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第二十二話 殲滅

第二十二話 殲滅



「お湯をお持ちしました〜」


宿屋の娘が桶にいっぱいの熱いお湯を持って来た。後からまた持って来るから必要になったら読んでくれと言う。佐藤はチップを渡しお金を出すからもうひと桶すぐにもって来るように伝えると、笑顔で走り出して行った。


「元気な娘だな」


しかし、ジルとクリスは緊張しているのか何も答え無かった。佐藤にしても二人とも処女だとは思わなかったようて、さすがに二人同時にはマズイなと思っており、しかも敵陣真っ只中なのだ。それでも佐藤は動く。


「ジル、クリス、服を脱げ」


佐藤の命令に一瞬ビクッとする二人だが、既に覚悟は出来ているようで、促されるまま服を脱ぎ始めた。


ジルはその胸の膨らみもさる事ながら如何にも盗賊を生業とするのに相応しい引き締まった肢体を晒していく。その肌は緊張と興奮の所為なのか既に朱に染まり始めていた。

一方のクリスは細身で柔らかながら胸と美尻の膨らみはジルよりも大きい。

二人は俺の奴隷な訳ではないが俺は支配者として振舞っていた。

「さて、先ずは二人とも身体を清めてくれ。その後俺を洗って貰う」

二人は一瞬躊躇したが、それでも諦めたかのようにお湯を使い身体を洗い旅の汚れを落としていく。当然二人共恥じらいのあるうら若き乙女らしく、実に恥じらいのある風情で隅々まで綺麗にしていく。この後の事は当然理解しているし、それなりの知識はあるのだから。


その時、宿の娘がお湯の追加を持って来た。二人はビクッとして身を隠そうとするがそれを禁じ、中にお湯を運ばせると、宿屋の娘の慣れたもので素知らぬ顔で桶を置いてチップを受け取り笑顔で階段を降りて行った。


既にジルとクリスは羞恥心で顔を真っ赤にして身体を洗いおえている、


「さて、次は俺の身体を綺麗にしてもらおうか」


そう言って佐藤は二人を抱き寄せると口付けを交わし、二人はそれに応える。そして暫くの間、水音に紛れて微かな喘ぎ声と艶のある嬌声が扉の奥から響いていた。




「ここに間違い無いのか」「ああ、入るのを確認した奴らがいる」「調べに行かせたらちょうど今、ジルとクリスとお楽しみの真っ最中らしい」


既に佐藤の泊まる宿の周りを二十人近い武装した男達に取り囲まれていた。そして包囲を終え、リーダーと思しき男がジロリと建物を睨んでいる。


「おい、ボルト、本当にいいのか? 明日の話し合いを待てってあれほど言われただろ? 様子を探るだけだって言ってたじゃねえかよ」

「ばかやろ! なめた真似をした奴らがのうのうとお楽しみの真っ最中なんだぞ! ここまで虚仮にされて黙ってられるか!」


如何にも血の気の多そうなボルトと言われる男は元はレベルの高い冒険者だった。背中に携えたルーンアックスがそれを如実に伝えている。2メートル近いその巨躯と相まって組織の武闘派では第一位の実力者だった。そして昼間に包囲していたやからよりも確実に腕の立つ者が揃っているのは間違いない。


(ちきしょう! ジルとクリスは俺も狙っていたのによ! 横取りしやがって! ここで男をぶっ殺して俺のモノにしてやるぜ!)


ボルトは腕の立つ戦士ではあったが、既に身を持ち崩し、その心も歪みきっていた。そんな奴らが大きな顔をしている組織において、ジルとクリスが説得出来ないの判断してしたのも決して謝りでは無い。


「ボルト、包囲は終わった。仕事にかかるならいそがねえと衛兵に嗅ぎつけられるぜ」


「……奴は今お楽しみの真っ最中だとよ! よし、乗り込むぞ!」


そう言って手引きの男が裏口から十人程を招き入れ、ボルト達は佐藤の部屋の前に忍び寄った。


中からは相変わらず二人の嬌声が響いている。

『ああん♡…だめ♡……やめてぇ♡』『サトウ…サトウ……やぁ♡……』


(ちいっ! あの野郎! ぶっ殺してやるぜ!)


