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二度目の製鉄

製鉄の効率を上げるため、俺は考えうる限りの工夫を凝らした。


まず、1度の作業で多くの鉄を作るため、炉は前回よりも大きく作った。


前回は20cm×20cmだったが、今回は40cm×40cm

深さも40cmから60cmに増やした。

中の容積は6倍になっている。


壁の厚みは20cmから30cmへ増やし、送風口は左右に計6か所設けた。


風を送り込むための道具も新たに開発した。


原理は前回と変わらず竹を使った水鉄砲方式だが、弁を工夫して押すときだけでなく、引くときも風を送れるようにした。

単純計算で、送る風の量は倍になる。


ただし、その分作業負荷が高くなるが仕方ない。

鉄が増えたら、もっと楽な方法を実現できるだろうからそれまでの辛抱だ。


鉄の密度を上げるため、砂鉄も事前に選別した。


浜辺で採集した砂鉄を斜めにした板に乗せ、上から水を流す。

密度の低い砂だけが流れて、板の上には砂鉄が残るという寸法だ。

何度か繰り返して残った砂を土器に詰めると、作業前より明らかに密度が上がり、見た目も黒くなった。


木炭については残念ながら改善案が浮かばず、ひたすら人海戦術で作った。


前回は50kg使ったが、今回は容積が6倍に増えたので、単純計算で300kg必要だ。

この調子では、本当に森を食いつくすかもしれない。

リーダーの指摘が頭をよぎったが、まだ先のことだと自分に言い聞かせて作業を進めた。



製鉄作業は雲一つない晴れた日の早朝から始めた。

作業中に雨でも降られたら全てがパーになるからだ。


炉の中に木炭と枯れ枝を交互に敷き詰めていく。

半分程度満たしたら、火を入れて送風作業を開始した。


1度の送風作業には6人必要だ。

6人を1グループとして3グループ作り、交代で作業を行った。


参加人数は19人。


俺は火の加減や材料の投入に集中することになったので、送風作業には加わらない。

規模も大きくなったし、片手間でやるような作業ではないからだ。

火加減や、砂鉄投入箇所のバランス取りは重要な作業だ。


今回は狩りのメンバーだけではなく、村を挙げての作業だ。

男だけでなく女も加わっている。


リーダーと長老の理解を得たので、期待が膨らんでいるのだ。


女性の役割は食事や水の準備が主だが、中には送風作業に参加させろという猛者もいる。

余りにうるさいので、試しに参加させることにした。

体格はガッチリしてるし、怪我をすることもないから、まぁ大丈夫だろう。



送風を開始してから2時間くらいで炎が青っぽくなった。

温度が上がった証拠なので、砂鉄の投入を開始する。


炉の上から砂鉄を全体にまんべんなく入れ、その上に砕いた木炭を重ねる。

この作業を繰り返して炉内を満たした。


送風作業を継続しながら砂鉄と木炭を投入する、この作業を繰り返して6時間が経った頃、炉の底から外部へつながる穴からドロドロに溶けたスグが出てきた。

ノロまたは鉄滓と呼ばれる鉄よりも融点の低い不純物だ。


一部の村人はこれも鉄と勘違いしているが、強度は低く品質もバラバラで鉄には遠く及ばない。

ただ、熱すると溶けて、冷えると固まるので、鋳物の素材として何か使い道があるかもしれない。


作業開始から10時間が経った頃、すべての砂鉄を投入し終えたので、後は送風しながら木炭を投入するだけとなった。


14時間が経ったころ、炉の一部が崩れ始めた。


辺りは少し暗くなってきている。

交代で休憩し、食事と水も適宜摂っているが、作業員の疲労は相当のものだ。


だが、ここで止めるわけにはいかない。


作業が真夜中まで及ぶことは、事前に説明している。

炉の容積が増えたので当然だ


元時代でも日本刀を作るためにたたら製鉄が行われているが、そこでは1度の作業が3日3晩続くらしい。

それと比べれば、まだ容積が小さい分だけ短時間で済む。


18時間が経った頃、炉の一部が崩れて中が見え始めた。

穴が開いた部分には粘土を詰めて応急処置を行う。


おそらく深夜12時頃、あたりは真っ暗だが、炉の周囲だけは煌々と照らされている。

炉の周りには疲れ切った村人たちが、寝転がっている。

作業の合間、少しでも体力を回復させようとしているのだ。


交代制で、食事をとりながらの作業だが、疲労の蓄積は免れず、作業効率は落ちている。

送風量が落ちているのは明らかだった。


やはり送風作業がネックだ。

女性でもできるようにして、昼夜でメンバーを代えた方が良いかもしれない。


志願して送風作業に加わってくれた女性は、力では男に劣るが持久力では全く負けていなかった。

送風設備を改善すれば、女性でも十分な戦力になるだろう。


俺は、このまま続けても温度が落ちるだけと判断し、作業を終了することにした。


送風作業を止め、送風口など炉の側面の穴を全て塞ぐ。


中身を取り出す作業は翌日行うこととし、村人は村へ帰した。


俺は炉から少し離れたところに横になると、そのまま眠りについた。


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