↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/101

提案

翌日は日が高くなるまで眠りこけてしまった。

少量とは言え、お酒を飲んだせいだろう。

この時代のお酒だから、自分の体には合わないのかもしれない。

バリバリ働くぞ、なんて思っていた昨日の自分はなんだったのか。


もう狩り部隊は出発してしまっただろうかと思い村の中を歩いていると、リーダーを見つけた。


「おはようございます。すみません、寝坊してしまって。」


とりあえずリーダーに挨拶をする。


「おぉ、やっと起きたか。なかなか起きてこないから心配したぞ。」


リーダーは上機嫌だ。

だが、昼間にリーダーが村にいるとは珍しい。なぜだろうか?


「今日は狩りは行かないんですか?」


「昨日、捕れたからな、しばらく狩りはお休みだ。捕りすぎると数が減ってしまう。」


なるほどね、確かにガンガン捕ってしまうと生態系を維持できなくなってしまう。

数が減らない程度に、収獲量を調整する必要があるのはもっともだ。


「では、しばらくは畑作業ですか?」


「それもいいが、お前に提案がある。」


「なんでしょうか?」


「自分の家を建てたくないか?今ならみんな協力できるぞ。」


思ってもない申し出だった。

いずれは自分の家が欲しいとは思っていたが、こんなに早く実現するとは。


「しばらくすると寒くなってくるからな。それまでに家が必要だ。」


なるほど、今は夏のようだが、そのうち秋、冬と季節は移り替わっていくのだろう。

家が必要になるわけだ。


狩りが一段落したことで、家を建てる余裕ができたという事だろう。


「どのくらいの期間で完成するでしょうか?」

「材料調達も含めて、一か月てところかな。」


そんなに!?

待ちきれないな、それに、そんなに長い期間、労働力を投入するのは気が引ける。

肉が得られたとはいえ、やることはたくさんあるからだ。


何とか短期間で、しかも寒さに強い家を作りたいものだな。

早速、元時代の知識を活かすべきときが来たようだ。



なにか、簡単に家を建てる方法はないだろうか。


頭を悩ませてみたが、良いアイディアは出てこない。

いや、正確には、アイディアがあっても実現できないのだ。


例えば、簡単に雨露をしのぐための家としてキャンプ用テントの構造を思いついたが、実現には丈夫な布と強くしなやかな棒材が必要だ。

元の時代ならホームセンターでブルーシートと適当なパイプ材でも買ってくれば、雨露をしのぐ程度の構造物は簡単に作れるが、もちろんこの時代ではそんな物は手に入らない。


この時代で手に入るのは、竹と麻布くらいだ。

竹はともかく、麻布は作るのに大変な労力が必要らしく、毎年、人の衣服を作るだけの量しか得られないので家づくりに使うわけにはいかない。


「素材の力って重要だな。」


元の時代の便利さを痛感したし、チートと思っていた自分の知識がすぐには役立たないことにも気付いた。


アイディアだけでは価値がない。

実現して初めて価値が生じる。


簡単なことなのに忘れていた。


元の時代、多種多様な材料が簡単に手に入るのは3千年分の先人のアイディアと努力がベースにあるからだ。

そのベースがないこの時代では、どれだけ知識やアイディアがあっても、できることは限られている。


スローライフはだいぶ遠そうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。