新築祝い(1)
家が完成した。
構想2日、完成まで約2か月。
力作だ。
村のみんなの力を借してくれたおかげで、思っていたような理想の新居ができた。
俺が家を作り始めたのは春の中頃。
畑作りや種まき、収穫作業もある多忙な時期だ。
そんな中、手伝ってくれた村のみんなには感謝の気持ちしかない。
この恩はいつか返さなければ、と思っていたら早速その機会がやってきた。
新築祝いだ。
長老から半ば強引に提案された。
長老の目的はおいしい料理を食べることだろうが、家づくりに協力してくれたみんなを料理でもてなして感謝を表すのは良い考えだ。
というわけで、今日は新築祝い。
狭い村なので、参加者は村人全員だ。
せっかくなので、まずは家の中を説明した。
家の入り口を入るとそこは土間だ。
台所として使う。
専用の作業台と煮炊きをするための窯、水瓶を設置した。
作業の流れを考慮して、水瓶、作業台、窯の順に並べている。
屋根には上に開く排気窓が付いていて、下から棒で持ち上げると開く。
鉄で蝶番を作って実現した。
一応雨が入り込まないための配慮として、窓枠は屋根よりも一段高くし、開閉する側は箱状にして窓枠の上からかぶせる形にしている。
ただ、ゴムパッキンなどないので、大雨など降れば雨漏りが生じる懸念がある。
その辺は、実力を確認しながらおいおい改良していこうと思う。
土間だから、多少の雨漏りなら問題ないし、のんびりやろう。
土間の隣は居間だ。
仕切りはないが、居間の方が一段高くなっている。
ここから先は靴を脱いで上がる。
今までは家の中でも靴を履いていたから、みんな最初は戸惑っていたが、居間より先に土や泥を持ち込みたくないので、この点は徹底させてもらう。
居間の床は鉋で表面を仕上げた板を隙間なく敷き詰めている。
冬場に隙間風が入ると寒いので、板材の側面に凹凸をつけて組み合わせ、隙間を無くすように工夫した。
床板はニスも塗料も塗っていないので、木材本来の手触りが楽しめる。
薄く加工するのが難しいので、4cmほどの厚みがある。
元時代でも割と贅沢な造りではないだろうか。
居間の真ん中には小さな囲炉裏を設けた。
冬場はここで暖が取れるし、ここでも料理もできる。
使わないときは蓋をして塞げるようにしている。
一番奥は寝室だ。
ここはこの間作ったベッドが占有している。
生まれてくる子供を含め、親子3人で川の字で寝れる大きさだ。
床の上に置いているので、居間よりもさらに一段高い部屋のようになっている。
居間と寝室の間には引き戸を設けた。
床と天井の梁に溝を切り、左右に移動できる構造にしている。
引き戸は3枚で、移動用の溝は2本なので、引き戸1枚分しか開けられない構造だ。
多少不便にみえるが、寝室はなんとなく他人に見せたくないので、開閉できる幅は最小限にした。
もちろん引き戸を外すこともできるが、基本的に外すつもりはない。
村のみんなに家の中を見せたところ羨ましがる人が続出した。
特に女性が土間の調理エリアをキラキラした目で見ている。
女性にとってキッチンは城、という考えも聞いたことがあるし、作業性を考慮した台所がすごく魅力的なのかもしれない。
これは、今後流行るかもしれないな、と俺は思った。




