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子育て

子育てが始まった。


まるで戦争だ。


会社勤めの頃、嫁さんが体調を崩したために育休をとって育児に専念した知り合いがいたが、


「仕事の方が絶対楽!」


と言っていた。

その時は想像もつかなかったが、彼が言っていたことは本当だと、今なら実感できる。


その彼は、たった2週間の育休で、体重が5㎏落ちていた。


「だって、仕事は失敗しても誰も死なないじゃん。」


とは彼の弁だ。

的を得ている。大事なのはそこだ。


育児で失敗すると人が死ぬ。

もちろん子供のことだ。


子供は一人では何もできない。

お腹が空いても、危険が迫っても、自分では何もできないし、何が危険かすら分かっていない。

親が守り、育まなければならない無力な存在なのだ。



俺は、まぁ、ある程度はイクメンできていると思う。


おむつも替えるし、寝かしつけもするし、その他の家事だってやっている。

昼間はヤマトを連れ出して、ナチクが一人になれる時間も作っている。


こういうとき、会社員でなくて本当に良かったと思う。

毎日9時5時で勤務しながら、育児も同時進行なんて無理だ。


俺は会社員ではないので、仕事の時間は自分の裁量で決められる。

育児とナチクを労わることが優先、仕事は合間にできる分だけやっている。


それでも結構体力を削られるが、ナチクはもっと大変だ。


ナチクは2,3時間おきに母乳をあげている。


ほとんど不眠不休みたいな状態だ。

夜中も同じような間隔で授乳しているから、夜はぐっすり眠れていないのではなかろうか。


母乳は、母親の血液から作られていると聞いたことがある。

授乳は母親が自分の血液を赤ちゃんに与えているようなものだ。

そのせいもあって栄養不足なのか、ナチクは体調も良くない。


栄養の付くものを食べさせて、ゆっくり休める時間を確保しなければと思う。

昼間、俺がヤマトを連れ出しているのは、ナチクを休ませることが目的だ。



この大変な時期を、村のみんなが支えてくれた。


まず、食事。


家の前に野菜を置いてくれる、とかそういうレベルではない。

食事を作って持ってきてくれるのだ。

それも毎日。


当番表があるのかと思えるほど、きっちり交代で作ってきてくれた。

俺も料理はできるが、なにせ時間がかかる。

レトルト食品も冷凍食品もコンビニもないのだ。

非常に助かった。



地域のみんなが子育てに協力するというのはこういうことだろうか。

もとの時代とは条件が違いすぎるので比較のしようもないが、子育ては夫婦だけでは難しいものだと実感した。


こうして、俺の初めての子供ヤマトは、俺とナチクに見守られ、村のみんなに見守られて、すくすくと成長していった。


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