誰にも言わないで
昼休み、あたしはお手洗いを済ませたので、自分の教室にいこうとした。
「やめて」
あたしは、アルくんの声が聞こえてきた教室のドアを開けた。
「何してるの?」
ベンと全裸で怪我だらけの泣いてるアルくんに、駆け寄りながらあたしはそう聞いた。
「もしかして、ベンがアルくんをいじめてたの?」
「レインは、引っ込んでろ」
「アルくんをいじめないで」
「レインは、こんな奴を庇うのか?」
「どうして、アルくんをいじめたの?」
「気に入らねえからだ」
「気に入らないからって、いじめるのは駄目」
あたしがそう言うと、ベンは舌打ちしてその場を去った。
「アルくんの怪我、あたしが回復魔法で治すよ」
「今、服着ている途中だから、ちょっと待って」
「わかった」
あたしは、服を全部着たアルくんの怪我を回復魔法で、ある程度治した。
「ありがとう。もういいよ」
「もう回復魔法で、治さなくていいの?」
「うん」
あたしは、回復魔法をやめた。
「ベンがアルくんをいじめたこと、先生に言おうよ」
「やめて! 誰にも言わないで」
「どうして?」
「……おれ、ベンに服を全部脱がされて、たくさん写真を撮られたんだ。おれがベンに、何をされたか誰にも知られたくないし、その写真をみられたくない」
「……じゃあ、どうすればいいかな?」
「どうすればいいかわからない」
「……何もできなくて、ごめん」
「レインさんは、悪くない」
アルくんはそう言ったけど、ベンがまたいじめるかもしれないのに、何もできない自分が嫌だった。
魔法学校から帰る時間になり、あたしはアルくんの近くへいった。
「アルくん、今日、一緒に帰ってもいいかな?」
「いいよ。一緒に帰ろう」
あたしは、アルくんと一緒に魔法学校を出た。
「ベンにいじめられてたから、アルくんは調子悪かったんだよね?」
「……うん」
「ベンは、酷いね」
「カッコ悪いおれが嫌になる」
「あたしは、アルくんよりベンがカッコ悪いと思う」
「どうして?」
「いじめるのは、カッコ悪いもん。アルくんは、いじめられても魔法学校にいってるし、そんなにカッコ悪くない」
「魔法学校にいってたのは、休むと、ベンがあの写真を人にみせるからだ。おれは、カッコ悪い」
「それでもやっぱり、ベンよりアルくんは頑張ってるし、そんなにカッコ悪くないと思うよ」
あたしがそう言うと、アルくんは泣いた。
「レインさんと話してたら、少し楽になれた気がする。ありがとう」
アルくんが手で涙を拭い、そう言った。
「あたしは、全然アルくんの助けになれてないよ」
「レインさん、またおれと話して欲しいんだ。それだけでもいい」
「話すだけなら、またできるよ」
もっとアルくんの助けになりたい。
朝になり、あたしは準備をし、家を出て魔法学校へ歩いていく途中、アルくんをみつけた。
「おはよう」
「おはよう」
あたしがアルくんに挨拶すると、アルくんはあたしに挨拶した。
「アルくん、まだ顔色悪いけど、調子よくないの?」
「ちょっと調子悪いけど、レインさんがいるなら頑張れると思う。少しでもいいから、レインさんといたいんだ」
「じゃあ、あたし、できる限りアルくんといる」
「ありがとう」
「アルくんの苦しみを和らげたいよ」
「レインさんがおれといて、話してくれるから、苦しみが少し和らいだ気がする」
「アルくんの苦しみが和らいだなら、少し嬉しい」
またアルくんと話そう。
昼休み、ベンがアルくんに、近づいてきた。
「アルくんに、何をする気?」
「レイン、邪魔するな」
「アルくんをいじめるのは、駄目だからね」
ベンはアルくんの腕を掴み、引っ張った。
「いきたくない。やめて」
アルくんがベンに抵抗しながら、そう言った。
「ベン、アルくんが嫌がってるから、やめなさいよ」
