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織機作り(5)

織機作りで一番難しい綜絖そうこうが完成したので、いよいよゴールが見えてきた。


ここからは各要素部品を実際に組み立てながら全体を仕上げていく。


テツには引き続きおさの開発にあたってもらう。

チク村のタンとソウも一緒だ。


一方俺は、チク村のタツタと共に各要素部品を支えるためのフレーム作りを行う。

縦糸の送りローラーだけなら一人でもなんとかなったが、フレームは部品自体が大型になるので一人で作るのは無理だ。

そこで、こういうチーム分けになった。


タツタはチク村の3人の中で、一番寡黙だ。

ほとんどしゃべらない。


カツ村に来た当初はうまくコミュニケーションできるのかと不安を覚えたが、全くの杞憂だった。

普段から身振り、手振り、表情で意思は明確に示すし、どうしても必要な場合は明瞭なバリトンボイスで伝えてくれる。

最小限の文字数で的確に要点を伝えてくれるので、かなり頭が良いように思う。


そんなタツタと組んでの作業なので、作業中はどちらも無言だ。

俺も元々そんなにしゃべらないし、それぞれに手元に集中するから当然だ。

沈黙が気まずいなんてこともない。


二人で協力して行う作業もスムーズだった。

例えば大きな部品を二人で運ぶとき、タツタに声をかけようと彼の方を向くと、彼はすでにこちらを見ていて目を合わせてコクンと頷き、指示を出す前に動いてくれる。

言葉を介さずに、まるで俺の心を読んでいるかのようなスムーズな連携が実現していた。


作業を主導しているのは俺だが、作業がスムーズに進むのはタツタのお陰だった。

優秀な副官を持つとこんなにもコトが順調に進むのかと、強く実感できる出来事だった。


そんなわけで、なんやかんやと組み立てるうちに織機が完成した。


もちろん、ここに至るまでの道のりは単純ではなかった。

可動部が多いので部品同士の嵌め合いを調整したり、作業性を考慮して寸法を見直したり、試行錯誤を繰り返した上での完成だ。

だが、予想よりは早く仕上げることができた。


これもテツやタツタ、そしてタンとソウの力を集結して取り組んだからだろう。


今までの開発では、基本俺がすべてを考えて主導し、テツたちの手を借りて作業していたが、今回はテツたちと責任を分担し、手だけでなく頭とこれまでの全ての経験も活かして取り組んでもらった。

正真正銘、メンバーの総力を結集して完成させたのだ。

久しぶりにチームプレイで仕事を成し遂げた気がする。


構想から完成までは2か月もかかってしまった。

作り始めたのは初夏の頃だったのに、今はもう秋の気配を感じる季節だ。


完成した織機は、さっそく村で一番若い女性に使ってもらった。

こういう新しい機械は、熟練した人よりも経験の少ない人に使わせた方が効果が出やすい。

経験がない分伸び代が大きいのだ。


織機を使い始めた当初、評判は割と不評だった。

理由は、準備が難しいこと。


織機で布を織り始める前に、縦糸をローラーに巻き、綜絖を通す作業が必要だ。

この作業が、かなり難しい上に時間がかかる。

縦糸の張りは全て同じくらいの強さにしないといけないし、綜絖に糸を通す作業は非常に細かい。

しかも、通す糸の順番にも気を付けないといけないので気を遣うのだ。


この作業のために、綜絖通しというフック状の針金のような道具も開発したがなかなか効率が上がらない。


さて、どうしたものか。


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