名前
だいぶ今更な自己紹介だが、俺の名前は村正 彰という。
村ではアキラと呼ばれている。
この時代、つまり縄文時代に転生した段階で38歳。
それから2年が経ったので40歳になっている頃だ。
曖昧な表現になってしまうが、正確な日付がわからないから仕方ない。
俺の誕生日は6月なのでそろそろだと思う。
この時代では本名で呼び合うことは少なく、あだ名で呼び合うのが普通だ。
長老は常に長老と呼ばれているし、リーダーはリーダーだ。
本名は知らない。
ずっとそれが続いているから、本人達も忘れているかもしれない。
テツは俺が呼び始めた名前だが、村のみんなもテツと呼び始めて定着した。
以前どう呼ばれていたのか、本名はなんなのかは知らない。
そんなものだ。
先日やってきたチク村の3人は、それぞれタン、ソウ、タツタと名乗った。
無口なのがタツタだ。
名前が美味しそうだ。
片栗粉と油が手に入ったら、竜田揚げを作りたい。
この村に名前はない。
他の村との交流がほとんどないから、無くても困らないのだろう。
個人的には他の村との交流を増やしたいので、名前がないのは不便だ。
いつか名前を付けたいと思うが、みんなが必要性を感じていないのでしばらく先のことになるだろう。
村の世帯数は14世帯。
人数は42人。
とても小さな村だ。
俺はこの村で産業と科学を育成して元の時代のような便利な生活を実現しようとしている。
とりあえず製鉄に成功したし、水車も作った。
鉄製の道具や自動の動力があるかどうかでこの後の産業の発達速度が格段に変わってくるから、この2つを2年足らずで実現できたことは僥倖と言える。
優秀な弟子のテツが加工関係を引き受けてくれているので、放置してもどんどん便利な道具や機械を作り出してくれるだろう。
作って欲しい物の希望は伝えてるし。
最近は食事の質の改善に着手したところだ。
カレーとかラーメンとか食べたいものはたくさんある。
海外から輸入されるまで手に入らない食材もあるが、まずは手に入るものそろえて、料理のバリエーションを増やす予定だ。
食事は毎日の楽しみだから妥協したくない。
食事の質を改善するにはさまざまな食材や調味料を手に入れることが不可欠だが、そのためには他の村との交易が欠かせない。
そう思っていたら、近くのチク村と交易ができ、運良く山葵と磁石が入手できた。
交易をもっと発展させて、さらに貴重な調味料を入手しようと思う。
俺が今いるのは、元時代からおよそ3千年前の縄文時代。
3千年分の時間差を埋めることは難しいが、一歩ずつ着実に進歩している。
まだまだやることはたくさんあるが、着実に進めていこうと思う。
さて、自己紹介と状況整理も終わったし、そろそろ食事の改善に取り組もうと思う。




