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重さの基準

「ついでに重さの基準も作ってしまおう。」


基本的な単位は科学の根幹なので、早めに整備してしまいたい。


「単位のない数字には意味がない、と高校の物理の先生も言ってたしな。」


単位がなければ、物理現象を定量的に表すことは不可能だ。

「1」だけでは、長さなのか重さなのか全く分からないし、大小を比較することもできない。

1mm、1m、1g、1kgと単位をつけて初めて、何を表しているのか、どのくらいの量なのかが分かる。


1kgの厳密な定義は、2018年まではキログラム原器が基準となっていた。

フランスに保管されているキログラム原器の質量=1kgだ。


2018年からは定義が変わって、プランク定数がどうのこうのという定義に変わった。

正直言って、全く意味が分からない。

キログラム原器よりも正確に定義するための変更なのだが、一般人には全く関係がない。


一般的な1kgの定義は簡単だ。

1Lの水の重量が1kgである。


1Lは10cm×10cm×10cmなので、木を組み合わせて内寸が10cm×10cm×10cmの升を作った。

これにすり切り一杯の水を満たせば、水の重量は1kgだ。


この升をキログラム原器と考えることもできるが、いちいち水を満たさないといけないのは使い勝手が悪い。

やはり、基本的な質量の錘と、比較測定するための秤は作るべきだろう。


まずはごく基本的な天秤はかりを作ることにした。

50cmくらいの棒の両端と中央に穴を空け、紐を通しただけのものだ。

中央の穴から左右の穴までの距離は、左右で全く同じだ。

また、中央の紐で吊るしたときバランスが取れるように棒を削って微調整している。


そして、先ほどの升をもう一つ作った。

水を交互に移し替えながら、内側の容積が全く同じになるように微調整している。


升に紐を固定し、その紐を秤の両端に固定する。

最後に、升も含めてバランスが取れるよう、升の外側を削ってバランスをとった。


棒と升までを含めて天秤はかりの完成だ。

片方の升を水で満たせば、1kgの物を測定することができる。


「さて、1kgの錘を作りたいが、材料はなにがいいかな。」


損耗して重さが変わるといけないので、丈夫な材料で作りたい。

元時代のキログラム原器はイリジウムでできていた。


「そういえば、アレがちょうど良いくらいの重さだったな。」


アレというのは玉鋼のことだ。

今までに3つ採れたが、そのうちの一つが約1kgくらいの重さだった。


天秤ばかりの片方の升を水で満たし、もう一方の升に玉鋼を乗せたところ、玉鋼の方が少し重い。

玉鋼の表面を地道に削って釣り合うように微調整した。

これをキログラム原器とする。


メートル原器は竹製だったから、鉄製のキログラム原器はかなり格式が高い。


この原器を元に、重さが10分の1の錘を作れば、天秤ばかりと合わせて、とりあえずの実用には耐えるだろう。


「錘はテツに作らせよう。」


鉄はもったいないので、製鉄の際にでるスグ(鉄滓)を使うことにしよう。

強度はないが、錘くらいにはなるはずだ。



長さ、重さと来たのでついでに時間も定義しようかと思ったが、さすがに無理と判断して諦めた。


元時代と同じように時間を管理しようとしたら、時計の開発と天文学が必要になる。

それだけで一生をかけてもいいくらいの大仕事だ。

時計も天文も好きだが、それだけに注力するわけにはいかない。


それに、下手に時計なんか開発して時間管理が厳しくなってもつまらない。

せっかくあくせくしない時代に来たのだから、まだまだのんびりを楽しみたい。


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