義父、義母
春になった頃、チク村からナチクの父と母、すなわち、お義父さんとお義母さんがやってきた。
交易団を通じて、子供が生まれたことを伝えたからだ。
孫の顔を見たかったのだろう。
お義父さんには以前会ったことがある。
ナチクとの結婚にも立ち会ってもらった。
チク村の次期村長、身長が180cmはあろうかという大男だ。
お義母さんに会うのは初めてだった。
性格は穏やかで物腰も柔らかく、そして美しい。
頭の回転も速そうだ。
さすがナチク母親だ。
ナチクのご両親には、俺達の家に滞在してもらった。
ちょっと手狭だが、村で一番快適な家のはずだ。
ナチクは久しぶりにご両親に会えて、そしてご両親に孫の顔を見せられてうれしそうだ。
そして、お義父さんとお義母さんはヤマトにデレデレだ。
片時も傍を離れない。
そんな中、お義父さんはヤマトの服の肌触りがとんでもなく良いことに気付いた。
当然と言えば当然だ。
ヤマトには織機で作った服を着せている。
この時代において、間違いなく一級品だ。
そこいらの服とは手触りが全く違う。
ヤマトはまだ赤ん坊なのでスクスク成長する。
一つの服を着られる期間は短い。
だが、もったいなくはない。
今後、村に新たに子供が生まれたとき、この服はまた活用されるのだ。
いわゆる、おさがりである。
だから、お義父さんに、
「この服もしくは織機を譲ってくれ。」
と言われても譲るわけにはいかなかった。
「服を譲ることはできません。この村で使う分だけしか作ってないからです。
でも、織機の作り方は教えられます。」
教えると言っても、図面を買いて渡すわけではない。
タン、ソウ、タツタが織機をもう一台完成させ、分解してチク村へ持ち帰ることになった。
完成品が1台稼働しているので、真似すれば作りやすい。
そう言えば、タン、ソウ、タツタはチク村の出身で、製鉄技術を身につけるため2年間限定でカツ村に滞在していたのだった。
もう、昔のこと過ぎて忘れていたし、この村の一員という感覚になっていた。
そうか、彼らと出会ってもう2年だ。
彼らは織機が完成したらチク村に帰ることになった。
寂しくなる。
製鉄も、鉄を使った道具制作も、水車作りも、織機の開発も一緒にやってきたから十分に技術は身についただろう。
村へ帰って、ぞんぶんにその腕を振るうが良い。