『いくぞ! 俺が扉を破るからな!』『分かった…続けば良いんだな?』『急ごうぜ! 宿屋の女将に気付かれるぞ!』


ボルトはそっと扉の前にたち、そのルーンアックスに闘気を込め扉を打ち破った!

《バギンッ!》と斬り倒された扉を蹴破りボルトが三人の濡れ場に飛び込んだと思った瞬間! 振り出しの短槍がボルトに迫った。

「!!! うおっ! 」咄嗟に身を捻り短槍を躱すボルトもやはり只者では無いのだろうが、しかし佐藤はさらにその上をいく。

ボルトの期待したジルとクリスの裸は何処にも無かった。二人は武器を携え乗り込んだ男達を睨みつけている。しかしーー肝心の男が居ない。ボルト達が目を凝らしてその男を探そうとした隙に《ドズンッ!》と鈍い音が室内に響きボルトの後ろにいた男が崩れ落ちた。

(ぬっ! これがあいつらがいっていた変な術の事か!)

そこへジルの短槍が連撃を加える!「くっ!」室内では突きの方が攻撃速度が速い。さしものルーンアックスも取り回しでは不利なのだ。その時さらに後方の男の首が飛ぶ! 隠密と忍足を使い佐藤が昼間とは違い凄まじい殺意を持って襲いかかっていた。

「ボルト! ヤバいぞ!」

手練れの剣士が殺気をよんで斬りかかると《ギンッ》と言う剣戟とともに佐藤がその姿を現わす。ニヤリと笑うとこの狭い室内でいきなり[風斬]を放った。大気の刃は壁に阻まれるが幾つかが扉の向こうにいる奴等を切り裂いた。致命傷では無いが継戦能力を奪われて床に倒れこむのをチラリと見るとスッと剣士に風切り丸を振るう。まるで後ろにも目があるかの如く佐藤は振り抜いき、辛うじて剣で受け止めた剣士を壁に吹き飛ばすと、すっと剣先をボルトに向ける。

「中々の業物だがお前には過ぎたお宝だ。悪いがここで死んでもらうんだが、それは俺が頂くよ。心配するな、有効活用させて貰うからな」

佐藤に挑発されボルトはルーンアックスを大上段に振りかぶり脳天に直撃させるべく踏み込むその時ーーサイコブロウがボルトの踏み出した足を払う!

「ぬうっ!」咄嗟に足を取られ体勢を崩したボルトに佐藤の風切り丸が襲いかかり首を跳ねる軌道をとった。しかしボルトは瞬時に身を翻し皮一枚で交わした。さすがに侮れ無い腕を持つ事に関心したのか佐藤はジルとクリスに他の奴等を任せ、自らはジッとボルトを睨みつける。


(さて、長引くと全滅させられ無いしな。出来れば俺が全員を殺す方がいいだろう。仕方ない、使うかな)


そして佐藤はいきなり[風斬]をボルトに放つと一気に間合いを詰め続けて[雷遁 飛雷]を至近距離から直撃させた。剣術と魔術を織り交ぜながら接近戦をこなす佐藤にボルトは対応出来ない。無詠唱無挙動はそれほど脅威なのだ。


威力は弱くとも拮抗を崩すには十分すぎる破壊力を持つ佐藤の忍術はほんの一瞬ボルトの動きを止めた。しかし、佐藤はその隙を逃さ無い。そのまま風切り丸を跳ね上げボルトの首を両断した。ゴトリとクビが転げ落ち、手に持ったルーンアックスが床に突き刺さるのを確認したかのように再び隠密と忍足を発動し、残った奴等を掃討にかかった。


