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ボクのレイヤー活動記  作者: 神崎馨
10/13

若宮滝

俺の名前は若宮滝。高校2年。

父親が会社を経営しており、俺はその家の長男にあたる。

まぁ、経営者といっても、誰もが知る様な大企業でもないし、せいぜい中の上、上の下あたりだ。


さて、こんな俺が通っている高校は私立で、地元では昔から坊ちゃんが通う男子校。男しかいないから、さぞアホな様な雰囲気かと思うが、意外に学校は冷めている。

皆、親の会社を継ぐため、またはより良い会社に就職する為と、真面目に学業をおこなっている。


俺は親に勧められるがまま、ここの附属中へ入学し、エスカレーターで進学した。


だからだろうか、決められたレールがある為、学業に真面目に取り組む気になれず、それが周りを不愉快にさせ、友達と呼べる様な存在はここにはいない。


あと、俺がアニメやラノベ好きってのも学校では秘密にしている。

話す相手がいないのとクソ真面目ばかりで、教室から聞こえてくる会話にそれ系がなかった事は確認済みだ。


そんな俺にも先日友達ができた。

名前は馨。あ、苗字聞いてない。

初めてイベントへ足を運ぼうとした際、入り口で声をかけてくれた。

あれは正直助かった。

初参加にはハードルが高すぎる。


最初は女の子かと思ったらどうやら男子らしい。小柄で華奢、中性的。

あれで男子で一個下とかうそだろって思った。

だがタイミング的に最高で、向こうも初って事で一緒に入れた。


まぁ、なんだ。

こんな会話が合う奴いるんだなって感じと、一緒に周ってマジで楽しいなって思った。

友達ってこんな感じなんだろうなってさ。


イベント中、何組かのライヤーさんに撮影をお願いされ、馨が困惑してたのを見て、すぐフォローに入った。

友達ってお互いを助け合うってアニメでやってたしな。


その後ファミレスで3時間も話し込んだ。

こんなに話したのは初めてだ。

馨といると面白いし楽しい。こいつと友達になりたいっと思った矢先、馨から友達にならないかと言われ、嬉しかった。

連絡先も登録し、親兄弟以外で初めて友達を登録した。


ーーーーーーーーーーーー


ただ今帰りました。


と、玄関で靴を脱ぎリビングへ。

リビングでは、母が寛いでおり父の姿はなかった。

「あら滝さん、おかえりなさい。いつもより表情が明るいみたい」


「そんなことは。いえ、そうですね、今日友達ができまして」

友達ができた事を伝えると、母は嬉しそうに微笑んだ。

母はもう50をこえている。高齢出産で命と隣り合わせで産んだのが俺だ。

恐らく高校で俺に友達がいないのを危惧していたのだろう。


「あらあら、それは良かったわね。どんな子なの?」


「他高の奴で、名前は馨。苗字は今度聞いてみる」

馨。男女区別がつかない名前である。

母親として、将来のお嫁さんなのか、一生付き合う友達なのか判断がつかない。


「そうなの。今度家に連れてきなさい。私もご挨拶したいわ。聞いてくださる?」


友達と家で遊ぶ。

なんて良い響きか。

滝は母の言葉に頷き、自室へ行った。



滝が部屋から出て、母の静江は息子の嬉しそうな顔を見て安堵する。

友達がいないのは薄々感じていたが、年頃の子に友達を作れとは言えない。

ずっと関係が続く様応援し、何かあれば手助けすると決めたのだった。

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