織機作り(1)
衛生面を向上させるため、衣服の質を改善したいが、どうすれば良いだろうか?
考えた結果、繰り返し洗っても傷まない丈夫な衣服、または、衣服をより短時間で作る方法を確立すれば良いという結論に至った。
丈夫な服は、正直、難易度が高い。
織物についての知識が俺にはないのだ。
だが、服作りの速度向上なら何とかなりそうだ。
便利な道具や機械を作り出せば良い。
ここはやはり織機を開発するべきだろう。
構造は複雑ではあるが、原理は難しくない。
試行錯誤すれば、いずれ完成できると思われる。
織機の構造は、機能毎に大きく5つに分類できる。
1つ目は、縦糸を送り出す部分で、縦糸を整列させて巻き付けられるように円筒形のローラーになっている。
通常は作業者から最も遠い側に配置される。
縦糸をピンと張るために、常に力がかかっている必要があり、同時に、作業の進みに合わせて適切な量の縦糸を送り出す機能も持つ。
2つ目は、編んだ布を巻き取る部分。
こちらも円筒形のローラーで、通常は作業者の手元にある。
こちらは縦糸をピンと張るために逆回転しない仕組みと、作業の進みに合わせて、適切な量だけ編んだ布を巻き取っていく機能が必要だ。
3つ目は、縦糸を上下に動かす部分。
確か、綜絖という名前だったはずだ。
例えば、縦糸の偶数番目が上に移動しているときは奇数番目は下に、偶数番目が下に移動しているときは、奇数番目は上に移動させる。
通常は作業者が足でペダルを操作することで縦糸を上下に動かす。
4つ目は、横糸を通すための道具。
杼とかシャトルと呼ばれるものだ。
この中には横糸を巻いて入れておき、上の縦糸と下の縦糸の間に横糸を通すために使う。
糸と糸の間をスムーズに移動できるよに、両端が細くなっていて、弾丸のように滑らかな形状、表面仕上げとなっている。
幅の狭い布の場合は左右の手で手渡しするが、幅の広い布の場合は投げて滑らせるような使い方になるので、車輪がついていることもある。
5つ目は、横糸を整える部分。
横糸を通した後に手前に押し付けて、1つ前の横糸と整列させるためのものだ。
カタンカタンとリズミカルで心地の良い音を出す、織機の特徴的な部分だ。
このように、ひとつひとつの要素はそこまで難しくはなさそうだが、これらの複数の要素が連動して動かないといけないので、開発はなかなか大変そうだ。
一人で作ると時間がかかりすぎるので、早く作れるようにテツたちの手も借りることにした。
テツ達と協議した結果、俺は1つ目と2つ目の縦糸を送る部分と全体の設計を、テツ達はその他を担当することになった。
今回の織機開発、おそらくネックとなるのはテツ達が担当する綜絖の部分だ。
縦糸の間隔がそこで決まるので、布の仕上がりに大きく影響する。
縦糸の間隔は狭いほうが密度の高い丈夫な布になるが、密度が高いと綜絖同士がこすれて上下移動に支障がでる。
また、糸を通す部分が小さいと、そこに糸を通す準備作業の難易度が上がるので配慮が必要だ。
当然ながら、縦糸がスムーズに移動できるよう、通す部分はなめらかに仕上げる必要がある。
要するに、綜絖を完成させるには、高い技術力といろいろなことを考慮したバランス感覚が必要なのだ。
今回はその部分をテツに任せた。
若い彼らに任せた方が、今後のためになるだろう。
きっと彼らならやり遂げてくれるはずだ。




