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チク村

翌朝も朝早くに出発した。


朝食は時間が惜しいので木の実だけ。


昨日に続いて歩き通しだが、意外に疲労感はない。

小屋でしっかりと休めたおかげか、それともチク村に行けることで興奮しているのか、もしくは両方だろう。


それに心なしか歩きやすく感じる。

道が平らだし、幅も広くなったようだ。


「村に近い側から木を少しずつ切って道を広げ、地面も均している。いずれはカツ村までつなげるつもりだ。」


これもお義父さんの仕業か。やるな。

このくらい道が整備されれば、荷車を使って今より多くの荷物を運べる。

チク村と中間地点の間だけでも荷車を導入すれば、交易は一層捗るだろう。

次に交易団が来る時には、荷車を渡して使ってもらおう。


なんてことを考えながら歩き続けていると、日が僅かに傾き始めたころク村が見えてきた。



目の前に広がるのは一面の丘陵地帯。

その丘の上には家が立ち並んでいる。


竪穴式だけではなく、高床式も多数見える。

家の数はここからではすべては見えないが、100戸くらいはありそうだ。


カツ村は14世帯44人だ。

対してチク村は、家の数が100だと仮定すると300人はいるだろう。


家の周囲には木製の柵が張り巡らされており、柵の外側には堀がある。

外敵または獣から村を守るためのものか。

いわゆる環濠集落というやつだ。


堀の外側には広大な平地が広がっているが、作物を育てている畑はまばらだ。

他は休耕地だろうか。

手入れされていないように見える。


これだけの規模の村となれば、自然からの採集と狩猟だけで食料を確保することは不可能だ。

見える範囲では多くないが、おそらくどこかに大規模な畑があるのだろう。


農業が発達しているなら、俺の知らない便利道具も発達しているかもしれない。

ぜひ見つけて、カツ村へ持ち帰り、改良したい。

俺の知識と組み合わせたり、鉄で作りなおしたりすれば、生産性はもっと上がるだろう。


それにしても、正直、チク村のことをナメていた。

まさかここまで大きな村だとは思っていなかった。


せいぜい、カツ村の2倍程度の村を想像していた。


100世帯のなるとかなり大規模だ。

お義父さんはこんな村の次期村長なのか。

結構大物だ。

普段から忙しいに違いない。


お義父さんにはナチクとヤマトに会うために数日間カツ村に滞在してもらったが、本来ならこちらから伺うべきだっただろう。

往復の時間を含めると、丸々一週間チク村を空けたことになる。

会社で言えば、副社長が1週間仕事を休んだようなものだ。

知らない事とは言え、悪いことをしてしまった。


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