鰹節作り(1)
ヤメ村の交易団が鰹を届けてくれたので、鰹節作りに着手した。
とは言え、まずは必要な道具作りからだ。
冬の間に作っておく予定だったが、水車や鋳物の製作に追われてすっかり失念していた。
道具作りにはヤメ村の釣り針職人、テグさんの手も借りた。
彼は魚にも詳しいから非常に助かった。
まず作ったのは、骨抜きだ。
小骨を除去するのに使う。
形状はピンセットの様な形状で、先端は平らになっている。
骨を挟む部分は平面同士が合わさるようになっているので、強くつかんでも骨を切断することはない。
作るポイントは、この平面部分がぴったり合わさることだ。
ここが斜めになっていて隙間があると、細い骨をうまくつかめない。
とりあえず作ってみたところ、意外になんとかなった。
平面部分は形を作った後で小さい砥石で研いで調整した。
とりあえず骨抜き完成だ、と思ったら、テグさんがそれではダメだ言う。
「先端部分は斜めにした方が扱いやすい。そして少しだけ丸みを付けるんだ。そうすれば魚の身を傷つけないですむ。」
俺は、「なるほどな」、と思った。
非常に理にかなっている。
確かに先端が斜めの方が手で持った時に先端を魚にまっすぐ当てやすいし、先端が丸い方が魚の身を傷つけないのも道理だ。
流石、長年魚を相手に仕事をしているだけあって、アドバイスが的確だ。
テグさんの意見を取り入れて、新たに骨抜きを作った。
先端を斜めにするのも丸みを付けるのも手間がかかる作業だったが、結果的には良い物ができたと思う。
骨抜きができたところで、鰹節の作成に取り掛かった。
まずは捌く。
頭を落とし、内臓を出して3枚におろした上、血合いを境に背中側とお腹側に分ける。
一匹の鰹から4本の鰹節ができるのだ。
この作業はテグさんとナチクの手を借りた。
自慢ではないが、俺は生魚を捌くのは苦手だ。
生き物っぽさがあり過ぎてダメだ。
その点、テグさんもナチクもスイスイ捌いていく。
見事だ。
捌いた身は竹を編んで作った籠に並べて茹でる。
この時、綺麗に並べないと完成した時の形が悪くなってしまう。
味は変わらないかもしれないが、見た目も良いに越したことはないから丁寧に並べた。
茹でる時のポイントは、沸騰させない事だ。
沸騰させると泡が当たって鰹の身が崩れることがあるので沸騰する直前くらいの温度を維持することが大切だ。
とは言え、火力は薪なので微調整がしにくい。
ちょっとばかり煮崩れてしまった。
煮た後は冷ましてから骨を除去する作業だ。
作った骨抜きがここで活躍する。
ここでも活躍したのはテグさんとナチクだ。
なんかもう、動きが別次元。
テグさんに至っては、すべての骨の位置を把握しているんじゃないかと言うくらい、的確に素早く骨を除去していく。
テグさん曰く、
「慣れれば誰でもできるようになるよ。」
という事だが、無理な気がする。
こうして、意外な程スムーズに、鰹節作りは進んだ。




