レストラン
ドアから近い外壁に、設置されてる通信石に、何かが触れると鳴る音が聞こえて、リビングの壁に、設置されてる通信石についた魔法鏡から、外壁に設置されてる通信石の内蔵カメラの映像をあたしの目で確認すると、アルくんの顔がみえた。
「アルくん、あたしの声、聞こえる?」
あたしは、片手で触れたリビングに設置されてる通信石を使い、アルくんにそう聞いた。
『レインさんの声、聞こえた』
「今、いく」
あたしが玄関へいって靴を履き、家を出た先に、白いシャツ、紺色のベスト、茶色のズボンを身につけ、鞄を持っているアルくんがいた。
「レインさん、いこう」
「うん」
あたしは、アルくんと歩いていった。
歩いてると、レストランがみえてきた。
「レストランがみえてきた。あれ、アルくんが予約してくれたレストランかな?」
「おれが予約したレストランだね」
「本当に奢ってくれるの?」
「うん」
「ありがとう。アルくん、優しいね」
「おれは大して優しくない。大した恩返し、できなくてごめん」
「アルくんを助けられてよかったと思うし、いいよ。アルくん、前、調子悪かったみたいだけど、少しはよくなったかな?」
「今は調子悪くない」
「よかった」
「到着だ。入ろう」
アルくんがそう言いながら、レストランのドアを開けてくれた。
「ありがとう。今、入る」
あたしがそう言って、入ったレストランの中からアルくんはドアを閉めた。
「すみません」
「はい」
アルくんの声に、反応した男性店員がきた。
「いらっしゃいませ。何名様でいらっしゃいますか?」
「二名で予約したアルです」
アルくんがそう言うと、男性店員は紙の台帳をみた。
「本日、二名様でご予約のアル様でいらっしゃいますね。承っております。ご来店ありがとうございます。こちらのお席へどうぞ」
男性店員がそう言い、あたしとアルくんは席に座り、メニューをみた。
「今日の昼は、レインさんがこのメニューから、高い値段の料理を選んでもおれが奢る。レインさんは、好きな料理を食べればいい」
「じゃあ、水と野菜スープとチーズパンと鴨ローストでもいいかな?」
「わかった。レインさんが食べたいなら注文しよう」
「ありがとう。アルくんは何にするの?」
「おれは、水と野菜スープとライスと白身魚のハーブ焼きにする」
「わかった」
「すみません」
「はい」
アルくんの声に、反応した女性店員がきた。
「水をふたつ、野菜スープをふたつ、チーズパンをひとつ、鴨ローストをひとつ、ライスをひとつ、白身魚のハーブ焼きをひとつお願いします」
「水をふたつ、野菜スープをふたつ、チーズパンをひとつ、鴨ローストをひとつ、ライスをひとつ、白身魚のハーブ焼きをひとつでよろしいでしょうか?」
アルくんが注文した内容を女性店員は復唱し、確認する。
「「はい、お願いします」」
料理を持ってくるまで楽しみに待った。
注文した料理を食べていく。
「あたしが食べたここの料理、美味しい」
野菜スープは野菜が柔らかいし、チーズパンは溶けたチーズとパンの相性がよくて、鴨ローストはコクがあった。
「美味しいならよかった」
「今日の昼、ここで完食した料理のお金、あたしは少しも出さなくていいの?」
「いい。おれが奢る」
「ありがとう」
奢ってくれたアルくんと一緒に、レストランを出る。
「お菓子の店が近くにある。おれ、銅貨二十枚までなら出す。買おうか?」
「……じゃあ、銅貨二十枚で買えるお菓子欲しい。いいかな?」
「うん」
多種多様なお菓子をみていた。
「フルーツの飴玉が複数、入った袋がある。銅貨十枚で買えるみたい。欲しい。いいかな?」
「わかった。おれ、銅貨十枚出す」
「ありがとう」
アルくんが買ってくれた飴玉一袋をあたしは持ち、お菓子の店を出ていく。
