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食事

さて、鉄もできたし水車もできた。

長さの単位も重さの単位も整備した。


産業の礎はできたと自負している。


だが、不満がある。

産業の発展に比べて、文化が発展していない。


独特の家も衣服も、意匠を凝らした土器も文化であることには違いないが、大切なものが抜けている。


食事だ。


「遊びは文化」とか「不倫は文化」とか、文化に関する格言がいくつかあるが、個人的には食事が最も大事な文化だと思う。


ここでの食事は、森から採集した木の実、畑で採れる米や雑穀類、時々獲れる猪などの動物の肉などだ。

季節を感じられるし調理法もいろいろ工夫はしているのだが、俺にとっては味付けが物足りない。

申し訳ないが、正直言ってそれほどおいしくない。


贅沢な悩みではあるが、元時代の食べ物が恋しい。


カレーとか食べたい。

レトルトのやつで良いし、むしろそれが良い。


だが、この時代でその味を再現できないことはわかっている。

コリアンダーやターメリックなどカレーに必要なの香辛料がない。

これらは、千年以上後に交易で手に入れるものだ。


元時代で普通に食べられていた物のほとんどが手に入らない。

例えば、じゃがいもですら伝来したのは江戸時代初期だ。


だが、なんとかして食事を改善し、少しでも元時代に近づけたい。


これは俺のわがままだし、既存の食文化を壊してしまう懸念もあるがどうしても抑えられない。


とりあえずは手に入る調味料を増やして、料理のバリエーションを増やそうと思う。

交易に依らず、日本で手に入りそうな香辛料を列挙してみる。


しょうが、山椒、わさび、にんにく、シソ、ゴマ


これらなら日本で手に入るのではなかろうか。

どれも特徴のある風味なので、薬草として使われているかもしれない。


まずは、身近なところから聞き込みして集めるとしよう。


長老に相談すると、山椒が手に入った。

というか、普通に料理に使われていた。


食べていたのは若葉と果皮の部分で、スープなどに入れていたそうだ。

俺は乾燥して粉状にした粉山椒しか知らなかったから、その若葉や果皮を山椒だとは気づいていなかった。

貴重なものだから入れる量も僅かだし、気付かなくてもしかたないだろう?


山椒は森の中で自生している。

自生している場所は村民が何か所か把握しており、実や花が成ったら採集して使っているそうだ。


個人的に山椒の風味は好きなので、栽培して普通に料理で使えるようにしたい。



シソも手に入った。

村で薬として保管されていたのだ。

解熱、鎮痛、咳、食欲不振などの治療薬として使われるらしい。

全く知らなかった。

幅広い効き目があるんだな、と感心する。



保管されている薬は他にもあったが、香辛料になりそうなものは見つからなかった。


シソは数が少ないのですぐに食用にするのは憚られるが、夏や秋になれば森の中で普通に見つかるらしいので、今後は積極的に集めよう。


シソを使った料理で俺が好きなのは、ゆかりごはんだ。

ゆかりは赤しそを使ったふりかけで、どこかの会社の商品名だが、シソのふりかけの代表格だ。

ごはんに混ぜ込めば、それだけでいくらでも飯が食える。

食べるのが楽しみだ。



身近なところを捜索するだけで、調味料が2種類も手に入った。

この調子で調味料を増やして、少しでも元時代のレベルに近づけたい。


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