家づくり
いろいろと考えたが、家自体はこの時代のものと同じ様式にすることにした。
ただし、かなり小型な家にする。
工期を短縮したいし、独り身だから寝床が確保できれば十分だ。
狩りのメンバーが手伝ってくれるというので、彼らの手を借りて材料集めから行った。
柱となる太い木、屋根を葺くための萱、木材を固定するための縄、必要な材料はたくさんある。
これだけでかなりの重労働だった。
石の斧で木を切り倒すには半日かかったし、それらを運び出すのにも人手が必要だった。
細い木の枝を集めるにも、拾い集めるか木に登って石製の刃物で切り落とす必要があったから時間がかかった。
結局、必要な材料がそろうまでには、7日を要した。
材料集めと同時進行で、竪穴を掘る作業も進めた。
こちらは、先端に石のついた鍬で土を耕して柔らかくしたうえで、木製のスコップでかき出した。
かき出した土は家の周囲に積んで、盛り土とした。
材料がそろったので組み立て作業に入った。
まずは竪穴の四隅に柱を立て、それらに4本の桁を渡して縄で固定した。
これが基本の骨組みだ。
骨組みに細長い垂木を立てかけて、これも縄で固定した。
たるきは地面、骨組み、そして屋根の頂上の3点で固定されるので、かなり丈夫な構造となった。
さらに、たるき同士細い木の枝でつなぎ、縄で固定して強度を増した。
最後に、萱で屋根を葺いて完成だ。
家を作る作業は大変な作業量だったが、不思議と楽しかった。
会社で仕事をしているのとは明らかに異なる楽しさだ。
会社とは違い、自分の仕事が自分の生活の質に直結しているからだろうか。
会社での仕事は他人のためのものだった。
会社を通じて見知らぬ誰かの役に立つ製品を提供し、その対価として給料をもらっていた。
この家づくりは違う。
直接、自分のためになる仕事だ。
仕事の成果が直接自分への見返りっていうのは、会社員では考えられないことだろう。
「こういうシンプルな働き方っていいものだな。」
久しぶりに仕事にやりがいを感じた気がする。




