鰹節作り(2)
鰹を、捌いて、煮て、骨を取るところまで進んだので、次は燻蒸する。
ここから先の工程は、全て鰹から水分を抜くための工程だ。
木のチップを燃やして煙を出し、その煙で鰹を燻す。
煙が霧散しないように、木で覆いを作ってその中で燻蒸した。
この燻す工程を、鰹の身を休ませながら何度も繰り返すことで鰹から水分を抜き、長期保存に向いた状態を作り出すことができる。
また、水分を抜くことでうま味も凝縮されていく。
燻蒸を3回繰り返した後、表面に付着したタールや汚れを削り落としてから天日干しにした。
本来なら天日干しの前にカビを付ける工程があるのだが、どんなカビを付ければ良いのか分からないので、今回は飛ばすことにした。
失敗すると全てが台無しになってしまうので慎重だ。
カビを付けるのは、カビの菌糸が鰹の中の水分を吸いだしてくれるのと、風味をつけることが目的だ。
そういう意味では、カビを付ける工程を飛ばすと本来の鰹節の風味にならないかもしれないが、鰹のうま味が凝縮されただけでも十分においしいだろう。
天日干し中は、少しでも空が曇ったら鰹節を取り込んだ。
雨に濡れるようなことがあれば、今までの苦労が水の泡だからだ。
10日間程天日に干して、鰹節が完成した。
鰹節同士を叩き合わせると、コンコンという乾いた音がした。
上質な本枯節のカンカンという甲高い音には及ばないが、かなり内部まで乾燥させることができたようだ。
完成した鰹節を鰹節削り機で削った。
鰹節削り機は、天日干しをしながら、鉄工所で作っていた。
既に鉋が完成しているので簡単だ。
木箱の上に鉋を逆さまに取り付けたら完成。
シャッシャッと小気味良いリズムで鰹節を削ると、あたりに良い風味が漂った。
俺は削った鰹節を使って出汁を取ると、味噌を混ぜて具無しの味噌汁を作った。
鰹出汁のおいしさをみんなに知ってもらうためだ。
「うま~。なんかホッとするわぁ~」
具無しの味噌汁を飲んだ人は、みんなこんな感じの感想を持っていた。
元時代でさんざん出汁入りの味噌汁を飲んできた俺だけでなく、初めて食べるはずのメンバーまでどこかホッとする、懐かしい味と感じるらしい。
不思議な話だ。
なんにせよ、村民に気に入ってもらえたのは僥倖だ。
鰹節を作る作業は大変だが、その見返りとしておいしい出汁が得られると分かれば、今後も村民は鰹節作りに協力してくれるだろう。
出汁と言うのは和食の基本だ。
そういう意味で、鰹出汁を作りだした今日という日は、和食が始まった日なのかもしれない。
カレンダーがあったら、和食記念日にしたいくらいだ。
鰹出汁 みんながイイねと 言ったから 4月6日は 和食記念日
思わず短歌を詠んでしまった。
どう見てもサラダ記念日のオマージュだ。
どうも俺は、久しぶりに鰹出汁に触れて、テンションが上がっているようだ。
こんな感じで、和食文化と、ついでに短歌の文化が芽吹いた。