アルマは既にジルとクリスにつき、今度は包囲網を崩すべく廊下を走り出していた。やるからには全滅させるのが目的だからだ。そして屋内ではクリスの魔法を使わせる訳にはいかない。

佐藤は走り抜けながら[マインドブラスト]を放ち動きを止め、確実に仕留めて行く。そしてアルマから情報を得て包囲網を崩しにかかるジルとクリスの後を追って行った。騒ぎを女将が気が付いたのか、慌てて娘に衛兵を呼びに行かせるのが見えるのを呼び止める。

「あと少し待ってからいけ! チップは弾むぞ!」

返り血を浴びた佐藤に驚いたのか硬直する娘を置き去りにして外に飛び出していった。窓から外に飛び出し屋根の上からサーチで最後の確認をすると、剣士が一人だけ逃げているのが分かる。

佐藤はアルマに後を追わせ、自らはジルとクリスが足止めしようとしている包囲網の一角に隠密と忍足を使い背後から迫っていった。

「はぁっ!」ジルの短槍が男の腕を貫く! 佐藤は決して殺さぬようにと念を押していたのだ。クリスもファイアー系では無くマジックボルトを放ちその動きを止めて行く。仮にも盗賊団を仕切っていたジルとクリスに太刀打ち出来る者はもう残ってはいなかった。


そして足止めされている男達を佐藤が一人づつ始末していく。ある者は首を掻き切られ、ある者は頚椎にナイフを捻じ込まれその命を刈り取られていった。佐藤は既に戦意を喪失しているであろう相手にも容赦無くその刃を向けていく。


そして数分後には死体だけが累々と積み上がっていた。


「分かっていたつもりだけど酷いわね」

「サトウは人間でも躊躇しないんだ」


ジルとクリスは命を狙われたとはいえかつての仲間の死体を見つめていた。


そして佐藤が二人の背後に現れる。


「失礼だな。一応は念を押してあったからな。それでも俺を狙うなら手加減は出来ないな」


そして宿屋の娘も恐らく衛兵の宿舎に辿り着いた頃だろう。


事前にジルとクリスから冒険者同士の殺し合いをどう始末をつけるのかを確認していた佐藤は、周囲の証言が重要で、基本的に犯罪を犯したのでなければ、一般の市民とは違い余程でなければ手は出さないと確認しており、ましてや女連れのカップルを襲撃しては弁明は出来ない。そして奴等はこの辺では札付きの無法者だったらしく、よくトラブルを起こしていた。一通り説明すれば終わるだろうとジルから説明を受け、この手段を取ったのだ。


「まあ、ダメでも逃げるのだけは自信があるんだよね!」

「「!!!!!」」


「……ま、まあ、サトウらしいわね」

「……追い掛ける人に同情するよ」


しかし、まだ終わる訳ではない。


「では二人とも、もう一度詳しくリーダーの話を聞かせて貰おうか」


二人は頷き、衛兵が走って来るのを見てこう言った。


「……でも…なんで二時間もあんな声を出させたのよ!」「そ、そうよ! 別にそのまま包囲した奴等を倒せたんじゃ無いの⁉︎」


そして佐藤はひとしきり考え込み

「観たかったから?」

と一言だけ答え、飄々と衛兵の方に歩いて行った。

絶句する二人は諦めた様に顔を見合わせーー天を仰ぐ。そう、決してこの男は正義の味方などでは無いと言うことを二人は思い知る。



そして二人はまだ処女のまだった。


『佐藤を理解しようなんてまだまだ二人は甘いですねぇ』


アルマは追跡を終え離れた場所から三人を観てそう呟くと、フワフワと漂いながら衛兵と宿屋の女将を相手に熱弁を振るう佐藤を観察していた。


『あの男、衛兵に賄賂を渡して女将にお金を渡してるわ。本当に抜け目が無いのねぇ〜』






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