精霊感謝の日の夕暮れ、蓋を開けて蜂蜜入りの瓶を精霊の木の近くに置いて供え、消えていく蜂蜜をみて確認し、空っぽになった瓶を持ち帰った。
朝、魔法学校で会えなかった行方不明のアルくんに連絡したくて、持ち歩くあたしの通信石を使っても繋がらない。
「レインちゃん、顔色悪くみえる。アルくんを心配してる?」
「……アルくん、死んでたら辛い」
あたしはリリーちゃんに聞かれて、自分の気持ちを口に出した。
「アルくん、連れ去られたかも」
そう言ったクリスくんをみる。
「……もしかして、人身売買とか?」
「アルくん、売られるかも」
あたしが聞いてみると、クリスくんは真剣な顔でそう言った。
「アルくん、売られる? 売られる場所は? 裏通りにいるかな?」
考えて、そう聞く。
「裏通りにいるかもしれない。レインさん、もしかしてアルくんをさがすつもり?」
「魔法学校から帰る時間に、さがす」
「アルくんが人身売買に巻き込まれてる場合、レインちゃんひとりでみつけても危ない。わたしとさがそうよ」
「僕もさがす」
「ふたりともありがとう。三人でさがそう」
ふたりに感謝して、そう言った。
魔法学校から帰る時間になり、リリーちゃん、クリスくん、あたしの三人で裏通りへいってアルくんをさがした。
「アルくんだ」
スーツ姿の男と乱れ髪の男の近くにいる首輪を嵌めたアルくんをみつけ、そう言った。
「アルくん、人身売買に巻き込まれてるみたい。この場所、危なそうだ。アルくんの近くにいる男ふたり、僕ひとりでどうにかする。リリーさん、レインさん、離れて」
「わかった。レインちゃんと一緒にクリスくんから離れる。警察への連絡はわたしが通信石でする。クリスくん、気をつけて」
「ふたりともありがとう。じゃあ、リリーちゃんと一緒にクリスくんから離れる」
そう言い、リリーちゃんと一緒にクリスくんから離れた。
リリーちゃんが警察に連絡した後、こちらへ近づくクリスくんとアルくんがみえた。
「アルくん、クリスくん、怪我は?」
アルくんとクリスくんに近づきながら、そう聞く。
「回復魔法で治そうか?」
あたしだけじゃなく、そう聞くリリーちゃんも心配してるみたい。
「おれは大丈夫」
「僕も大丈夫だよ。警察に連絡してくれた?」
「警察への連絡はわたしがした」
「リリーさん、ありがとう。アルくんの近くにいた男ふたりは、僕が魔法で拘束した」
「クリスくん、おれの近くにいた男ふたりの拘束だけじゃなく、嵌められた首輪を壊し、外してくれた。クリスくんいて助かった」
「クリスくん、リリーちゃん、ありがとう。みんな無事でよかった」
「おれ、感謝してる。クリスくん、リリーさん、レインさん、ありがとう」
「クリスくん、リリーちゃんのふたりともあたしより役に立ってる。あたし、アルくんをさがした以外のことやってない」
「おれをさがしてくれただけでも嬉しい。レインさんにも感謝してる」
「絨毯で飛んでる人がみえるよ。わたしが連絡した警察かもしれない」
リリーちゃんがそう言った後、絨毯で飛んできた警察に、スーツ姿の男と乱れ髪の男は連れていかれた。
魔法学校の休日、商店街を歩いてた。
「レインさん」
「クリスくん、何?」
クリスくんに呼ばれ、そう聞いた。
「リリーさん、知らないか?」
「知らない。リリーちゃんに連絡は?」
「繋がらなかった」
「あたしもさがそうか?」
「ありがとう。じゃあ、手伝って」
リリーちゃんをさがした。
「リリーちゃん、裏通りをさがしてもみつけられなかった。どこにいるかわからない。クリスくん、どこをさがそう?」
「暗くなってきた。レインさん、家へ帰って」
「……わかった。帰る」
心配に思いながら家へ帰った。
休みが終わって、朝、あたしは準備をし、家を出た後、魔法学校へ歩いていった。




