡単に説明し作戦が決まった。


ヴァルカの上半身だけが、背後に幻のように映る黒い鎧の前に3人が並んだ。


ほぼ完璧な魔法防御、物理防御に加え、魔法の力を数段上乗せする古代のチート兵器に3人が挑もうとしていた。




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