水路作り
水車作りの全体計画ができたが、土木工事と水車を作る工事を同時進行というわけにはいかない。
食料の確保や製鉄も並行して行うため、人手に余裕がないからだ。
優先順位的には、1番が食料の確保、2番が製鉄、水車はその後だ。
食料は生きるために欠かせないし、鉄は役立つことが証明されている。
水車も期待はされているが、実力は未知数。よって、優先順位は鉄より低い。
人手のやりくりを考えた結果、まずは土木工事から進めることにした。
夏の間に確実に終わらせるためだ。
俺は班を2つに分け、1班は土を掘り水路を作る作業、もう1班は護岸用の石を集める作業に振り分けた。
水路は、石を積むスペースのことも考えて、幅2m、深さ1mとした。
掘り返す範囲に俺が線を引き、そこを村人が鉄製の鍬で耕して土を柔らかくし、その後木製のスコップで土を掘りだす。
狩りメンバーを中心に交代で作業を進めたところ、意外とスムーズに工事は進み、およそ4週間程で水路を掘り終えた。
さすが、みんな体力がある。
だが、護岸用の石を探す作業は難航した。
大き目の石を探して集めてもらったが、場所が川の下流に位置するのでほとんどの石が丸く、積み重ねるにはちょっと向いていない。
セメントなどで固めることができれば良いのだが、この時代にはまだない。
自分のうろ覚えの知識によると、石灰石とか貝殻を砕いて焼いたり混ぜたりすれば作れたはずだが、試行錯誤と検証が必要なので今回は間に合わない。
仕方ないので、川壁には傾斜をつけることにした。
当初は鉛直な壁面とする予定だったが、傾斜をつけた方が崩れにくいだろう。
水路の幅を広げ、水車の軸を伸ばすことになるが仕方ない。
更に、気休めに粘土で石を固めることにする。
そのうちセメントの開発に成功したら、上から塗り固めることにしよう。
こうして苦労もありつつ水路が完成したが、季節は秋となり肌寒くなってきた。
秋は食料確保の正念場なので水車作りに割ける人数は更に限られてしまう。
ほとんどの村人は食料獲得に勤しみ、水車本体の制作は極少人数で進めることになった。
ほとんど俺とテツの2人だけ、他のメンバーはからはときどき手伝いを貰う程度だ。
鉄製工具の数が少ないので仕方ない部分もあるが、一日中加工していると疲れるので交代要員がいないと効率が落ちる。
水車作りは難航し、部品が完成したのは冬になってからだった。
冬場に無理して水車を完成させてもあまり使い道はないので、水車の組み立ては春が来てから行うことにした。




