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転生したら、守護霊でした  作者: じ・お。
二章 魔族領編 王の資質

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躍進

そこからも、探索は順調に進んだ。

アインの選択する道はまるで誰かに導かれるように当たりを引いた。


幾度か魔物の遭遇や罠があったが、あまり苦労せずに43階層まで進んだ。

階層主フロアマスターもランダムに配置されているようで、最初に遭遇したスライム以外は会わずに済んだ。


そうして黙々と歩いてきたが、まだ先が見えない。

一息入れようと休憩していると、アインがカイルに尋ねた。


「魔法で穴を開けて進むことは出来ないの?」

「自然の洞窟だと、崩落の危険があるから、俺たち冒険者はやらないな。それに、ここみたいな人口の迷宮ダンジョンには別の理由があるんだ」

「別の理由?」

「まあ、見たほうが早いか。なあミリーこの床に穴をあけられるか試してくれ」

「いいですよ」


ミリーが詠唱を始めて床に穴を開けようとする。

穴よ穿て(ピアス・ホール)


フゥン


魔法は発動する前に消えていた。


「ほらな。こういう迷宮には何らかの仕掛けがされていて、ズルが出来なくなってるんだ」

「へぇぇ。不思議だね」


(。。。)

俺は何かが引っ掛かったが、ナージャの声に考えを中断した。

「そろそろ行こうか」


44階への階段を降りると、地下とは思えない光景に息をのんだ。


「街だ。。。」


石造りの街が静かに眠っていた。


長い階段を下りて、初めに入った家を安全地帯と定めた。


「昔の土穴族ドワーフの街のようだな」

近くを見回りに出ていたカイルが戻って言った。


「こんな地下にまで街を作るとはね。この辺は安全そうだな、上の連中に知らせるか」」


他の探索チームに、ナージャに念話で知らせてもらう。


しばらくすると、続々と人が集まってきた。


「すげぇな、こりゃ」

「いやぁ、あんたらのおかげで、ずいぶん進む事ができたよ」


口々に1パーティでここまで踏破した一行を褒めたたえる。


そろそろ、1日が経過する。街の探索は次の日に行うことになった。


日の光が届かない迷宮では時間間隔が狂う。

いつの間にか体力を削られていることがあるため、慎重に進むことが必要だ。


探索隊はここを安全地帯と定め、魔術回廊を開く準備を行う。

門よ在れ(クリエイト・ゲイト)


後から合流した創成魔術の専門家が基となる門を完成させる。

続いて、巨人族であろう大男が巨大な宝珠を背嚢から取り出す。


(でっか)

「あんなもの持つ魔物がいるの?」

俺は驚き、アインはナージャに聞く。


「あれは人工的に作られたものじゃな。大聖竜でもなければあの大きさにはならんよ」


大聖竜。この世界に4匹しかいない世界を統べると言われる竜。

本当に実在するかは誰も知らない、おとぎ話の中の竜を持ち出され、少年はその大きさを想像する。


複雑に色を変化させる、その巨大な宝珠を門の中央に置くと、ナージャとミリーにも協力を求めてきた。


「すまないが、回廊を引くのに協力してくれないか?」

「ああ、かまわんさ。ミリーもおいで」

「はい、師匠」


ナージャたちを含めた複数人の魔術師が門を囲む。

「魔術回廊を繋ぐぞ」

ナージャが呪文を詠唱する。


「此方より彼方へ、我らを運ぶ担い手を我らの元へ」


周りを囲った魔術師が手に持つ杖が輝き出す。


繋ぐ回廊コネクト・コリドール 迷宮の入り口(エントランス)

魔術師の杖から光があふれ、上空に光の魔法陣が現れる。

そして、徐々に降りて門を彩っていく。


魔法陣の文様が、門に写し取られていく様は見ていて面白い。


「完成じゃ」

これで、入口と44階層が行き来できるようになる。


先ほどまではただの石で出来た門だったが、今は魔術回廊として機能している。


一行は一度城に戻るべく、回廊を渡った。


ヴゥン


迷宮の入り口へ一瞬で着いた。


迷宮を出ると大勢の人に出迎えられた。


「アイン様!」

エラランが跪いて感動する。


「ただいま戻りました。エラランさん」

「心配しましたぞ。しかし、素晴らしい功績です。地下都市を発見するとは、このエララン感服しましたぞ」

「あたしもいるんだけど?」


アイシャが前に出てふんぞり返って主張する。

「アイシャ様、その件については後でたっぷりとお話を聞かせていただきます。。。」

珍しくエラランが本気で怒っていることを察したアイシャは、脱兎のごとく駆け出した。


「お待ちなさい!カーラ、追え!」

「はっ!」


「こほん。お疲れになったでしょう。食事と湯を用意しています。ゆっくりと、おやすみになられてください」


皆は、探索の疲れを癒すため王城へと向かった。


。。。


少年は湯浴みを終え、皆との食事を楽しんでからテラスで風に当たっている。


「どうだ、初めての迷宮ダンジョンは」

「カイル兄ぃ。うん、すっごくおもしろかった」

アインは年頃の少年らしく、にかぁっと笑った。


ここからは城下の街の灯がよく見える。

あの一つ一つに人々の幸せがあるのだと、少年は改めて思う。


「カイル兄ぃ、僕ね。。。ここにきて王様として扱われてほんとは困ってたんだ」

「ん?」

カイルは盃を傾け、話を聞く。


「ここに来たのは僕と白さんの事を聞くためで、王様になるとか初めはそんなのじゃなかったじゃない?」

「そうだな、いやになったか?」

「ん。。。」

アインは言葉を詰まらせて考え込んだ。


「なら、そんなのにならなくたっていいんだぞ。俺たちと冒険を続けるのだっていい。もっとたくさんの迷宮を見つけたりして、楽しく笑って暮らすことも出来るんだから」

カイルの提案する未来は光に満ちていて、それは少年にとっても幸せなのだろうと思う。


「。。。約束。。。したから。立派な王様になるって」

ふと、あの少女の面影がよぎる。


「。。。」

「それに、知っちゃったから。。。」

この世界に、誰からも救いの手が差し出されることなく、それを待っている人たちがいることを。


「だから、僕やってみるよ」

「そうか。。。お前がそう言うならきっと大丈夫だ」

カイルは少年のまっすぐな目を見て、そう言った。


ああ、こいつなら。。。

村でゴブリン退治をした冒険者に憧れて、村を飛び出してここにいる。

あの時感じた憧れにも似た思いで、少年の姿をまぶしく見るカイルだった。



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