水車完成
春になったので水車作りを再開する。
水路は完成しているし、水車の部品も完成しているから組み立てて設置するだけの簡単な作業、のはずだったのに、意外と部品の組み立てで難航した。
原因は、冬の間に部品が歪んでいたことだ。
元々しっかり木を乾燥させていなかったから、冬の間に乾燥が進んで変形してしまった。
そういえば、加工用の木材は変形を防ぐために良く乾燥させてから使うと聞いたことがある。
この経験は今後活かすことにしよう。
今回は仕方ないので、削ったり曲げたり、微調整しながら組み立て作業を進めた。
部品が歪んでしまったのは失敗に違いないが、組み立ててから歪むと各部が破損してしまうから、それよりは良かったのかもしれない。
前向きにとらえることにする。
水車を設置してバランスを調整し、水路に水を流すと、水車はスムーズに回転した。
成功だ。
試しに回転中の水車を腕の力で止めようとしてみたが、全く止まらない。
結構強い動力元となりそうだ。
ここから先の作業はテツが主導した。
まずは自動精米機からだ。
冬の間に構想は練っているから、数日で完成した。
水車の回転軸を延長し、カムを取り付ける。
カムで杵が持ち上げて、その後自然落下させる仕組みだ。
杵の下に臼を置き、中に米を入れておけば勝手に精米してくれる。
スピードはそれほど速くないが、複数の杵を同時に動かせるのでトータルでの効率は良い。
村の奥様達に使い方を教えると、さっそく使い始めていた。
それにしても、水車の回る音は心地良い。
水車の羽根が水をかき乱すリズミカルな音に、水のランダムなバシャバシャという音が合わさって、なんとも言えず癒される。
いつまでも聞いていられるし見ていられる。
この時代に観光地はまだないが、これなら人を呼べるのではないだろうか。
近くに宿場を整備して他の村からの滞在を促し、お土産物や食事処を売って儲けを出す、なんてビジネスを考えてしまう。
製鉄の際に出る不要な鉄滓を材料にお土産物を作れば不用品を消費して更に利益を上げられるので一石二鳥だろうか。
「ま、しないけどね。」
この時代は物々交換が基本で貨幣がないから商売は難しい。
欲しいものはたくさんあるから持ってきてもらえるなら交換に応じるが、需給が一致するとは限らない。
欲しいものをあらかじめ周知できれば成り立つだろうが、遠方への情報伝達は更にハードルが高いから無理だ。
米とか塩とか、誰にとっても役立って長期保存できるものなら貨幣の代わりになるかな。
いつか貨幣ができたらビジネスをしてみたい。




