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山葵(わさび)と醤油

チク村の3人から山葵を入手したので、さっそく使ってみる。


手に入れたのは生の山葵なので、摺り下ろして使いたい。

まずは摺り下ろすためのおろし板を作る。


山葵を摺り下ろすには鮫皮を使うのが良いらしいのだが、入手するのが大変なので木の板に小刀で細かく切り込みを入れて作った。

実際に摺り下ろしてみたが、いい感じにできた。

溝をできるだけ細かく掘ったのが良かったのだろう。


山葵と言えば醤油と合わせて刺身を頂くのが定番だが、醤油も刺身もないので、猪肉の干物につけて食べてみる。


「これはいける!」


「うまいな。」


猪肉は独特の風味があるのだが、山葵の風味で猪肉の臭みが消えるので、いくらでも食べられる。


一緒に食べているのはリーダーと長老だ。

山葵のおいしさを知ってもらうために、俺が誘った。



山葵は根の部分を摺り下ろして食べるのが主だが、葉や茎、そして花も食べられる。

醤油漬けにするのが定番だ。


やはり醤油との相性が良い。


醤油は無いので、葉は刻んで薬味とする。

これも猪肉の干物に乗せて食べてみたがうまかった。

ピリ辛な風味が癖になる。


今のところ山葵と合わせて相性が良さそうな食材は猪肉くらいだ。

今は干物しかないが、秋になったら焼いた肉と合わせてみよう。



それにしても山葵を食べて再確認したのが醤油の必要性だ。


山葵と醤油、誰もが認めるゴールデンペア。

何としても作りたくなってきた。



醤油の原料は、大豆、小麦、塩水、麹だ。


麹以外は問題なく入手できる。

麹も、なんとか探してみよう。


作り方は概要しか分からないが、できるまで試行錯誤しようと思う。


醤油の作り方はおよそこうだ。

やったことはないが、興味本位で調べたことがある。


1.大豆をゆでる。

2.小麦を炒って、挽いて粉にする。

3.麹を小麦に混ぜる

4.3をゆでた大豆に混ぜる

5.塩水を混ぜる。(できたものが諸味)

6.発酵させる

7.絞る

8.火入れ


特に時間がかかるのが6の発酵工程。

通常は半年、長いものだと3年かけることもあるらしい。


気長にやるしかない。


最大の課題は麹の入手だが、これは炒った麦や煮た米、大豆を高温多湿の場所に放置して、自然とつくのを待ってみる。

麹は簡単に言えばカビなので、そのうち目的のカビが生えるかもしれないと気楽に始める。

倉庫の中、家のなか、森の中。

いくつか仕掛けて、毎日チェックしていると、黄色のカビと黒いカビと白いカビが入手できた。

カビと呼ぶと食欲がなくなるので、麹と呼称する。


どれが醤油作りに適した麹か分からないので、全て試してみようと思う。


俺は大豆を茹でると、4つに小分けにした。

3種類の麹と麹なしの合計4種類を試してみるためだ。


5番の工程まで終わり、諸味ができた。

その後半年間、状態をチェックしながらかき混ぜる作業を行い、発酵を促した。


布で濾して絞ると、醤油らしき液体が採集できたが、結論から言うと、全て失敗だった。


求めていた風味とはどれも違った。

しょっぱさが全く足りないし、カビ臭さもあって食べられたものではない。


原因はよく分からない。

微生物の活動など見えないので、見た目と味でしか判断できないのだ。



一番醤油っぽい味を醸し出したのは黄色の麹を用いたものだった。

カビ臭さの中に僅かながら甘さとうまみが感じられる。

醤油に適しているのは、この黄色い麹のような気がする。


1回目の醤油作りは失敗に終わった。

だが、諦める気はない。


生きている限り挑戦を続ける。


塩分濃度、温度、湿度、試行錯誤する要素はいくらでもある。


戦いは、始まったばかりだ。


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