「オレ様に逆らったら、あの写真を他の奴にみせるぞ」
「逆らわないから、あの写真を誰にもみせないで」
「ベンがアルくんを連れていくなら、あたしもいく」
ベンがアルくんを連れていくので、あたしはついていった。
ベンは誰もいない教室に入り、ドアを閉め、アルくんを押し倒した。
「アルくんに、何をするの!?」
「今から、服を全部脱がして写真を撮る」
「アルくんに、そんなことをしたら駄目!」
「レインが服を全部脱ぐなら、いじめはやめてもいい」
「レインさん、そんなことしなくていい」
「レイン、全裸が駄目なら上半身裸になれ。その状態で、胸をオレ様に触らせろ。それがいじめをやめる条件だ」
「……じゃあ、あたし、上半身裸になる。胸を触っていい。今回だけだよ。だから、アルくんをいじめるのはやめなさい。カメラと写真をアルくんに、渡しなさい。写真は、返さない。ベンが写真を持ってると、人にみせるかもしれないからね。アルくんのデータを消したいし、上半身裸のあたしをカメラで、撮られたら嫌だ」
「返さなくていいのは、写真だけだ。カメラは返せ。返すならカメラだけ今、渡してもいい。写真は、レインの胸を触ってから渡す」
「それでもいいから、アルくんをいじめるのはやめなさい」
「条件を達成したら、いじめはやめる。カメラを渡したら、レインは上半身裸になれ」
「わかった。ベンがカメラをアルくんに渡したら、あたしは上半身裸になる。今回だけだよ」
「それでいい」
ベンがそう言って、カメラをアルくんに渡した。
「カメラをアルくんに渡したから、ベンに胸を触られる間だけ上半身裸でいる」
そう言って上半身裸になったあたしの胸に、ベンの手が近づく。
アルくんを助けられるなら、胸を触られても構わない。
あたしは、服を着た。
「アルくんのデータは、消したかな?」
「消した」
「ベン、写真をアルくんに渡して」
「カメラを返せ」
「カメラはベンが写真をアルくんに、渡してから返す」
あたしがそう言うと、ベンが写真をアルくんに渡してから、アルくんはカメラをベンに返した。
「アルくんをもういじめないで」
「わかってる」
ベンはそう言って、その場を去った。
「レインさん、ごめんなさい」
「いいよ。アルくんを助けられてよかった」
あたしはそう言ってから、アルくんと一緒に自分の教室へいった。
魔法学校から帰る時間になった。
「レインさん、今日、一緒に帰ってもいいかな?」
あたしに、近づいてきたアルくんがそう聞いた。
「いいよ。一緒に帰ろう」
あたしはそう言って、アルくんと一緒に魔法学校を出た。
「レインさん、おれが奢るから、休日の昼にここから近いレストランで、食べるのはどう?」
「アルくんとレストランで、食べてみたいけど、あたしはお金出さなくていいの?」
「恩返しさせて欲しいから、レインさんと初めていく日はおれが奢る」
「ありがとう。どの休日にいくの?」
「レインさんは、どの休日にしたい?」
毎週光の日、祝日の精霊感謝の日は、魔法学校が休みだ。
「もうすぐ精霊感謝の日だね。その前日、光の日だし、その光の日でもいいかな?」
「確かにもうすぐ精霊感謝の日だし、その前日は光の日だ。レインさんがその日を望んでることは、わかった。その日にレストランで食べよう。希望の時間はある?」
「その日の昼ならどの時間でもいいよ」
「じゃあ、その日の四の鐘が鳴る頃に、レストランで食べよう。おれが予約する。その日は四の鐘が鳴る前、レインさんの家へ迎えにいく」
「わかった。その日、家で待ってる」
アルくんとレストランで、食べる日が楽しみだ。
アルくんとレストランで、食べる予定の日の朝、あたしは服装をどうするか考えていた。
「今日はこの服でいこう」
あたしは、茶色のパンスト、白いブラウス、紫色のスカートを身につけ、準備した。




