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ベッド

とりあえず、ナチクに体力をつけてもらいたい。


出産もその後の育児も体力勝負だ。

体力がなければ始まらない。


体力をつけるにはまずは食事だが、これはある程度解決している。

交易により村の食糧事情は潤沢で、野菜も魚も肉も手に入る。


栄養バランス的に、足りてないものはないだろう。


なので、まずは寝具を作ることにした。

快適な睡眠は健康維持に不可欠だからだ。


今は家の中の地べたに直接藁を敷き、その上に毛皮を敷いて寝ているが、硬いし、埃っぽいし、夏場は虫に刺されることもある。


今まで全然気にしていなかったが、よく考えたらこんな辺鄙なところに大切なナチクを寝せていたなんて、俺は大馬鹿者だ。


すばらしく快適なベッドを作ろう、と決意する。


長老などは、土を盛ってベッドのようににしているらしいが、俺は木でベッドを作った。


夏場は通気性が良く、冬場は地面からの冷気を遮りやすいと考えたからだ。

気合を入れて、3日ほどでクイーンサイズ、幅160cmのベッドを作り上げた。

これなら夫婦2人でもゆったり寝れる。


「快適そうね。でも小さくない?」


「え?そんなことないだろう?」


「私とあなたとこの子の3人で寝るのよ?小さいわよ。」


お腹をさすりながらナチクが言う。

ちなみに妊娠初期なので、お腹は膨らんでいない。


俺は、子供用は別に作るつもりだったが、ナチクは3人で川の字で寝たいらしい。

ナチクの実家ではそうしていたそうだ。


俺はすぐに作り直した。

ダブルベッドよりも大きい、幅240cm。

セミダブルベッドを2台つなげた大きさだ。

完璧だ。これなら親子3人で寝れる。


ただ、ひとつだけ欠点を挙げるならば、家の半分がベッドで埋まってしまった。


だが、まあいい。

大した問題ではない。


それよりもマットレスをどうするかが問題だ。


元時代、マットレスは金属のばねとウレタンのようなクッション性のある素材で作られていた。

だが、この縄文時代にはそんなものはない。

鉄はできたが、性能の良いばねはまだ開発していないし、ウレタンなんて超絶ハイテク材料だ。


ウレタンの材料は石油だ。

石油から抽出した成分をアレやコレやして、炭酸ガスを含ませるとウレタンフォームと呼ばれるクッションになる。

アレやコレの方法は、具体的には知らないので再現のしようがないし、そもそも石油が手に入らない。


この時代で適度なクッション性を得るには、結局稲藁が良さそうだ。

稲作の副産物としてたくさん手に入る。


俺は、ベッドの底を箱状にして、そこに稲藁を敷き詰めることにした。

長さと向きをそろえて隙間なく敷き詰めて、上からギュウギュウを押し込む。

かなりの圧力をかけて固めて、紐で縛って、平らに慣らしてから、その上に布を敷いた。


圧をかけずに敷けばふわふわの感触が得られるが、すぐにヘタってしまうので感触がすぐに変わってしまう。

それに、柔らかく敷くと稲藁の先端が肌に触れてチクチクする。

向きをそろえて敷き詰めれば先端が上を向くことはない。


なんか、この圧縮した稲藁を発展させれば畳ができそうな気がするが、それはまだ先の話だ。


こうして、なんとか快適なベッドが完成した。


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