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醤油と味噌

醤油作りは長い戦いになるので、専用の作業場を設けることにした。


1回目は自分の家で作業したが、独特のにおいが原因で隣の家から苦情が来たというのも理由だ。

近所付き合いに軋轢を生じるのは良くない。


作業場は村の居住区から少し離れたところ、水車に向かう途中に作った。


もちろん、俺一人の力で作れない。


おいしいものが食べられるようになるから、と村人を説得して協力してもらった。

自信はないが嘘ではない。

生きている限り挑戦し続ける覚悟なので、いつかは本当になる。


作ったのは小さめの家を2軒。

一つは醤油作り用、もう一つは味噌作り用だ。


そう、俺は醤油作りと並行して、味噌作りも進めることにしたのだ。


どちらも作るのに時間がかかるし、完成までに試行錯誤を繰り返すだろうから早く着手した方が良い。

片方ずつなどと悠長なことを言っていられない。

早く実現したい。(食べたい。)


個人的には醤油の方が優先度が高い。


醤油は刺身などの生物だけでなく、煮物、炒め物、焼き物、などなど何にでも使える万能調味料だ。

活躍の場が多い。


対して味噌が活躍するのは、味噌汁と豚汁くらい、後は田楽かな。


田楽には大した思い入れはないから、個人的にはどうでも良い。


だが、味噌汁の存在は重要だ。


味噌汁の具材の組み合わせは無限。

残り物食材でも立派な一品に仕上げる懐の深さは、ある意味万能料理だ。

ぜひとも実現したい。



醤油は一度トライして課題が見えているのでそれに取り組む。


前回はしょっぱさが足りなかったので、今回は塩分濃度を上げることにした。


海水を煮詰めて塩分濃度を上げる。

どのくらいまで上げれば良いか分からないので、今回も濃度を変えて4種類仕込んだ。


他の条件は全て同じだ。

麹は前回のトライを踏まえて黄色い麹を使う。

前回のトライで甘味とうまみが感じられたやつだ。


温度や湿度は、コントロールできないので今回は自然任せ。

最終的には、作り始める時期でコントロールするしかないかもしれない。


今は春、温度も湿度もこれからどんどん上がてくる。


菌の繁殖には適しているが、それが吉と出るか凶と出るかは分からない。

必要な菌以外も繁殖してしまう可能性があるからだ。


不必要な菌が繁殖すると風味が変わってしまう。


推測だが、前回のトライでカビ臭く感じたのは、不要な菌も繁殖したためではないかと考えている。

いろいろな条件を整えて、必要な菌だけ繁殖を促進しなければならない。


今回のトライがうまく行くかどうか、結果が分かるのは半年後。

おそらく完璧なものはできないから、そこからまた条件を変えてトライすることになるだろう。


気の長い話だ。



醤油に対して味噌は、完成まで8カ月から1年。


こちらも気の長い話だ。

俺が生きている間に完成するのだろうか。少し不安になる。


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