3度目の製鉄
3度目の製鉄は、テツが指揮を執った。
炉を作るのも、村民を動かすのもテツの仕事だ。
彼にはこの機会に製鉄作業を覚えてもらわなくてはならない。
俺は助言に徹した。
炉の大きさは前回と同じ40cm×40cm、深さ60cm
壁の厚みも同様に30cmにしている。
砂鉄の選別作業も前回と同様に流水で行った。
このあたりも、俺がテツに方法を教えて、テツが村民を指揮して行った。
前回と異なるのは、砂鉄の中に細かく砕いた貝殻を入れたことだ。
溶鉱炉の中で行われる化学反応を促進するため、石灰石を入れると聞いた覚えがあったので試してみたのだ。
貝殻には炭酸カルシウムが多く含まれているので、同様の効果を期待できる。
どのくらい入れれば良いのかは分からないので、今回は5%程入れてみた。
仕上がりを見てから、今後調整すればいいだろう。
製鉄作業は晴れた日の早朝から始めた。
夏なので曇りなど気温の低い日に行いたいが、雨が大敵なので晴れた日にしか行えない。
汗だくになることを見越して、飲み水は大量に準備させた。
テツの指揮のもと、材料の投入、火入れ、送風作業が行われ、作業は順調に進んだ。
送風作業には、前回用いたポンプに加えて、新しく開発した回転式ポンプと足踏み式鞴を併用した。
事前に試したところ、脚踏み式は女性でも十分に扱えることが確認できたので、女性だけでローテーションを組んでもらった。
その分、男性陣の負荷も減るので、火力を維持しやすい。
作業開始から5時間が経った頃、スグと呼ばれる不純物が炉の穴から出てきた。
前回の作業よりも1時間程早いようだ。
送風作業の効率が上がったことで、内部温度が上昇し溶融が早まったのかもしれない。
作業開始から10時間くらいで砂鉄の投入は全て完了した。
夕方くらいになったが、火の勢いは衰えていない。
送風作業が順調に続いているからだ。
女性たちが加わったことで男性陣の負担が減ったし、女性たちの足踏み鞴はかなり効率が良い。
更に、全くの計算外だったが、なぜか男性陣のモチベーションが高い。
女性の前でかっこいいところを見せたいのかな、と思っていたがちょっと違う。
足踏み式鞴を踏む女性の脚に目が釘付けだ。
脚踏み式鞴を動かすと足が大きく上下するから、彼女らの貫頭着の裾からチラチラと太腿が見える。
どうやらその光景が、疲れを忘れさせてくれるらしい。
チラリズムの祖先、ということになるのだろうか。
貫頭着の下にパンツは履いてないのでパンチラではないのだが、むしろレベルが高い。
罪な物を開発してしまった。
そんな感じで送風作業も順調に継続し、あたりはいつの間にか真っ暗になった。
作業開始から18時間が経った頃、炉の壁面が持たなくなり、各所がボロボロと崩れだした。
俺は作業終了をテツに助言し、テツはその助言に従った。
送風口を粘土で塞ぎ、その日の作業は終了として、俺らは現場を後にした。




